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KANGE's log

映画「デス・ウィッシュ」

2018.11.06 15:10

なんとなくスルーするつもりでいたのですが、ちょうど空いた時間と上映時間がぴたりとハマって、なおかつ月曜日でイオンシネマが1,100円だったので、観て来ました。 

1974年のチャールズ・ブロンソン主演「狼よさらば」のリメイクということですが、前作は未見。ただ情報を照らし合わせる限り、「自宅に入った強盗に妻と娘を襲われ、警察の捜査に失望した父親がビジランティズムに目覚め、銃を手に街のクズどもを始末する」という骨格は引きついでいるものの、設定もストーリーも大きく改編され、オリジナルと言っていいのではないかと思います。 

主人公のカージーは、腕利きの外科医。つまり、目の前の患者が悪人であろうが何だろうが、命を救うのが仕事。この職業倫理と、ビジランテとして他者の命を奪う正義との相克が設定の妙。ただ、そんなに葛藤することもなかったので、ちょっと拍子抜け。ここで葛藤が続くと、東野圭吾「さまよう刃」みたいになるのですが、そうならないところがアメリカというところでしょうか。 

奥さんの実家で、躊躇なく密猟者にライフルを発砲し、自衛する義父の姿を見て、ビジランティズムが芽生えてきたところで、偶然にも患者から銃を入手してしまう。そして、偶然とある事件現場に居合わせてしまって、たまたま犯人を始末できてしまう。そこで、弾けてしまったのでしょうね。倫理を超えた、精神的な快楽までともなって、もう葛藤どころではなくなってしまった。ネットやニュースで「死神」と話題になってしまったのも、気持ちが盛り上がってしまった一因でしょうね。 

そこから、「闇の処刑人誕生!ドヤ!」となるのかと思っていたら、復讐劇にぐいっとシフトする。この展開は上手いと思います。ここで医師を続けつつ、夜は「死神」として暗躍し始めたら、それはもう狂気です(前作は、その狂気が魅力だったらしいですが)。スーパーヒーローならば面白いかもしれせんが、YouTubeで銃の扱いを勉強する素人に、いくら頑張られてもねぇ。ブルース・ウィリスとはいえ、ストーリーの中では手先が器用なただの医師なのですから、よい方向に向かうようには思えません。  

復讐に向かうからこそ、観客も逡巡なく「やっちまぇ」と思えるのではないでしょうか。闇の処刑人として突っ走しれば、その是非について議論を起こすという意義はありますが、今回の展開のほうが、娯楽作としては楽しめるはずです。 実際、ニュース番組ではいろいろな角度の見解が出てきますし、模倣犯が出てきて混乱する話題も出てきますので、意識的に、ここのバランスをとっているのだと思います。  

復讐方法は、もっと痛くて辛い描写になるのかと思ってましたが、ピタゴラスイッチ的なものもあり、ある意味コメディでもありました。医師ならではの追い込み方もあって、いいですねぇ。 

ラストの刑事とのやりとりも、「え? そんな話、通っちゃうの?」と思いますが、警察はあの感じですから、なくはないのかなぁと思います。銃を購入するタイミングとかは、うまく話がまとめられてましたし。  

突っ込み始めたら、「銃はともかく、弾はどうしたの?」とか、「手をケガしたまま手術できちゃうの?」とか、「現場に証拠残しすぎ!」とか、山のようにいろいろありますが、まあ、そこはもういいでしょう。 


 「グルテンフリーなんて、なんとなく健康に良さげだけど、それじゃ毎日つまらないよね。たまにはピザでジャンクにキメてやろうぜ」ということなんだと思いますよ。 

しかし、ブルース・ウィリスがフードをかぶると、どうしても某映画を思い起こしてしまうので、そこは何とかしてほしかった。