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TAKA New Year Jazz Concert 2024 ご来場ありがとうございました!

2024.01.14 13:30

TAKA x Nori Ochiai Trio Winter Jazz Concert

ジャズの本場、ニューヨークで長く演奏されたピアニストのNori Ochiaiさんと、同じく同時期にニューヨークでご活躍された超ベテランベーシストのMarvie Asakuraさん、Noriさんと長年一緒にプレイしてきたドラマーの熊谷誠さんとの初共演でした。

入り時間より30分ほど早く楽屋にはいると、Marvieさんが既にお待ち。昼間は銀座でお仕事があり、今日はダブルヘッダーとのこと。喜寿を迎えられたというのに、本当にお元気でこちらも元気をもらいます。Noriさん、熊谷さんが次々を現れ、それぞれ楽器のセッティングに取り掛かること10分ほど。ドラムセットの準備ができたところ、音出し開始。

私、普段はどちらかというと、リハなしのライブに慣れていることもあり、逆にリハがあるとさて、どうしようかなと思ってしまうこともあるのですが、小一時間で15曲をさっと通しておかねばと集中。特にアレンジもないスイングやバラードはさらっと終えて、特にビバップものに時間を使う。やり方は無数にあるので、一旦私がこうしたいと提案したうえで、皆さんの意見も聞いて最終的にこうしましょうと決める。でも、実際本番ではハプニングも起こるので、その時はその時でみんなで何とかしようね、それもジャズと笑って飛ばせるのが、このクラスの皆さんのいいところ。ベテランのMarvieさんは引き出しが多いので、色々アイデアが出てきて、これだけでも勉強になりました。

曲数も多いので、今回はインストものはナシで全部歌入りのセットリスト。その分、テンポのよいスイングやラテンの曲は、どんどん回してみんなで盛り上げていきましょうと。インストのライブでは、一曲10分以上かかることは普通にあるので、そんな雰囲気。Noriさんとは、ライブこそ初共演でしたが、Noriさんがホストのジャムセッションでは何度もお相手いただいているし、いつも手練れのプレイヤーの方も入って、納得いくまで自分の魂を解放して色々チャレンジしてみるというのが、Noriさんのスピリットなので、私も少しその本場もん?の流儀には慣れてきたところ。(笑)

First Setは、Pennies from Heavenを丁度良い感じのミディアムスイングで始める。2コーラス歌って、さてスキャットもと思っていたのに、少し躊躇してピアノに回してしまったのが、遠慮に取られて、そのあとみなさんソロをあまり回さずに終えてしまって、若干不完全燃焼気味。。。いかん。。。ここから、バラードとボサノバなので、あんまり引っ張れないしなあ。。MC長いのは嫌われるので、曲で頑張ろう!4曲目のBeautiful Loveは、ベースとのデュオスタートからのトリオが入って歌はフェイク、短調系のスキャットはスケールが難しいところもあるのですが、ここはチャレンジ。その後もピアノ、ベースも受けてくれて、良い感じ。ドラムとのインタープレイも。。やっぱりこれだよな。。段々みんなエンジンかかってきた!

次は、見せ場のCaravan。ドラムのカッコいいところを見せられるといいですね。ドラムソロから、ピアノ、ベースとVampで入ってきて、ボーカルもふわっと音をだしてイントロに乗っていく、こういう曲は、ボサノバもそうだけど、イントロは長くてもワクワクして楽しい。どこから入るかはVampなのでボーカル次第。この曲も短調の曲で、しかも全音符の塊みたいな曲。ピアノトリオで、ロングトーンが出せるのはボーカルだけなので、2コーラス、フェイクも含めて思い切りやりましょう!!フェイクでは幻想的に!ピアノソロ、来ました!何度も回していくうちに、どんどん音が重なって厚みのある演奏に。二度と同じフレーズが出てこないのがすごいよなあ。。どんだけ引き出しあるんだろう。。。Noriさん!さて、待望のドラムソロ。ここはもうオープンで好きなようにやってもらうのがよい。熊谷さん、最初はラテンのリズムでしたが、途中から解き放たれて素晴らしいドラミング、思わず会場からも声援が飛ぶ!ここで若干のハプニング、ドラムソロがとても盛り上がってきてお客様からも声援をいただく。なんとなくドラムはそろそろ終わろうかなというシグナルを出し始めた矢先に、Marvieさんが察して、『More! More!』の掛け声。熊谷さんは、なんのことかと、一旦手を止める。。これって、外から見ると事故のように見えるかもしれませんが、これもネタかと思わせるやりとり(笑)。いやあ、やっぱりCaravanはこれだよなあ。ドラムのあるなしはこういうところで出ますね。

一曲ポップスでBilly JoelのNew York State of Mind。普段は8ビードでやることが多いが、もっとジャズっぽくやろうということで、少し跳ねた感じのジャズバラード。Noriさん、イントロからものすごくブルージーな音の使いかたで、こちらも気合いが入る。やっぱりポップスって、原曲のイメージが強いから、お互いそれは頭の隅に置きつつも、やっぱりなにか別のものを生み出そうとするのがジャズらしくてよい!このセット最後は、アップテンポのスイングでJust Friends!割とパンパンと進行したので、まだ時間の余裕もあるし、ここは一曲10分超えで各人思い切り個性を発揮しましょうと、皆に目線を送る!(笑)ベースとのデュオからのトリオで入って2コーラス。この曲はスキャットにもとてもなじむので、一回目前半はスキャットはおなじみサラヴォーンのやつ、その後はあんまり音数や高音を多用しないようにしっとり目に、二回目は、三連や8分音符、ハイトーンも色々使ってのスキャットからのピアノへ!Noriさん本領発揮で何回回したかな?いやあ、見てるだけでも楽しい!Marvieさんに回って、ドラムも8バース、4バースと回って、ボーカルがテーマへ。最後は逆循環で回して、その間に皆さんのご紹介からのエンディング。

Second Setは、もっとみんな思い切り時間使った方がいいよねということで、最初からどんどん行きましょうということで、On a clear dayは、Rubatoから入る。NoriさんのRubatoの伴奏は、とにかくヴォーカルの動きをよく見ていて、本当に素晴らしい。こちらも感情豊かに、歌詞を紡ぎながらお伝えしていく。やっぱりこの曲は幻想的だなあ。You can see foreverとついているだけのことはある。普段はG Majorで歌うことが多いが、RubatoやScatを多用するときは、上を残しておく方がよいので、全音下げた。その方がテーマも含めて音の厚みがでるような気がしますね。なんでも高くすればよいというものではない。次はNever Let Me Go。これは本当に美しいバラードである。特にNoriさんのピアノはバラードで最強にキラキラと輝くので、Very Slowなテンポでお互いに緊張感を持って掛け合っていく。長く歌っている曲ですが、最近やっと主人公の世界観が理解できるような気がしている。この曲は歌ってはダメだ。語り続けなければ。


ここからは、後半戦の盛り上がりに向けてビバップの名曲が続く、Moanin'からのNica’s Dream。どちらもトリオが最高に生かされる曲。お客さんも乗ってきた!随所に掛け声がかかる!いいなあ。この雰囲気!最高!Moanin'に歌詞がついていることは知らない方もいらっしゃるのですが、ちゃんとあるんですよ。この曲、ソロに入ると4つのコードを基本的にずっと繰り返す単調な構成になるので、このスキャットは実はそれぞれのソリストのアイデアの出しどころ。私も、なんとなく原曲のイメージも持ちながら、良いものは使いつつ、オリジナルで自分のなかで湧いてくるリズムや音を出していく。Nica's Dreamもずっと歌詞のない曲でしたが、Dee Dee Bridgewaterの歌唱がとても有名になって以来、ヴォーカルでもカバーする人が増えた印象。Dee Deeのイントロはすでに原曲のHorace Silverのものより認知されているような気がします。私も、例にもれずそこからのスタートで、これもまた有名な2nd Riffも取り入れて、最後も、お決まりのフレーズで。最後、カットアウトして終わる約束だったのに、私がなんとなく物足りなくなって、「パーン!」ってDmの音出したらみんなついてきてくれた。嬉しい!!

オズの魔法使いのテーマ曲、Over the rainbowで少ししっとりと。この曲は、Judy Garlandが14歳の時に歌ったというが、確かに映画会社の重鎮が、もっと簡単な曲にした方がよいのではと悩んだというだけのことはある。のっけから1オクターブ飛ぶ。ここを丁寧に美しく歌えないとがっかりなので、キーの選定も難しい。一方、低音もガッツりあるので、上から下まで美しく深い響きを作るのはとても難しい曲だと思う。一方、みんな知っている曲なので、なんとなくみなうなずきながら聞いているのもわかって嬉しい。Noriさんのソロも素晴らしく、最後の締めはいつものHi Ab!ははは。。この音、ビブラートかけずにパーンと当てるの、ほんと勇気がいるの。。。でも、最近頭蓋骨も響く感じがするし、よいのかなあ。。ボイトレでは、実際にはもっと上の音もでるので、Abぐらいは使えないといけないのだろうと思うけど。

またバップ時代の渋い曲、Devil May Care。この曲、何年か前にDiana Krallが歌ってから色々な人が歌うようになったように思う。あんまりインストではやらない曲。ベーシストは、コード進行が変わっているので気を遣うと皆さんおっしゃいます。この曲も短調曲なので、ベースとのデュオがめちゃくちゃ映えますね。Marvieさんのベースは、リズム刻んでいるだけではなくて、特にボーカルとのデュオの時は、キチンとフィルインも入れてくるし、めちゃくちゃグループ感があるので、やっぱり一流のベーシストは全然違うなあ。こっちもちゃんとスイングのグルーブ出していかないとね!汗 

締めは、数年前に惜しまれて亡くなったフランスの巨匠ミッシェル・ルグラン作のWhat are You Doing the Rest of Your Life? なんという歌詞。美しいメロディーライン。そしてサビは見事に転調を繰り返し、天使が出てきそうだ。この短調と長調の対比がなんとも美しいですね。これを最後に持ってきたことは初めてだけど、ピアノもベースもどちらのソロも聞いて欲しかったし、尺も少し長めの曲なので、良かったかな。最後のWith You!は、9thで締めるのが美しいように感じています。ルートで締めてもいいのだけれど。ルートだと、なんか完全に終わってしまう感じがして、9thだとまだその先の人生があるのではないかという気分になるのです。

ありがたいことにアンコールもいただき、最初はWhat a Wonderful Worldも考えていたのですが、最後がバラードで終わったので、みんなで気持ちよくにぎやかにスイングできるOn the Sunnyside of the Streetで。NHKの朝ドラでCome come everybodyで脚光を浴びたせいもあって、最近は多くの方が知っている曲。やっぱりTVの影響は大きいのですね。古いNew Orleansジャズの血を引く曲なので、いつもあんなイメージでやってます。

今回は、Noriさん、Marvieさん、熊谷さんの胸を借りるつもりで臨みましたが。色々細かなハプニングはありましたが、私も必死でみんなの音を聞いて、私自身も発信して、その場でしか出てこない音を出して、お客様とのインタラクションもどんどん増えて、最後はお店全体が一体になったような時間になったような気がします。多くのお客様に、とても楽しかったと言っていただいて、それがミュージシャンの端くれとしては一番幸せ。そして終焉後、Noriトリオの皆さんとの反省会。Marvieさんから、「とても楽しかったね」と言っていただいて、本当に嬉しかった。MarvieさんもNoriさんも色々チャレンジして失敗しながらよくしていくことを是とされていて、一人ひとりが個性豊かに独創的にプレイしながら、常にお互いの音に耳を澄ませて、コミュニケーションを取りながらみんなで一つの音を作っていく。それが、お客さまにも伝播して一体感が生まれる。これは、ジャズですね。

また、こんなすごい人たちと演奏する機会があるだろうか。一期一会のこの世界。また明日から修行して、色々なプレイヤーの方からコラボしたいと言われるようなボーカルになりたいものだ。

お越しいただいたお客様、一緒にプレイしてくださったミュージシャンのみなさま、そしておいしいお料理を出して歓迎くれた吉祥寺Mj Smileのスタッフの皆様に感謝です!

2024.1.13

Mj Smile吉祥寺

Piano: Nori Ochiai

Bass: Marvie Asakura

Drums: Makoto Kumagai

Vocal: TAKA

Set List

1 Pennies From Heaven

2 I Want To Talk About You

3 Corcovado

4 Beautiful Love

5 Caravan

6 New York State of Mind

7 Just Friends

8 On a Clear Day

9 Never Let Me Go

10 Moanin'

11 Nica's Dream

12 Over The Rainbow

13 What are You Doing the Rest of Your Life?

14 Devil May Care

Encl. On the Sunnyside of the Street