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日向山(ひなたやま)赤石山脈の美しい入り口

2018.11.05 04:23

日向山は山梨県北杜市にある標高1660mの山梨百名山です。北杜市は山梨県の北西端にある地域で、長野県との県境になるため赤石山脈(南アルプス)や八ヶ岳があります。日向山は赤石山脈の一部分で、甲斐駒ケ岳や八ヶ岳の展望を楽しむ人が多く集まります。

写真の右側は日向山で後ろに鞍掛山、大岩山が並んでいます。左側は黒戸山と甲斐駒ケ岳、鋸山が並んでいます。

日向山の交通手段は、電車の場合はJR中央本線の日野春駅から北杜市民バスで白州中学校バス停まで移動し、残り数キロmを歩いて尾白川渓谷を登山口にします。マイカーの場合は中央自動車道の須玉ICから甲州街道を走って尾白川渓谷または矢立石の駐車場を登山口にします。下に写っているのは尾白川渓谷の駐車場です。

尾白川渓谷の駐車場は約100台の駐車スペースや売店、公衆トイレが利用できます。また、ここは甲斐駒ケ岳の登山口として利用されるため、早朝から未明にかけて多くの登山客が集まります。

まずは、①の方に向かって歩くと、日向山と甲斐駒ケ岳の分岐点に売店があります。黄色い線の方を少し歩くとキャンプ場や神社へ到着します。

ここは駒ヶ岳神社といわれ、建御雷神から生まれた「天津速駒」という白馬がこの山々にいたことから甲斐駒ケ岳の名前ができたと伝えられています。この神社の裏へ進むと大きな橋が架けられています。その下には尾白川渓谷があります。「尾白川」という名称も白馬の尻尾の流れを意味していることが伝えられています。

花崗岩の白い砂が川の底に溜まり、川の水を美しく輝かせています。ここだけでもたくさんの時間を費やせるほど、素晴らしいスタートを切れる山になっています。

先ほどの売店の分岐点へ戻り、日向山をスタートです。①から②へ向かって登ります。

②のところでは標示が少なくなっているため、木に貼付された赤いテープや岩にスプレーで標示された矢印を探して進みましょう。

始めは日照条件が悪い場所を歩くことになりますが、少しずつ明るい場所へ変わっていきます。登山のコツとしては、冬でも20分程度の有酸素運動が開始されたところで衣類を調整し、ザックの中から飲料水を取りやすくして登山を再スタートすることがポイントとなります。

30分程度で道路に出てきますが、これは矢立石へ登るための道路です。登山道と自分たちがよく歩く道を比較すると歩きやすさの違いが分かります。少し体力が回復できる分、テンションも高くなりますが、3分程度で再び登山道へ入ることになります。

少しでも体力を温存しておきたい方は、このまま道路を登って矢立石へ行く方法がありますが、自動車との接触事故に注意しながら歩いて行かなければなりません。

②を60分歩いて③の矢立石駐車場へ到着しました。日向山の登山ガイドでは、ここを登山口として案内されています。しかし、マイカーを駐車できる台数が少なく、車両進入禁止の区域に駐車し、戻った時には落石が自動車の上に乗っているケースも少なくありません。そのため、ここで駐車をするためには他の登山客より早い時間に到着するか、土日祝日ではない日に来ることがおすすめとなります。

③の矢立石駐車場では休憩するスペースがないため、道路を跨いで再び登山口へ入ることになります。下の写真は、向側の階段に続く道が④の「九十九折りの道」という登山道で、日向山の頂上へ多くの登山者が歩いていきます。左側へ上がった道は⑪の尾白川林道ですが、土砂崩れや落石により車両の進入が禁止されています。

④の登山道へ進むと、紅葉が濃くなってきました。

日向山の登山道では、矢立石から1~10の番号標識が立てかけられています。また、植物も頂上に近づくにつれてカラマツが多くなってきます。

最初は苦しくて番号を追いかけることに気をとられてしまいますが、登るペースに慣れてくるとそれほど厳しい登山コースではありません。次の数字まではおおよそ10分程度を目安に進んでいけばガイドで案内されているペースと同じ速さで登ることができます。

④の登山道を90分間歩いて⑤の日向山の頂上付近へ到着しました。樹木の標識と分岐路を見て焦ってしまいますが、右側へ入ったところに三角点があります。

「寂しいね…。こんな頂上なのか…。何も見えないんじゃない?」と思う人がほとんどだと思いますが、日向山を調べてから登る人は頂上到達を目的にしていないはずです。

⑤で頂上を踏んだ後は、⑥へ移動します。(5分程度)その向こう側は何が待っていたのでしょうか。

⑥の「雁ヶ原(がんがわら)」という砂の広場へ到着しました。目の前に、雨乞岳が見えます。雨乞岳にも「水晶なぎ」という砂の広場がありますが、日向山とともに山梨百名山として素晴らしい展望が期待できます。雁ヶ原の入口にも日向山の柱が立っていました。標高が同じ高さになっているため、こちらを頂上として撮影するといい思い出になりやすいですね。

雁ヶ原(がんがわら)から左側に見えるのは赤石山脈(南アルプス)にある甲斐駒ケ岳です。今回は頭の方に雲がかかっていました。

右側に見えるのは八ヶ岳の南西側です。花崗岩が削れた砂が一体に広がり、そこで絶景を楽しみながらゆっくりとお昼休憩をとることができます。

ここからの景色を見ていると、大自然の神秘的なものを感じたり、力強さや美しさに圧倒されます。

下を見るとこのようになっています…。少しでも滑るようなことがあれば命がなくなってしまいますが、すごい景色に感動して高所恐怖感というものより「ここへきてよかった…」と思う気持ちが強くなります。

ただ、油断は大敵。少しでも気を抜くと本当に落ちてしまいますので、無理はしないように。周囲の登山者にも迷惑がかかることを考えて、大人しく休憩するのが登山のマナーです。

⑥の雁ヶ原(がんがわら)で休憩すると離れたくない気持ちが強くなってしまいますが、私たちは⑦の錦滝方面を目指して下山しました。雁ヶ原の左側から下山できるようになっていますが、しばらく白い砂が続きます。

砂の斜面を一生懸命に登っている人がいましたが進み具合がよくありませんでした。そのため、登山初級者であれば、私たちが登ってきたコースをおすすめします。

⑦の白い砂の坂を全て下ると、⑧の登山道を下山していきます。傾斜がきついためロープや鎖、階段を使用して降りて行きますが、木の根でつまづかないように注意が必要になります。

⑦と⑧を降りて80分で⑨の錦滝へ到着しました。錦滝は尾白川渓谷に流れる水の中でも上流で湧いたものです。川は下流へ行くに連れて他の水と合わさり流れが強く太くなっていきますが、ここは他の水と合わさっていない分だけ小さな滝となっています。

この写真の向こう側(⑨の南側)は大岩山や甲斐駒ケ岳へ行くための林道として使用されていましたが、土砂崩れや落石によって完全な通行止めになっています。そのため、東側の⑩尾白川林道を通って下山してきました。

⑩の尾白川林道は歩きやすい道になっているため自動車が来てもおかしくないのではと思います。しかし、自動車が走行した痕跡がはっきりと残っていません。

しばらく進むと「なるほど…。これじゃバイクでも入ってこれませんね。」というのが分かります。もし運転中にこのような崩落がかぶさってきたらどうなってしまうのでしょうか。これを目の前にして立ち止まり、しばらく自然の力強さに圧倒されていました。しかし、よく見るとこの場所にもロープが設定されてあるため、慎重に進むことで安全に向こう側まで越えることができます。

⑩の尾白川林道を70分歩き、⑪の矢立石へ到着しました。現在、尾白川林道も車両通行止めになっているため、マイカーの進入は矢立石までとなります。

矢立石駐車場から②を下り、1時間かけて①の尾白川渓谷の売店へ戻ってきました。朝は閉まっていましたが、午後は営業していました。ここまで、休憩1時間を入れて往復6時間でした。

①の売店から分岐路を甲斐駒ケ岳の方に進んで、最初に参拝した駒ヶ岳神社を抜けていきます。橋を渡ってから尾白川渓谷に降りると⑫の方へ進むことができます。渓流を間近で感じながら林道とは違った楽しさを味わうことができます。⑬は旭滝といわれ、真下まで近づくことができませんが崖の方から階段を利用して眺めを見ることもできます。

日向山の魅力は、植物や水が多く、綺麗な景色や大自然の現象を堪能できるところです。近くにはキャンプ場や温泉、酒蔵(七賢)があるため、登山の他にも楽しめる観光スポットがあります。

周りに趣味のない方、探している方がいれば日向山へ案内してみてはいかがでしょうか。登山をしなくても、渓谷や滝、林道を少し眺めるだけでも感動が出てきます。違った趣味を持っている方でも、雁ヶ原の展望を目の前にした瞬間、言葉が出なくなってしまうほど登山に感動的な印象を持ち始めます。なかなか人に納得させることが難しいことはよくありますが、自分で感じ取って納得してもらう方法は、登山には合っているのかもしれませんね。