頭を抱える医師
新型出生前診断は、どこでも受けられるわけではありません。
認定施設で受けることを推奨しています。
では、なぜこんなルールがあるのでしょうか。
著書「新型出生前診断の全てが分かる本」から
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平成25年3月9日に日本産婦人科医学会が、母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査の指針を公表しました。
厚生労働省、母子・保健課課長からも、母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査の指針について通知されています。
これは、妊婦さんが検査やそれに関連する赤ちゃんを正しく理解して、自分の意思で検査を受け、検査を受けることに不利益を被ることがないようにするためです。
その通知の中には、検査前後における専門家による十分な遺伝カウンセリングにより、検査を受ける妊婦やその家族などに検う限界について正確に理解していただく必要があるとしています。
検査を受けることが出来る妊婦については、一定の条件を定めることが必要であり、そのためには学会関係者に限らず、検査に関わる全ての学術団体、医学研究機関、医療機関、臨床検査会社、遺伝子解析施設、遺伝子解析の受託会社、健康関連企業との皆さまにも学会指針を尊重して、妊婦の検査を受けることが必要だと記載されています。
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妊婦さんには、自由に受けていいよ。でも、しっかり遺伝カウンセリングを受けてね。という感じがします。
しかし、新型出生前診断を提供する医療機関は、妊婦さんにこの検査を勧めてはならない。遺伝カウンセリングをしっかり行うように。と記載されてあります。
こうした方針の中で、妊婦さんは自由に受けられる権利はあるが、実際のところ医療機関で新型出生前診断を受けたいと言っても、医師は「受けない方がいい。」と話すことになります。
結局、妊婦さんは希望した検査を受けられないのです、
ですから、無認定施設で新型出生前診断を受ける方が年々増えているのだと思います。
そして、検査結果が出て陽性の場合、相談をする場所がなくなり、夫婦だけで悩むことになるのです。
新型出生前診断を希望したとしても、受けられない。
受けたとしても、陽性の場合は誰にも相談できない。
これが、この検査のねじれを生み、社会的議論と混じり合い、様々な問題が生まれているのです。
検査結果によって、中絶が為されているという問題を解決するには、国がこうした行為を禁止する法を制定するしかないと思うのです。
しかしながら、こうした法を制定すれば、おのずと先天性障害を持つ子、家族への充実した手厚い保障制度を導入しなければなりません。
以前、羊水検査、出生前診断の時も同じように、障がい者を産ませない社会にするのでは?という議論が巻きこりました。
こうした倫理的な問題もありますから、妊婦さんは正しい情報を知り、それに基づいて受けるかどうかを決めることが大切です。
そして、妊婦さんが希望すれば受けられるように医療機関の医師たちは、否定せずに前向きに検査を検討してあげるべきなのです。
おそらく、こうした細かなルールによって、医師と妊婦さんが互いに歩み寄ることができない。
だから、無認定施設で受検する方が多くて、その方が歩み寄って、様々な悩みを聞いてくれるからだと思います。
もし、新型出生前診断を希望するならば、こうしたルールの面からも検査の実情を考えた方が良いのかもしれません。