【Forest Jam (迎忠男)インタビュー】晩秋の森のなかで響くリアル&レベルミュージック。
太平洋に近い、千葉県いすみの森の中で開催されている「フォレストジャム」。今年10周年を迎え、開催は70回を超えた。この森は日本ではないアジアのどこかの国に迷い込んだような錯覚も抱かせてくれる。「フォレストジャム・グランデ」は「フォレストジャム」の拡大版として2010年11月に初開催された。当時は11月に開催されるキャンプインフェスはほとんどなく、野外フェスのライブシーンを担ってきたミュージシャンが集うこともあいまって、その年のフェスシーズンのフィナーレとして「フォレストジャム・グランデ」が存在していたと言っても過言ではない。オーガナイザーの迎忠男さんは東京から千葉に移住し、そして自分の暮らす地で楽しむ場所を作るために「フォレストジャム」をスタートさせた。
文・写真=菊地 崇 text & photo= Takashi Kikuchi
–––– 迎さんが東京を離れ、千葉に移住したのはいつ頃だったのでしょうか。
2000年です。30歳を過ぎて、田舎に住みたいと思って。東京で仕事もあり、行き来できる海の近いところを探していて、結局千葉に行き着いたんです。
–––– 住んでみて、どんな印象を持ちましたか。
サーフィンという文化はあるんだけど、ライブを見るっていう音楽シーンがないなって。フェスも近くではやってなかったから、できたらいいなとは思っていました。
–––– 秋の「フォレストジャム・グランデ」とともに、夏には「サーフジャム」もオーガナイズしています。どちらが最初だったのですか。
「サーフジャム」ですね。最初はビーチフェスではなく、海沿いのカフェとかでもやっていたんですよ。「サーフジャム」を何回かやっているうちに、中滝アートビレッジに出会って。中滝は森だから「フォレストジャム」と名付けたんです。
–––– 中滝アートビレッジに最初に来た時、どんな印象でしたか。
変なところだなって思いましたね。日本じゃないみたいだし。
–––– その「フォレストジャム」が、今年10周年です。どのくらいイベントを続けているのですか。
森の小さなフェスとしてのイベントは70回を超えました。メジャーではなくても、ライブの質が高いミュージシャンたちは多い。そのライブを東京でなくても楽しみたい。そんな思いがあったんだと思います。10年続けてきて、少しずつこっちでの輪も広がってきていると思います。おもしろくしていくには、しつこくやるしかないと思っているんで。
–––– 拡大判でありキャンプインフェスである「フォレストジャム・グランデ」として初開催したのはいつだったのですか。
2010年ですね。中滝の森全体を使えるようになったことが開催の大きなきっかけでした。
–––– 「フォレストジャム・グランデ」は4年休んで一昨年に復活しました。
復活っていうことで少しは盛り上がるだろうなあって思ったんですけど、そうでもなくて。復活2年目の去年も集客っていう部分ではよくなくて。
–––– けれど、早々に今年も開催すると発表しましたよね。その理由は?
去年も自分としては相当楽しかったんです。他ではなかなか実現できないようなラインナップになったと思います。どのバンドのライブも良かったし。11月に開催するフェスそのものが無謀なのか、それとも去年がたまたまダメだったのか。それを確かめたいという気持ちがあります。
–––– フェスも多様化しています。それこそ10年前までは、11月に開催される野外フェスはほとんどなかったのですけど、今では東京近郊では開催されるようになってきた。
「サーフジャム」はフリーということもあって地元密着型になってきています。いっぽう「グランデ」はもうちょっととんがっていたいんですね。そこにいればゆるいんだけど、音楽自体はがっつり響かせる。特に「グランデ」は、やったら自分でも楽しいんですよ。参加するみんなも喜んでくれる。中滝に来れば、ある種のトリップ感もあるじゃないですか。東京からそれほど遠くないのに、「ここはどこ?」って感じられる。このロケーションのなかでのライブ。来た人は気持ちよくて楽しかったと言ってくれる。来ないと良さだったり濃さだったりがなかなか伝わらないんでしょうね。
–––– 10周年の〈フォレストジャム・グランデ〉。どんな時間になればいいと思っていますか。
特別なことは何もしません。いつもの年と同じように、好きなミュージシャンに集まってもらって、楽しい時間になればと思っているんです。
–––– フェスを続ける苦労ってあります?
苦労はあまりないかもしれないですね。不安は多いですけどね。お客さんが入るかな、天気はどうだろうかなっていう。開催が近づいてくると、ずっと天気予報を見ていますよ。
開催日:11月10日(土)〜11日(日)
会場:中滝アートヴィレッジ
出演:F.I.B JOURNAL Six meets 武田カオリ、光風&GREEN MASSIVE、☆.A/NAOITO、山本精一、MAJESTIC CIRCUS、Muff、RABIRABI+IZPON、L.E.D.、ズクナシ、Exotico De Lago、SAIRU、他