星空の生家
2018.10.31 15:06
私は、広い庭をのんびり散策して歩いていた。生家のすぐ近くに小川が流れていた。
昼間は鱒が忙しそうに泳ぎ、夜には蛍が川べりに歌を歌い、川面には夜空の満点の星が映っ
たのであろう。
木々が風に吹かれる音や空高く響く小鳥のさえずり、澄んだ空気を肌で感じながら私はゆっ
くりと進む。
そういう所に彼は天から降りて来たのだ。きっと夜空には彼の星座の魚座が泳いでいたので
あろう。
私は想像しながら歩いていたら時間を忘れそうになり、ふと腕時計を見ると時計の針が正
午を指そうとしていた。
はっと我に返り、私は少し足を速めて門のほうへ戻る道を辿った。
門の外でフレデリックが車の横に立って待っていた。
「お昼はこの近くのレストランへ行きましょう」フレデリックはクールに言った。