【イソップ童話】「蝙蝠とイタチ」ころころと立場を変える卑怯者・・
2016.02.05 01:37
あるとき、あそびまわっていたこうもりが、
あやまって地べたにおちて、
そこにいたいたちに、つかまってしまいました。
いたちは、こうもりが一生けんめい、
命乞をするのをはねつけて、
「わしは鳥が大きらいだから、
つかまえたら、みんな殺すことにしているのだ。」
と、云いました。
すると、こうもりは、
「それではなおのこと助けて下さい。
私は鳥ではありません。ねずみです。」
と、云って、あやうく命をたすかりました。
しばらくたって、又そのこうもりは地に落ちて、
ほかのいたちにつかまりました。いたちは、
「いくら、さわいだってだめだ。
おれはねずみとみたら、どんなことがあっても、のがしはしないから。」
と、どなりました。
すると、こうもりは、
「まあよく見て下さい。私はねずみではありません、
このとおり、空をとぶ鳥です。」
と、云って、つばさをひろげてみせて、
ふたたび命をたすかりましたとさ。