ブルーベリーの冬剪定

ブルーベリーの剪定は、11月~3月の休眠期にしましょう。
急激に寒くなってきてしまいましたが、昼間は比較的暖かいいま。
さあ、剪定をしましょう。
・細かいことは気にするな
剪定と聞くと、経験とセンスがものをいう匠の技が必要な気がしてしまいがちです。
しかし、リンゴやナシと違って、株元から枝が沢山出るブッシュ系のブルーベリーは、
あまり細かいことを気にする必要はありません。
剪定は収量を減らす作業でもあります。
大玉を目指すなら強く切るし、摘み取り園のように収量を目指すなら弱く切った方がいいで
す。
・思い切りの良さは大事
●枝剪定のための剪定なので、光が入るように大胆に切りましょう。
その年、実を実らせた枝はもはや「御用済み」だから、切ってしまいましょう。
え、勿体ない!
なんて思った方は少なくないでしょう。
ここで1年の経過をたどってみましょう。
まず春に新梢がでます。
その先端に夏から冬にかけて花芽がつきます。
そして翌年に結実、となります。
だから、1度実をつけた枝は大胆に切り落としてしまい、近くにある新しい枝
(その年の春に出た枝)にバトンタッチするのです。
ちんちくりんな枝も、すべて元から切ってしまいます。
つまり、長さが5㎝以下の枝は、だいたい取り除きます。
たとえ花芽がついていたとしても、間違っても欲はかかないこと。
短くて弱弱しい枝には、良い実は付きはしないのです。
その他、1年枝でも(花芽がついていても)場合によってはバッサリと切り落として
しまうこともあります。
例えば、内側に向かう枝は株内が込み合う原因になる、
地面の方に垂れ下がっている枝には良い実が成らない、
天に向かって勢い良く伸びる徒長枝に結実させても収穫するとき手が届かない、
などの理由です。
ここまでが株の中に充分な光を呼び込むための「枝整理」の話です。
光合成の効率を上げるため、また、大きくて色づきのいい実を得るための基本技術です。
・花芽整理のための剪定
★ハイブッシュ(3~4芽残す)
ハイブッシュは多くの本に書いてあるやり方でいいです。
すなわち、花芽を3~4つ残すようにして切り詰めます。
ただ、それだと1枝に10くらいついている花芽の半分以上を落とすことになってしまいます
が
それで構いません。
花芽が10個だからといって、実が10個しか成らないわけではありません。
1つあればそこから沢山の実が成ります。
花芽を整理しないと、今度は逆に成り過ぎになってしまいます。
実は小玉にしかならないし、樹にも負担がかかりすぎてしまいます。
花芽の制限は、大玉で揃えることが目的なのです。
★ラビットアイ(6~8芽残す)
ラビットアイの花芽は1枝10とは言わず20はいきます。
ハイブッシュのようにしていてはとてもではないが収量は望めません。
そこで、花芽はハイブッシュの倍くらい残します。
杓子定規に「3~4芽」とするのではなく、そもそもの花芽の数が多ければそれに合わせて
残す分も多くします。
ラビットアイの魅力は、『強樹勢』の『多収』です。
枝の伸びが良ければ沢山の実に耐えられるだけの体力もあります。
その特性をみすみす無駄にすることはありません。
ただ、この目安もすべての地域でこのようにするべきというわけではありません。
冬場寒くて寒害が心配される地域や遅霜常習地は、もう1芽2芽残して、
保険をかける配慮も必要です。
・摘み取り園の場合
観光摘み取り園ではまた事情が変わってきます。
市場出荷のように、ほれぼれとした実をつけるような剪定では経営が成り立ちません。
それよりも収量です。
熟期を長くすることも重要です。
沢山の実がついていれば、当然、早く色づいたり、あとから色づいたりと、
ひと枝の中でも熟期にばらつきが出てきます。
市場出荷ではあだとなるこの現象も、摘み取り園ではむしろ都合がいいです。
それだけ収穫が長引き、お客さんがいつ来ても楽しめるからです。
もっとも、ハイブッシュでこんなに成らしたら、樹が枯れてしまいます。
ラビットアイならではの経営戦略ともいえます。
ただし、例外もあります。
甘くて大粒の「メンデイト」は、ラビットアイの中でも指折りの着果量を誇ります。
放っておくと、花芽が1枝30は楽に超えてしまいます。
このように極端に花芽が多い品種は、その数を半分に減らすのです。
さて、冬剪定のやり方はわかっていただけたでしょうか。
本数が少なくて家庭菜園で栽培しているだけなら、大実を目指してバッサリいきましょう。
寒害の為にも麻ひもで樹をぐるっと縛ってしまった方がいいかもしれない地域の方も
いらっしゃるでしょう。
寒い冬を乗り越えて、来年の春、また花芽をつけて欲しいですね。
では、今回はこのあたりで失礼します。
また違う記事にてお会いしましょう。