『海抜』レビュー【いずみ】
🎥日本映画スプラッシュ🎥
🇯🇵『海抜』
監督▶︎高橋賢成
出演▷阿部倫士、松崎岬、佐藤有紗
【あらすじ・感想】
高校時代に、中学校の同級生が強姦されるのを目の当たりにしながら、何も行動できなかった男。それから十数年経ち、忘れたかった過去が、再生し始めていく彼の人生に覆いかぶさっていく。苦悩を抱えながら生きる男の人生を、突き放した視点で断片的に描くドラマです。
今作品は、日本の映画学校・城西国際大学メディア学部の四期生による卒業制作作品です。監督・脚本は22歳の若手、高橋賢成監督。本作が映画祭初上映作品となります。そして、30名のスタッフ、及びメインキャストは撮影当時全員大学生でした。
「贖罪」がテーマとなっている今作。企画当初は、十数年前に暴行を受けた女性が男性に復習するという全く異なる物語だったそうです。しかし、作品制作のために様々なことを調べていくうちに方向転換し、三か月以上練っていた企画を白紙にしたそうです。
そして、主演を務めた阿部倫士さんは坊主頭&ヒゲ面の主人公・浩役を演じるにあたり「撮影の三週間前に『5キロ痩せろ』と言われた。無茶苦茶。親が一番心配していました。家に帰ってくると急に坊主頭でヒゲ面だし、ごはんは食べないし(笑)」とおっしゃっていました。
さらに、強姦される女子役を演じた佐藤有紗さんは撮影を振り返り「暴行されるシーンは鮮明に覚えていて。海や、雨を吸った畳の湿気の匂い。つくられた物語だとしても厳しかった」と言葉にならない苦しみが渦巻く胸中を明かして下さいました。
そして、高橋監督は次回作には『これが高橋賢成だ!』というエンターテインメントに富んだ作品をつくりたいと意欲的な姿勢を見せて下さいました。
次回の上映は
10/29(月) 17:25- @六本木SC1
鑑賞者 :いずみ