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日の沈むところへ

2018.08.01 08:59

 皆様いかがお過ごしでしょうか、夏はどちらかにお出かけになりますか?一日だけですが、関西方面か東北方面かどちらに行こうか迷っております。体調管理にお気を付けくださいね。


 前号では出雲のカバー工場見学を書かせて頂きました。その前日、出雲大社から西の方へ向かうと、そこは風光明媚な美しい場所、日御碕。日が沈む聖地です。

 1月9日、出雲大社を後にレンタカーを日御碕へと走らせます。左右に畑や民家、小高い丘のような山を抜けると「やっと海が見えた!」と、日本海が広がり、正面にぽっこりとした島が現れます。島の前には砂浜が広がり、旧暦の10月には日本国中の神々をこの浜で迎え、出雲大社で会議をされるそうです。翌年のカップルの縁結びも、議題に上がるそうですよ。全国的には「神無月」。出雲では「神在月」の話は有名ですよね。

  潮の香りを感じながら車を走らせると、まばらに建つ民家から右に山、左に海。だんだんと、山道に入ります。急なカーブを進むと、海が間近なのも分からない位、山道を登ったり降りたり。

 途中【日御碕神社が一望できます】と言う看板があり、早速車を止めて海の方角を眺めます。

「これは美しい!」広大な日本海と松林の翠を背景に、丹で塗られたお宮の建物群は鮮やかさを際立たせ、眼下に広がります。その美しさはまるで竜宮城。しばらく見とれてしまうほど、感動いたしました。


 再び車を走らせると漁村の雰囲気です。神社の駐車場に車を止めると私しかおらず、辺りはシーンと静かで、時が止まったよう。

 趣のある細い参道を進むと、まるで「京都にでも来たの?」と思う雰囲気。立派な門の先に、荘厳な社殿が正面と右手の石段の上に建ちます。

 鮮やかな丹の社殿に廻廊の青い窓、その丹色を一層引き立てる松の枝に「青丹よし・・・何て美しいのだろう」と、ここは奈良ではありませんが「青丹よし」の言葉がとても良く合います。

 荘厳な社殿は二棟からなり、門から正面の日 宮、右の小高い所にある神の宮からなります。どちらも鮮やかで、徳川家光が創建したそうです。

 伊勢の神宮が「日本の昼を守る」のに対し、日御碕神社は「日本の夜を守る」ためにお祀りされたそうです。詳しくは分かりませんが、伊勢の方角から太陽が昇り、日御碕に沈むと聞いた事があり、日御碕は日が沈む聖地とされています。

 沈む夕日に感謝をし、また明日の再来を願う、「なるほど、だから太陽の神様をお祀りしているんだ」と日本人の自然に対する感謝や敬意に改めてすごいなと思いました。

 次は日御碕灯台へ。やはり荒々しい日本海、駐車場から海まではだいぶ離れていますが、波しぶきが飛び、口にそのしぶきが入って、しょっぱさを感じます。まだ早い時間なのにお土産屋も閉まり、誰もいませんが、どことなく江ノ島に似た雰囲気。

 すると「どーん」と巨大な白亜の灯台が現れます。この地は日御碕神社が建立されたように、古くから「日」に縁がある岬として知られていました。明治33年に出雲日御碕灯台が建設され、その美しさで知られています。世界灯台100選にも選ばれているそうですよ。

 「スラッとしてキレイな灯台だな!」っと思いながらも風と波しぶきがすごく、早々に灯台内部に入りました。一部灯台の構造が公開され、煉瓦で組まれているのがよく分かります。

「深谷の煉瓦かな?」東京駅をはじめ、明治の建物は煉瓦造りが多いので、深谷の煉瓦だったら嬉しいですね。

 上に登るほど狭く階段も急です。やっとの思いで登り、光が約40キロ沖合まで達するという、全国に5箇所にしかない最大のレンズを見学します。「怖い・・・早く下りなきゃ!」高所恐怖症の私は竦む足をゆっくりと下ろすのでした。

 日御碕を後に、ホテルに戻ります。途中、出雲の阿国の墓と書かれた看板などがあり、時間があれば宍道湖や松江、ベタ踏み坂など、もっと色々見たかったのですが、また次回来た時の楽しみに取って置きます。

 出雲出身の知人に、おいしい食事処を調べてもらいました。なんと、そこは宿泊している駅前ホテルの目の前のお店だったのです。

 時刻は18時前。早速、のどぐろ日本海さんに入るとすでに満席で、カウンター席がやっと1つだけ空いており、ラッキーでした。

「出雲はやっぱり、のどぐろだな?」と、島根県出身超有名テニス選手も大絶賛の、のどぐろの塩焼きと、刺身の盛り合わせを注文いたしました。やはり地元。関東よりもリーズナブルな金額と、のどぐろの大きさも色々と選べます。

「んー、やっぱり美味しい!」と脂がのり、その甘みがジワっと口の中で広がり、美味しいの一言につきます。

 頂きながら昼間にあの波しぶきを浴びた、日本海を思い出しました。「あれだけ荒い所にいるのだから、美味しいはずだよと、独りで納得しています。

お刺身もマグロなどは入っておらず、地の魚の盛り合わせで、旅情をそそります。

「出雲はいいな、いつまでもこの雰囲気、残してほしい」と、奈良や京都とはまた違う、もうひとつの日本の原点に出会えたような旅でした。


※このニューズレターは平成30年8月号です。