青年社長の憂うつ

１か月10万で、どうだ！

そんな言葉を

ちょくちょく夜の街で発していた

青年社長はまだ30代

ほんのちょっと

俳優の岩城滉一に似ている既婚者でした

だけど、同業者から舐められないようにと

わざと地味にしていたようで

私はずっと４０代くらいだと思っていたものです

彼は必死に

親から引き継いだ商売を

盛り立てようとして

多角化に挑んだり

時には選挙の応援もしたりと

必死だったようです

どうしても勝ってもらいたい候補がいたときには

その当時、まだあまり普及していない

「コンピューター」を導入して

アルバイトを雇い入れ

毎晩毎晩、深夜まで

データ入力をさせていたものです

そのアルバイト中に紛れ込んでいた私も

クセが強めの人たちと

夜遅くまで働き

毎日が寝不足で疲れ切っていました

幸いなことに

応援していた人は、当選はしましたが…

肝心の商売の経営は、うまくいかなかったのでしょう

数年後…

彼は独り山の中で

発見されたそうです

短い期間ではありましたが

明るい世界と暗い世界の

両方を垣間見た

濃厚な日々でした

社長！

天国の住み心地は

いかがでしょう？

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