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イギリスで医療大麻が合法化

2018.11.04 05:33

イギリスで今月1日から、医療目的での大麻製品の使用が、初めて全国的に合法化されました。

今後、他の治療薬の効果がなかった場合にだけ、専門医によって処方されるそうです。


合法化のきっかけ

イギリスで、深刻なてんかんの症状を持つ少年2人が大麻オイルの利用を禁止されたことで抗議運動が起こり、今回の法緩和が実現したとのこと。

しかし、ある慈善団体は、実際に医療大麻を処方される患者が期待していたよりも「ずっと限られる」のではないかと懸念を示しています。

今回の法改正によって、深刻なてんかんを患う子供たちには十分に処方される設定になっていますが、その他の患者さんや、大麻成分を必要とする症状を持っている人に対しては、どうなのでしょうか?


医療大麻を処方される患者

1日から大麻を使った製品の処方が可能となっていますが、専門医が認めた場合に限られ一般医師からは処方できない様子。

イングランドの医師を対象とした全国保健制度(NHS)の告知では、他の治療方法で効果が見られず患者に利益があるという明確な証拠がある場合にのみ処方されるとされている。

<<医療大麻が処方される可能性がある病例>>

・深刻なてんかんを患った子供(大人はダメなの?)

・がんの化学療法で嘔吐や吐き気をもよおしてしまう成人

・多発性硬化症の成人


これらの症状を持つ患者が専門医の診察を受けていない場合でも、かかりつけの一般医が適切と見なせば紹介してもらえるそうですが、これは本当に限られていますね。

カリフォルニアとは大違いです。

あらゆる医師やメディカルセンターで不眠や頭痛といった症状を書き、提出。

担当医師の設問に数分答え、お金を払えばもらえるメディカルカードとは比較にはならないほど制限されてしまっています。


処方される大麻も規制

内務省は、処方される大麻は医療用に作られ規制の範囲内にあるものと定めています。

医療大麻は実際には錠剤やカプセル、オイルといった形で処方され、煙を吸入するものではないそうです。

処方薬には、大麻に含まれる2物質、向精神作用があり人々をいわゆる「ハイ」にするテトラヒドロカンナビノール(THC)と、薬効を持つ可能性があるとして科学者らが研究しているカンナビジオール(CBD)が、さまざまな量や比率で配合。

これは本当に必要としている患者さんにとっては朗報ですが、嗜好大麻推奨派から見ると、これ以上の規制緩和は今のところ見込めなさそうな風向き。


法改正に踏み切った経緯

法改正以前、大麻を使った医薬品は、治療上の価値がないとされる「スケジュール1」というものに分類されていました。

THCとCBDが含まれたがん疼痛治療薬「サティベックス」などいくつかの医薬品だけが認可されている状態でした。

今回の法改正の発端になったのは、深刻なてんかんを患ったアルフィー・ディングリーくん(7)とビリー・カルドウェルくん(13)

2人の家族は、彼らの症状が大麻オイルで劇的に改善したと話し、当時、この製品は英国では合法的に入手できなかったそう。

当初、内務省はアルフィーくんがこの製品を使うための認可を取り下げてしまいました。

一方ビリーくんの母親シャーロットさんは、カナダで大麻油を購入したが、ヒースロー空港で没収

2人の家族の苦境を受け、英下院では医療大麻をめぐる「おかしくて残酷な」法律に批判が集まりました。

それを受け、内務省は2人に対して医療大麻の使用を認める特別認可を出し、またサジド・ジャビド内相は6月、医療大麻にまつわる規制を見直すことを発表したのです。

見直しの結果、医療大麻には治療上の利益があり、安全基準を満たした製品であれば医師による処方を可能にすべきだとの結論が出されました。

7月にジャビド内相は、大麻を使用した医薬品の処方を専門医に認めると発表。

法改正により、「適切な基準」を満たした医療大麻は、医療目的での使用の可能性があるとされる「スケジュール2」に分類されました。


法改正への反応

ユニバーシティー・コレッジ・ロンドンのマイケル・ブルームフィールド博士は、法改正は賢明な判断だったと話しています。

「最初のうちは、医療大麻製品を処方するのは難しいだろう。だがそれでいいと思う」

「あらゆる医薬品について、強い証拠がない場合は処方を難しくするべきだ。我々は、きちんとした証拠がある薬を処方するべきなのだから」

一方、英国の多発性硬化症支援団体「MSソサエティー」は、NHSが定めたガイダンスでは、医療大麻へのアクセスは「我々が信じていたよりもずっと限られたものになった」と懸念を表明。

同団体のジェネビーブ・エドワーズ氏は、「我々はNHSイングランドに対し、早急にガイダンスを見直し、神経学の専門家と協力して、MS患者が適切な治療を受けられずに失望したままにならないよう務めてほしいと訴えている」そう。

これが、娯楽用大麻の合法化への一歩になるかというと、そうではなくイギリス政府は今回の法改正について、大麻全体の合法化への第一歩ではないと釘を刺している状態。

カナダは10月に娯楽用の大麻の所持・使用を合法化。これはウルグアイに続き、世界で2番目の事例になっています。

ジャビド内相は「医療大麻は厳格に管理される。大麻の娯楽目的での使用を合法化する一歩では決してない」と述べているのです。


イギリスの大麻産業

現在、英国ではEpidiolexという薬の成分として使用するために、大麻が合法的に栽培されています。

米国とヨーロッパの両方の医療機関によって、難病指定されているてんかんの治療について検討されていますが、米国のみ認可が降りている状態。

Epidiolexを作るために使用される特別に栽培される大麻は、英国のBritish Sugerによってウィストンのノーフォークのガラスハウスで栽培されています。

この企業では、主にサトウダイコンの栽培がされていますが、製薬会社GWと独占契約を結んでいるのです。

国連の国際麻薬管理委員会(INCB)によると、英国は2016年に大麻ベースの医薬品の主要生産国であり、輸出国であったことは事実なのですが、現在嗜好大麻の解禁については目処が立っていない状態。

もちろん大麻は違法ですが、警察は少量の大麻所持くらいで逮捕はしないといった事実もあります。

あまりにも広まりすぎて、警察が「嗜好目的で使用」の容疑者を逮捕して回っていたら、ほかの仕事が一切できなくなるという見方も!

ただでさえイギリス警察は人手不足だそうで、空き巣事件などは事実上、捜査をあきらめています。警察は麻薬密輸業者や密売人を逮捕することにこそ力を入れているものの、若者が大麻を吸うことには目をつぶっているそうですよ。

これでは、改めて法改正をするまでもないのかもしれませんね。