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私のシベリウス ②-2 聴くコツと作品分類

2024.01.19 13:23

さて、ここまで「耳馴染みが悪い」「繰り返し何度も聴かないとわからない」と散々脅かしてきたシベリウスの作品ですが、本当にそこまで馴染みにくいものでしょうか?

実は、その答えは、ノー。



でもそのためには、「聴くコツ」を知った上で、それに合わせた「作品選択」が必要。

「②-3.おススメの曲」に進む前に、まず説明いたします。

尚、この考え方・作品分類方法は当HPオリジナルですので、くれぐれもご留意願います。 



Ⅰ.シベリウスの作品を「聴くコツ」

1.作品の区分とその特性

その作品は交響曲から合唱曲まで多岐にわたりますが、シベリウスの作品をわかりやすく聴くために、まずは下記の3つに分類し、それぞれの大雑把な特性についても触れます。

(1) 交響曲

①シベリウスにとって交響曲は「人生をかけた芸術的挑戦」であり、「ベートーヴェン以降、最大の交響曲作曲家」という看板はダテではない

②ロマン派の終焉、調性崩壊等、時代の移り変わりに追随しつつも、標題等を廃した極めて抽象度の高い表現、独自の交響曲に対するこだわりを頑固なまでに守り抜いた作品群

③対象作品:交響曲第1番(1899)、第2番(1901)、第3番(1907)、第4番(1911)、第5番(1915/19改訂)、第6番(1923)、第7番(1924)

④【結論】シベリウスらしさ=そのエッセンス・魅力が凝縮して詰まっている珠玉の作品群。その反面、わかりにくい、一筋縄ではいかない分野



(2) 交響詩・音詩・劇付随音楽

①シベリウスがずっと愛されてきた国は、英国や北欧

②その理由は定かではないが、これらの国には元々ドイツ音楽の伝統がなかったこと、ピーター・ラビットやムーミン等、「ファンタジー」が生まれ、それを愛する国だからでは?

③もしそうであれば、蛍がぼんやり飛ぶ幻想的な光景、風鈴が鳴ったり、鈴虫やこおろぎが鳴く等、「欧米人には認識しにくい」と言われる音・空間を日常として認識している日本も素養十分。考えてみれば、ピーター・ラビットやムーミンも素直に受容してきた歴史あり

④交響詩や音詩は、オーケストラのための標題音楽=情景や雰囲気等を描写した音楽に、作曲家がつける名前ですが、「ファンタジー」を描くのにもピッタリな形態

⑤シベリウスの交響詩や音詩等は、祖国フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」等からインスピレーションを得て、作られた作品。また、劇付随音楽はその名のとおり、劇のために書かれた作品。よって、どの曲もシベリウスらしさ満開ではあるものの、比較的その内容がイメージしやすい

⑥対象作品は下記

⑦【結論】シベリウスの作品の中では、その魅力が一番わかりやすい分野であり、ハマりやすい味わいのある作品の宝庫



a.交響詩:森の精(1895)、レンミンカイネン組曲(1896)(含「トゥオネラの白鳥」)、吟遊詩人(1913)、タピオラ(1926)

b.音詩:エン・サガ(伝説)(1893)、フィンランディア(1899)、火の起源(1902)、夜の騎行と日の出(1909)、ルオンノタル(1913)、オセアニデス(大洋の女神)(1914)

c.音詩他:春の歌(1894)、ポホヨラの娘(1906、交響的幻想曲)、樹の精(1910、音画)

d.劇付随音楽カレリア(1893)(後に、序曲作品10、組曲作品11)、クリスティアン2世(1898)、クオレマ(死)(1903、後に「悲しきワルツ」と「鶴のいる情景」が改訂・独立)、 ペレアスとメリザンド(1905)、白鳥姫(1908)、テンペスト(1926)



(3) その他

①シベリウスには上記以外の作品も多数あり、驚かされますが、まだ評価され始めたばかりで、少し聴かれ始めたかな?といった作品も多いのが実態。尚、クレルヴォ交響曲は交響詩の中に入れるべきかもしれませんが、ここではその他で扱います。

②対象作品は下記

ヴァイオリン協奏曲(1904)、弦楽四重奏曲ニ短調『内なる声 』(1909)、クレルヴォ交響曲(1892)、無伴奏合唱曲「ラカスタヴァ(恋人)」(1894)、オペラ「塔のなかの乙女」(1896)等、多数

③【結論】有象無象の現在研究中の分野。最初は、特に目立っている曲だけを聴けばいいかな?程度



Ⅱ.聴く作品を選びやすくするための「作品分類」

1.作品分類方針

 シベリウスの作品を「聴きやすさ、馴染みやすさ」等という観点から作品を分類

2.分類の手順と方法

(1)  作品の「形式」毎に3つに分類(上述Ⅰのとおり): A.交響曲、B.交響詩、C.その他

(2)  各「形式」毎にその中を更に分類

①「A.交響曲」:曲に対する私のイメージで下記の4つに分類

 A1.売れ筋、A2.醍醐味、A3.玄人筋、A4.大穴

②「B.交響詩」:作品毎の様式名と曲に対する私のイメージで下記の8つに分類:

B1a.交響詩(売れ筋)、B1b.交響詩(醍醐味)、B2a.音詩等(売れ筋)、B2a.音詩(醍醐味)、B2c.音詩等(玄人筋)、B3a.劇付随音楽(売れ筋)、B3b.劇付随音楽(醍醐味)、B4.その他

③「C.その他」:曲のイメージで下記の4つに分類

C1.売れ筋、C2.醍醐味、C3.玄人筋、C4.大穴、C5.その他



3.分類結果一覧

さぁ、下記のとおり分類してみましたが、何をどう聴いていきましょうか?

この結果を踏まえた「②-2おススメの曲」、どうぞお楽しみに !: こちらへ(鋭意工事中、1/21公開予定)


A.交響曲

・A1.交響曲(売れ筋):第1番(1899)、第2番(1901)

・A2.交響曲(醍醐味):第5番(1915/19改訂)、第6番(1923)、第7番(1924)

・A3.交響曲(玄人筋):第4番(1911)

・A4.交響曲(大 穴):第3番(1907)  

B.交響詩

・B1a.交響詩(売れ筋):トゥオネラの白鳥(1896)

・B1b.交響詩(醍醐味):タピオラ(1926)

・B2a.音詩等(売れ筋):フィンランディア(1899)

・B2b.音詩等(醍醐味):エン・サガ(1893)、夜の騎行と日の出(1909)

・B2c.音詩等(玄人筋):ポホヨラの娘(1906)、オセアニデス(大洋の女神)(1914)

・B3a.劇付随音楽(売れ筋):悲しきワルツ(1904)

・B3b.劇付随音楽(醍醐味):クリスティアン2世(1898)、ペレアスとメリザンド(1905)

・B4.その他:上記以外

C.その他

・C1.その他(売れ筋):ヴァイオリン協奏曲(1904)

・C2.その他(醍醐味): -

・C3.その他(玄人筋):弦楽四重奏曲ニ短調『内なる声 』(1909)

・C4.その他(大穴) :クレルヴォ交響曲(1892)

・C5.その他(その他):上記以外



【私のシベリウス】

①序章:こちら

②ようこそ!ここ~シベリウスの世界~へ

- 1.本文:こちら

- 2.聴くコツと作品分類:本頁

- .おススメの曲:こちら

(a)(大音量で聴く必要のない)親しみやすい魅力持ったシベリウス

(b)  一度ハマったら抜けられないファンタジーの世界へ誘うシベリウス

(c)  ハマる人はハマるかも?の尖った魅力のシベリウス

4.おススメの曲おかわり+α:こちら

(a)こんな作品もいかが?ハマる人もいるかも?のシベリウス

(b)シベリウスの交響曲、世界共通No.1

(c)聴き比べ:交響詩「タピオラ」

(d)+α:語るシベリウス、作曲家、指揮者

③年表(参考資料一覧も掲載):こちら

④私がシベリウスにハマったキッカケ:こちら


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