大いに狂言を語る野村萬斎「三番叟をやるとゾーンに入る。」と|東京国際映画祭2018
【芸能報道】 WOWOW(4839.T1)は、平成三十年十月三十一日に東京・六本木にて開催中のTIFF二〇一八内において『ノンフィクションW 野村家三代 パリに舞う~万作・萬斎・裕基、未来へ』のトークショーを開催した。日仏友好百六十年の大規模イベント「ジャポニスム二〇一八」の一環として先々月に千秋楽を迎えていた。
本作は十一日に放送。他にも狂言方和泉流の能楽師の野村萬斎(丙午)の映画「陰陽師~おんみょうじ~(二〇〇一)/東宝」等三本、十七日に狂言劇場等四本を放送する。
本作は狂言六百五十年の歴史を担い、未来へ伝える野村家三代が仏・パリで究極の難儀「三番叟(さんばそう)」に挑むもの。狂言自体は猿楽から発展した伝統芸能。能も同じ。だが笑劇(喜劇)である点がポイント。三番叟は、狂言師が神のより代となり、五穀豊穣を願う神秘の舞。パリでは、父である人間国宝の万作(辛未)、萬斎、子である十代の裕基(己卯)が日替わりで披露。三人三様の舞を魅せる事によって芸の伝承に真正面から向き合おうとする三代の闘いに迫る。
<初心者へのアドバイス>
萬斎は映画「シン・ゴジラ(二〇一六)/東宝」でゴジラ役を演じ、新たなゴジラ像を創り上げた。登壇した萬斎は流石の雅を放っていた。「先ず、第一に映像化されるという事は、迚も嬉しい。」と無形の文化を後世に残せる形に喜び。但し、諸刃の剣とも表現した。九十歳に迫る万作が装束を着けて舞う事が最後である可能性も示唆。更に演じている最中には「神に通じ、異界に入る事」をゾーンと表現した。
狂言初心者にもアドバイスがあった。全国に能楽堂はあるものの、映画館よりも敷居が高い点より、文化会館や市のホール等での普及型の公演を勧めた。分かり易い演目・曲で解説が付いている為だ。重ねて能・狂言に精通している人への相談も推した。例えば「柿山伏」「附子(ぶす)」「棒縛(ぼうしばり)」等の演目を挙げ、最低限の知識を得てからの観賞を善しとした。
狂言の良さを「どこにでも居そうな人物にスポットを当てて、その人達も決して誉められない様な事を話題にしつつ、人間生きていれば、こんな事も笑い飛ばせるね、ていう所。」とした。
WOWOWオリジナルドキュメンタリー ノンフィクションW
「パリに舞う~万作・萬斎・裕基、未来へ」
11月11日(日)夜6:30 WOWOWにて放送
wowow.bs/nomurake
記事:金剛正臣、撮影:岡本早百合