気づかれない・気づきにくい聴覚障害(情報提供)
先日出会った聴覚障害児を育てるお母さん。
その方のお子さんが聴覚障害だと分かるまでの経過が、西日本新聞に掲載されました。
インターネット上にも掲載され、多くの反響があっています。
ご本人の許可をいただき、みみずくのホームページにも掲載することにしました。
インターネット上に掲載されて記事は、時間が経てば見られなくなるでしょう。
同じように悩んでいるご家族のために
みみずくのホームページに情報として「要約」を掲載します。
是非、ご一読ください。
「娘の難聴 分かっていれば」
「小学5年の娘が、最近になって難聴だと分かりました」とお母さん。
新生児スクリーニング検査では「異常なし」だったとのこと。
それでも2歳になってもほとんど言葉が出ず、背後からの物音には反応するものの名前を呼んでも反応なし。
保育士や言語聴覚士に相談したところ「知的障害の疑い」を指摘された。
それから療育に励む毎日。
でもお母さんはずっと違和感を感じていたそう。
「言葉以外は問題ない。どう見ても、聴力を活用していない。聞こえていないのではないか。」
何度も病院に足を運び検査をし、医師に相談するも「言葉が出ないのは知的障害のためでしょう。」との見解。
けれど日々お子さんと向き合うほど「聞こえていない」という思いは、疑いから確信へと変わっていった。
そんな中、通っていた特別支援学校の担任の先生の言葉に後押しされ
聴覚のありとあらゆる検査を受けようと決意。
やっと難聴の一種「オーディトリー・ニューロパチー」であると分かった。
この疾患は「音自体は聞こえるが、雑音が混ざったり不明瞭に聞こえるため、言葉として聞き取ることができない」という特徴があるという。
お母さんがここまで熱心に病院に訴え続けてきたのに
なぜ小学5年まで分からなかったのか。
それは検査方法が盲点だったためだ。
新生児スクリーニング検査や、この症例の方が受けていた検査はOAE検査。
これは耳の内耳までの音の反響を調べる検査。
オーディトリー・ニューロパチーはABRという検査で分かる難聴だった。
ABRは音への反応を脳波によって調べる検査。
この検査の違いから、発覚が遅れてしまった。
現在お子さんは、聴覚特別支援学校に通い手話を使って会話を楽しみ始めている。
「障害は不便だけど不幸じゃない。
けれど、周りの大人が不便に気づいてあげられないのは、子どもにとって不幸じゃないでしょうか。」
お母さんの願いは、自動ABRの普及とともに
親や医師、教育関係者ら子どもに関わる全ての大人に、この難聴を広く知ってもらうことだ。
この症例以外にも
何らかの原因で途中で聞こえなくなるケース
特殊な聞こえ方をしているケース など
新生児スクリーニング検査で問題がなくても、聴覚障害であったという症例があるようです。
それらは特殊であるが故に、専門職者が把握していない聴覚障害もあるでしょう。
お子さんの様子を一番知っているのはご家族です。
知的障害の診断を受けていても、聞こえに不安がある場合
ご家族から病院に働きかけをする必要があるようです。
なかなか動いてくれない病院もあるかもしれませんが、
子どもの将来を思い、視野を広くもって対応してほしいと思います。
他にも、近隣の聴覚特別支援学校の教育相談を利用して
聴力の検査を受けたり、相談したりすることもできます。
この記事が
どこかで悩んでいるご家族の役に立つことを願っています。