映画『エンジェル、見えない恋人』
映画『エンジェル、見えない恋人』(ベルギー:2016:日本公開2018)
監督:ハリー・クレフェン
出演:フルール・ジフリエ/ エリナ・レーベンソン/
マヤ・ドリー/ハンナ・ブードロー/
フランソワ・バンサンテッリ/
ゴーティエ・バトゥー/(エンジェルの声(成人))
レオ・ロルレアック/(エンジェルの声(10代))
ジュール・マイニー
友達から聞いてて、公開前から実はずっと気になってた映画。
姿の見えない存在として生まれた”エンジェル”の僕。
盲目の彼女。
お互いの”見えない”状態だからこそ、存在を知ることが出来た2人。
この、設定がたまらなくって。
彼だけでなく、彼女の透明感と映画自体の透き通るストーリーに
ハッとしながら、心地よくなってた。
映画自体の時間は79分と短め。
産まれたてから見えない存在を抱きしめる母。
ちゃんと見えない存在がいるように、
中身のない おくるみが動いていたり、
彼が吸う母の乳首が動いたり。
その手法はありとあらゆる方法で演出されてた。
主には、彼の目線でカメラは動くのだけど。
ただ、布をまとった姿等、”いない”状態で撮った画と
”いる”状態で撮った画の生っぽさの差がどうしてもあって。
あー、いないのにいる体(てい)で芝居をしている、
ここには本物の人(彼)が入っている、
と感じてしまうのが、ふと現実に戻されてしまって残念、だったかなぁ。
ひたすらに、人の顔のアップが続くのだけど、
でも最後、彼女と抱き合った時の彼目線で
絶妙な首のあたりが見えるのね。
それが、彼が今、彼女の首の下あたりに顔をうずめているんだと。
彼の頭の位置、状態がわかった瞬間は凄く感動してしまった。。
伝わった、な、と…。
盲目の彼女は、幼少期から少女、大人と登場するのだけど。
ちゃんと、1人のマドレーヌとして、同じ空気を持ってて。
凄い美しさを持ってるのよ。
中でも少女時代のマドレーヌ(マヤ・ドリー)の
なんっっって透明なこと。驚愕)
これは映画にでるわな。
普段の生活で出会えない人間だわ。
もはやあなたが透けちゃうんじゃないかってくらいの透明感。
同じ人類とは思えなかった。。←
ロマンチックで、大きくストーリーは無い。
メディア芸術祭じゃないけど、
ちょっとコアでどこかの映画祭で流れてそうな、
美術館で流れてても良さそうな芸術的な流れの映画。
だから睡眠不足の時に行くと寝ちゃう可能性は高い、かも。笑)
ただ、たまにはこういうのを観るものやっぱりいいなぁと。
ゆったり、映画館での時間を贅沢に感じられそう。
お客さんも、意外と年齢層が高めで驚き。
失恋した時とか何かに浸りたい時にいいかもなぁなんて。
もう少しだけ、この設定のファニーさを観たかったのが本音だけど。
そういや、
この前に観た『コーヒーが冷めないうちに』にもあったけど
”すこし””不思議”には、水の演出が多いのかしら。
こちらも最後は水の中へ。
普段地面で生きてる人間には、水の中ってのが
別世界の感覚なのかな。
水泡とか、非現実的に美しいものね。
不思議な共通点。
ベルギーの映画なんてなかなか観られないから
機会があって良かったな。
全然違うけど、雰囲気的に『ザ・トライブ』を思い出したり。
雰囲気ね。
フライヤーは抜群に可愛いよ。
ポストカードとか待ち受けとかにピッタリだ。
邦画も、出演者の顔ばかりじゃなくって
もう少し洒落ててもいいんだけどなぁ
なーーんて。
『エンジェル、見えない恋人』