合唱コンクールでチコタンを歌った思い出の話をしたい
『天使にラブソングを』であれば、2が好きだ。
物語の舞台は、学校。やんちゃな子どもたち相手に主人公たちが音楽の力も借りながら奮闘し、最後は一致団結で大団円を迎える。
生徒たちの合唱コンクールを見にいくと僕は、ああいった映画の場面を思い出すことがある。
音を楽しむと書いて音楽(これは実際のところ意味が違うらしいけれど)。なんだか合唱は最高に音を楽しんでいる感があって好きだ。たとえ上手じゃなくても、少し乱れたハーモニーですら、一生懸命に紡がれた音は、上記の映画の世界で描かれたような素晴らしい演奏を想起させてくれる。
もちろん僕自身にだって合唱の思い出がある。
目を閉じれば、それはそれは鮮やかに蘇ってくる。鮮やかすぎて眩しくて目を瞑りたいぐらい。いや、もう目は瞑っているのだけれど、ものの喩えである。それぐらい、鮮烈な思い出なのだ。
今日はそんな思い出について語りたい。
合唱の日の思い出
いつだったか『好きな合唱曲ランキング』という記事を書いた。伏線のために貼っておく。
中学生の頃、僕は合唱に憧れを抱いていた。先に言っておくが、歌はそんなに上手くない。なぜそんなにも合唱愛に満ち溢れていたのか定かではない。でも、僕はとにかく合唱コンクールを楽しみにしていた。
歌いたい歌もいっぱいあった。上のランキングでも紹介しているが、「旅立ちの日に」や「時の旅人」を狙っていた。白い光の中で、汗をぬぐって歩いてみたかった。
でも、僕のクラスが選んだ曲は「チコタン」であった。
耳を疑ったあなたのためにもう一度言っておこう。「チコタン」である。なんだそれはである。当時僕らがどうしてこれを選んだのか、その答えを探して勉強を続けてきたけれど、大人になった今でも結局謎は謎のままだ。
「チコタン」は1960年代の交通戦争を示唆した内容の曲で、副題は「ぼくのおよめさん」。冒頭はコミカルな曲調で「なんでかな?」の文言とともに始まる。
話の筋としては、主人公の男の子がチコタン(チエコさんの愛称)に恋をするという設定だ。一方的な想いの表現が続く。歌詞がコミカルで愉快。ただ、早口になっていて合わせるのは難しい。
当初、魚屋で生まれた主人公は、魚が嫌いという理由でチコタンに木っ端微塵に振られる。しかしそこで主人公は諦めない。チコタンの個人情報から、起死回生の一手を思いつく。
そう、チコタンはエビやカニやタコは好きだというのだ。「僕はそれしか売らない日本一の魚屋になる!」と主人公は決意し、見事チコタンのハートを射止める。なんでかな?が溢れるハッピーエンドかと思われた矢先、悲劇は起こる。
トラウマものの衝撃の展開である。勇気のある方は検索をして聴いてみて欲しい。以下、ネタバレがあるので注意である。
もう少し間を開けておく。
おわかりいただけただろうか(心霊風)。
チコタン死んだ。ダンプにひかれてチコタン死んだ。
響くピアノ。ユニゾンで迫る声。狂気である。
当時、僕らのクラスの歌う順番は、割と最初の方だったように思う。
叫ぶように歌うこの曲で、僕らはど頭から体育館を絶望の淵へと追い込み、かつてないショックを保護者の方々や生徒たちの心に刻みつけた。
おかげで、一年生が貰うことは滅多にない優秀賞が獲得できた。
それだけでは終わらない。大盛況だったからか、一年生の終盤に宿泊研修か何かで行った施設でもこの曲を歌った記憶がある。隣のクラスはスピッツの「チェリー」を歌っていた。羨ましかった。
まぁでも考えてみれば「チコタン」もある意味「旅立ちの日に」か。時系列で歌の中を生きる主人公はまさに「時の旅人」かもしれない。それに、僕はこの歌で車の怖さを嫌という程思い知った。もしかしたら、僕が今ゴールド免許保持者なのも、チコタンのおかげかもしれない。
今でも思う。
なぜあの歌を選んだんだろう。
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