タツノコ配信5 ガイド編
どうも、くらげです。
次は、お金がないトドスにとってかけがえのないセルフダイビング、それについてまわるガイドについてです。
セルフダイビングをするには、十分なスキルを持った人がガイドを担当し、チームのスキル内でダイビングをする必要があります。
まず、ガイドをするときに自分よりスキルが高い人と同じ道のりを行くのはやめたほうがいいです。ルートは、チームメンバーのスキルに合わせて決めます。
私は経験の都合上、本数が少ない人やまだスキルが未熟な人の面倒を見ることが多くあります。エアが早い、泳ぐのが遅い。それで、浅場をふらふらと潜るしかないわけで、ミジンベニハゼなんて行けるわけがありません。私は浅場でも生き物を見つけて楽しめるのですが、ダイビングのアイドル、なんて言われたら見に行きたい気持ちもわかります。その気持ちを糧に、スキルアップを目指してほしいものです。
くらげがミジンベニハゼを見せてあげないから、他のチームに入って見に行こうとした。
そしたら、思いのほか進めないし、エアも早くて途中で浮上することになって大変だった。
と言われたことがあります。初心者なのだから、進むのが遅いのは当然ですしエアが早いのも当然です。ミジンベニハゼは距離が長く深い、まれに潮流も通る難易度の高いダイビングです。それを想定し、対策をするのがガイドの役目だと思っています。
途中は中層を泳ぐ、前半でエアを分ける、タンクを引っ張る、中性浮力の調整はやってあげる。行かない。いろいろな対策があります。
ガイドの人は以下を確認しましょう
<自身の>
・ダイビングスキル
・ガイド力
<メンバーの>
・自己管理能力
・エア消費
・進み具合
特にエア消費はルートを決めるときに、水深と距離を決める大切な要素です。
チームメンバーにわからない人がいる場合は、簡単なルートにしましょう。簡単なルートとは、浅くて、目印沿い(ロープや岩礁と砂地のきわ)のルートです。
また、陸上で決めたルートを必ず通る必要はありません。
英断も必要です。
潜降でごたごたがあった、珍しい生き物を前半で見つけてしまった、足がつって前に進めないなどで残圧が思いのほか減っていることがあります。残圧が足りないと思ったら、途中で帰ることも重要です。もちろん、ルートが変えられれば変えることもできます。
<ブリーフィング>
水中に入る前に、どのようなダイビングを計画しているかチームで共有します。また、起きそうな有事に対してどのような対応をするか、あらかじめ説明しておきます。
例えば……
「エントリーしたら沖に向かってロープを進んで、オオウミウマを見ます。ここで時間と残圧を確認して、大丈夫そうなら右、南に進みます。次の分岐を左に進んで、カエルアンコウを見たら同じルートで帰ります。マックス深度は22mくらいですね。カエルアンコウまでいけなそうなら、最初に左に進んで、そのあと北に進んでゴロタ沿いを進んで帰ってきます。ロストしたら1分その場で待って浮上。寒くなったらさむーいって教えてください。あとエキジット時間が1時間後なので、帰り急いでいるときは合わせてください」
みたいな感じですね。
<残圧管理>
残圧は自分のものを軸に、他の人の残圧を予想しましょう。自分の残圧を20使って30使う人がいれば、40使えば60使ってるはずです。
また、水深が深ければもちろん消費するエアも多くなります。水深25mともなれば、ボコボコとエアがなくなっていきます。深場に行くのは、行くことだけが目的ではないでしょう。そこで見たい生物がいるはずです。その滞在時間も考えなくてはいけません。
残圧は50ほど残してエキジットしたいです。帰り道でロープに絡まった、足がつった、エキジット口が荒れて簡単に上がれないなど、トラブルは起きえます。
機材にとっても、残圧が空になると水分が入り壊れやすくなってしまいます。
<NDL管理>
深場や長時間ダイブをするならば、ガイドはダイコンを持っていないメンバーを含めてNDL管理をする必要があります。基本的に、ノーデコ、無減圧ダイビング(NDLがなくなり緊急減圧停止が必要なダイビング、でないダイビングのこと)です。
NDLの数値はダイコンによって違うため、メンバー内の誰かが緊急減圧を要することがあります。(こればっかりは本人から申告してくれないとどうにもなりませんが)そのときは、緊急減圧をしてから上がりましょう。残圧が足りない場合はあきらめましょう。(NDLは自己管理し、やばかったら自分の判断で水深を上げましょう。)
<ルートガイド>
何と言ってもガイドに必要なのは生きて帰ってくること。エキジット口に帰ってこないといけません。
だいたい、ビーチエントリーはどこにいても岸側の方角は同じです。
必ず、岸の方位を覚えましょう。
エントリーした時に、岸側の方位を覚えておくでも、地上のブリーフィングで覚えておくでも、何でも大丈夫です。絶対にこの方位だけは覚えておきましょう。
流れがあるときはやや逆らい気味に進みましょう。
流された分を調整しないと、思うように動けません。
また、探し物にはロープや岩などのほか、水深を使いましょう。ガイドマップには水深が書いてあります。およその水深を知っておくと、間違う確率がぐっと減ったり、通り過ぎたときに気づきやすいです。
帰るときの目安には、いろいろなものが使えます。
変な形の岩や動かないイソギンチャクなどで位置を、落ちていたビンの向きや岩についていたイソバナとその方面で方角を知ることができます。
実は魚はどこにいるような普通種でも、よく見るといる場所いない場所があります。
ミジュン(水面にいる小指くらいの小魚)の大きさも、位置によって違います。
カマスは局所的にいますし、ミギマキやツノダシ、スズメダイ、いろいろな魚が、よく観察していると偏りがあり、目印に使えるんです。
地上で、
「アゲハチョウがいたところを右に曲がる」
なんて覚えたら方向音痴間違いなしかもしれません。
でも魚たちはアゲハチョウに見えて、地域猫くらいには目印になりますよ。
ナビゲーション時に、目印のない砂地などで右往左往移動するのは、できる限り避けた方がいいです。
もしするなら、どう曲がったか、覚えておく必要があります。
常にまっすぐ移動しておけば、あれ、間違ったかな。というときはまっすぐ元に戻れば、元の位置に戻ってくるはずですから。