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雷霆を告げる音

サマーナイトブルース verse.4

2018.10.26 12:12

私は初めて人が居なくなる悲しさを知った、

学校の友達であったり、部活の先輩、親戚の面白いおじさんとか幼馴染とか。

まだ会えると思える人間と、そうじゃない人は違う、そうでしょ?


もし生きている人間が宇宙の彼方に旅行できる時代になって、何年も会えなくても、

生きていると思えたら何の苦もないはず。


安全で健全に暮らせるように。


あの時の私はまだ幼くて、心が弱くて、

ただただ悲しみの深さから抜け出せなかった。

厳密に言うと今も抜け出せていない。


祖父が大事にしていた金庫は、

親族親戚含め分からなかった。

財産という財産は、丁重に扱われ祖父の意向に沿う形で処理された。


おじいちゃんはいつもこう言ってた、

「金庫は金品以外にも持ち寄れる、

じいちゃんの心、頭そのものもあの金庫に入れてある。

恥ずかしいから、じいちゃんが大事になっても教えてあげないよ」


私はいつもおじいちゃんの金庫を開けようと、教えてもらった筈の番号をグルグル、グルグル回してた。

開かないたびに、おじいちゃんはまだ恥ずかしがってると思って諦めてたけど、

本当に諦められる?

そんなこと出来る?出来たら、こんなに苦しくないよ。


あの日おじいちゃんが教えてくれて、一緒に開けた金庫には白い封筒があったの覚えてる。

これはお前が大きくなったら見せてあげると言ったじゃない。


お願い開いてよ。

意地悪しないで…お願い、お願いだから。