今年は「一無、二少、三多」でますます健やかに
高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、その名のとおり日々の悪しき生活習慣の積み重ねによって起こります。日本生活習慣病予防協会が日常心がけたい生活習慣をわかりやすい標語にしています。それが「一無(いちむ)、二少(にしょう)、三多(さんた)」です。
一無:無煙のすすめ
無煙とはタバコを吸わない生活のことです。タバコの煙には約7,000種以上の化学物質が含まれ、そのうちおよそ250種類に有害成分、70種以上に発がん性が確認されています。
喫煙が引き起こす病気といえば、がんを一番に思い浮かべますが、脳卒中、心筋梗塞、胃・十二指腸潰瘍、さらには糖尿病や白内障、歯周病にまで関係しています。最近では、新型コロナウイルス感染症に関しても、喫煙者は重症化しやすいことがわかっています。
喫煙者はすぐに禁煙しましょう。自分の意志だけで禁煙するのが難しい場合は、禁煙補助薬の力を借りたり、禁煙外来がある医療機関を受診して医師の指導を受けたりすると、成功しやすくなります。
二少:少食・少酒のすすめ
食事は腹八分目、アルコールはほどほどにという意味です。
3食規則正しく、栄養バランスのよい食事が基本ですが、そのうえで、満腹になるまで食べないこと、つまり腹八分目に抑えることが大切です。毎食満腹になるまで食べているとカロリーオーバーが続くことになり、さまざまな生活習慣病の原因となる肥満を招きます。腹八分目にとどめるコツの一つは、ゆっくり食べること。それにはひと口で30回噛むことを目標にするとよいでしょう。
一方、節度ある適度な飲酒は1日当たり純アルコール20gとされています。日本酒なら1合、ビールなら中ビン1本、25度の焼酎なら100mL、ワインなら小グラス2杯が目安です。女性や高齢者はアルコールの影響を受けやすいので、これよりも少量の飲酒にとどめましょう。
三多:多動・多休・多接のすすめ
多動は体をたくさん動かす、多休はしっかり休養する、多接は多くの人や物に接するという意味です。毎日の適度な運動が生活習慣病の予防や改善につながります。気軽に取り組める運動といえばウォーキングです。できれば1日8,000歩、最低でもその半分の4,000歩は歩くようにしましょう。
毎日忙しい日々を送っていると体も心も疲れてしまいます。趣味や旅行などでリフレッシュしましょう。十分な睡眠も大切です。寝る前にスマホやパソコンを操作しない、朝起きたら太陽の光を浴びるなどの習慣は快眠を促します。
多くの人とおしゃべりしたり、さまざまな事物に接したりすることは脳への大きな刺激となります。出かける機会も増え、運動不足解消にも役立ちます。
2024年がスタートしました。「一無、二少、三多」を実践して、健やかな1年にしたいものです。生活習慣病予防についてわからないことがあるときは、薬局の薬剤師に気軽におたずねください。
イラストレーション:堺直子