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A.Hashimoto's blog

医療の現実

2024.01.16 02:14

手術中の家族待合室を覗いた看護師さんが「終わりました」と声を掛けてくれた時、ちょうど待合室の前を、家人を載せたベッドが通過するところだった。でかい家人はベッドの前後左右に目いっぱい。「すいません、さぞかし重かったでしょう」とは、内心で呟いた。

「無事に、出血もあまりなく、予定した通りに手術できました」と担当されたらしい先生が説明。しかしそれは廊下での立ち話で、数分で「では」と帰りかけたのには少々驚いた。この方がずっと担当されて来た先生で、そして今のこれが術後の家族への説明なのか、と戸惑ったのだ。それで思わず「リハビリはしていただけるんですよね」と尋ねてしまった。対して、先生は即答だった。「当院(JCHO)でリハビリはできません」「リハビリが必要と思われましたら、適当な病院を探して、転院してください。紹介状は書きます」。では、と急ぎ足で先生は去って行った。

しばし呆然として、人気の無いガラス張りの病棟待合コーナーに佇む。おっと、家人に声を掛けなきゃ、と病室へ入る。でも瞼を開くのもやっと、という様子。そこにちょうど看護師さんが来て、どうやら下の世話をしそうだった。それを機に、「がんばりましたね、お疲れ様」と一言だけ声を掛けて帰った。

手術とリハビリがセットになって長くお付き合いいただく、という時代はもう終わっている。それをわかっていたはず。リハビリは慢性期の医療ということで、それなりの施設ができている。先生が言うのは、「それを探すのは当事者です」ということなのだろう。

私は経験と立場から見えることが普通よりは少し多いかもしれない。それでも、と思う。JCHOから飯田橋駅へと向かうなだらかな坂を下りながら、高度医療を行う病院にお世話になっている現実を振り返りつつ、率直なところ「きついなあ」と思った。だからこそ医療と全く関係ない暮らしをしてきた人とその家族が、ある日突然「直ぐ入院を」と言われたら…。それを思えば、整形の領域の現況をしっかり見極め、納得できるようにお付き合いいただくよう態勢を整えればよい、ということかもしれない。