安堵町行政訴訟と同和問題について
前編
令和6年1月9日に奈良県生駒郡安堵町の同和行政に関わる住民訴訟の判決が出された。判決については神奈川県人権啓発センターという示現舎の宮部龍彦氏が動画とブログで報じている。奈良地裁は安堵町の西本安博町長が不正な請求に応じることで町に生じた損害216万円余りを市長に支払うよう請求を命じる判決を下した。
安堵町の同和地区では元来皮革産業が盛んであり、加工過程で出される皮革の焼却処分時に出る煙が環境問題になっていた。そこで1989年に町は安堵町同和地区産業廃棄物処理組合に対して組合員が出した不要な皮革の廃棄を任意の業者に委託し、処分費用に対して補助金を出してきた。今回の裁判はその産廃処理費用は実態のないもので不正請求なのではないかという住民による訴訟である。
事の切欠は安堵町の町民が安堵町内で皮革加工を行っている事業所は既に皆無となっているにも関わらず未だに皮革産廃処理費用が支出されていることに対して不審に思ったことに始まる。住民が調査したところ安堵町同和地区産業廃棄物処理組合の理事長は名義を貸しているだけで補助金の受領の事実すら把握していなかったという。そもそもこの理事長は安堵町にすら居住していない。実際に町から補助金が振り込まれた口座は町に関係する者ではあるものの安堵町同和地区産業廃棄物処理組合の口座ではなかった。町は正当な支出だと証明するために補助金申請時に添付された産廃処理マニフェストを示したが、この書類にはいくつかの不審点が見られる。まず、補このマニフェストに明記されている日付が助金の対象期間ではなかったこと。次に補助金の対象物が比較処理であるのにマニフェストは建設系廃棄物で固形のガラの処理だと書かれていること。さらに建設受託者、処分受託者、処分先の事業場はゴム印が押されているのに肝心の提出事業者のところだけは手書きであること。そして、このマニフェストの控えがあるはずの奈良県庁には書類が存在していないこと。つまり、このマニュフェストは偽造されたものである可能性が高いことから行政側が敗訴するに至った。現町長が就任した期間に応じて損害の額が決められているが、実際には令和に入って以降は皮革加工の事業所は存在しなくなっていることから堵町同和地区産業廃棄物処理組合による不正請求は少なくても5年以上は続いていたと推測できる。毎月約27万円が支給されてきたのだからざっと計算して5年で1600万円以上が不正に支払われた可能性がある。事業者がいないのに廃棄物が出ることはありえない。
以下、平山観光HPより
安堵町の同和産廃に係る町の支出は杜撰であったことは間違いない。町の同和行政が弱腰であったことから同和事業に対する不正な支出が続いたのではないだろうか。前出の宮部龍彦氏のブログによると安堵町同和地区産業廃棄物処理組合に名義貸しをしていたのは平山という姓を名乗っており安堵町に所在する平山観光株式会社の平山亘氏の親族にあたるらしい。平山亘氏は安堵町の第二の町長と呼ばれていて自由民主党安堵町支部長、部落解放同盟安堵支部長という肩書を持っている。安堵町は自民党高市早苗衆議院議員の選挙区である奈良二区に所在する。平山観光のHPでは平山亘氏と高市早苗議員が一緒に撮った写真が掲載されている。高市早苗議員の政治団体には平山亘氏からの献金も記されている。平山観光のHPによると安堵町長から依頼されて国の中央省庁から補助金や予算を獲得したり、町の同和対策事業特別委員会委員長を務めていたとのこと。平山氏が如何に地元の行政に根を張っていたかがわかる。安堵町には町の規模には合致しない立派なマンションや団地が複数あるがその多くが平山観光の所有不動産であるらしい。地元安堵町では絶対的な威勢を誇る平山観光の平山亘氏であるが2016年に農地法違反の疑いで逮捕され、その後、懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けている。裁判の中で安堵町の元副町長が「職員を平山氏が恫喝しているという話も聞くが聞く方の受け取り方の問題だ」と話している。つまり、平山氏が職員を恫喝するような行為を行っていたことを否定していない。平山氏の逮捕のきっかけとなったのは大手ホームセンターや外資系物流センターとなる予定の広大な敷地の農地転用許可に絡む不正行為である。平山氏はまだ奈良県知事の許可が出る前の農地を造成して不正に農地転用を行っていた。農地転用の許可が下りてからだと土地の価格は数倍に跳ね上がる。平山氏は安堵町の農業委員会の委員長の立場にあったことからその地位を利用して犯行に及んでいる。平山氏は形式的な逮捕を覚悟の上で広大な農地を安く取得し、農地転用前に造成して事業用地として高額で売却した。経済的利益を優先した確信犯だと推測できる。裁判では平山亘氏が過去に傷害罪で逮捕された前歴があることも明らかになっている。地元不動産業者の間では平山亘氏が絡む事案には関わりたくないという者も多い。平山亘氏の実兄が三代目山口組の幹部であったことは地元で知られた話だという。平山亘氏の実兄の平山桂次氏は大阪難波を根城とする南一家の3代目組長であった。今はもう他界し南一家も解散している。平山氏は自身の地位を利用して高速道路のインターチェンジ付近など立地の良い土地を取得して農地転用して利益を上げてきた。自民党の安堵町支部長、部落解放同盟安堵町支部長、農業委員会委員長、実兄が大物暴力団組長と聞くと誰もが怯むのは当然のことだろう。平山亘氏が恐怖で行政や地域経済を支配して来たとは一概には言えないが見えない力が働いてきたのは間違いないだろうと察する。
今回、判決の出た安堵町同和地区産業廃棄物処理組合の産廃処理費用の不正受給も理事長名に平山姓が使われていたことも影響しているのだろう。行政も不正な申請であることを知りつつも支給し続けたのは正しく見えない力に畏怖したと思われる。
暴力団は暴力や犯罪を肯定する反社会的組織として広く社会に周知され暴対法や排除条例で取締りの対象となり私権も制限されている。暴力団以外の国民から怖がられ嫌われる存在であるは間違いない。問題なのはエセ同和団体である。部落差別を口実に不当な利益を得る団体である。例えば企業に電話や訪問をして「同和対策審議会答申を知っているか」と問うが知るはずもない。すると「企業の社会的責任を果たしていない」などと言いがかりをつけて高額図書を売りつけたりする。金融機関で同和団体を名乗り融資を申し込み断られると「部落出身者だから融資しないのか、差別だ」と騒ぎ立てる。会報誌を売りつけようとするエセ右翼団体の行為にも類似したエセ同和団体の悪行が全国で横行し国民に同和団体を反社会的な印象を植え付けることとなった。
物騒な印象を持つのは暴力団やエセ右翼やエセ同和団体だけではない。問題なのはエセではないはずの主に立憲民主党系の部落解放同盟や主に自民党系の自由同和会までも世間から畏怖される存在となっていることである。2003年に同和対策関連法が失効してからは多くの事件で摘発され多数の逮捕者を出している。2004年には「食肉のドン」と言われたハンナングループの浅田満氏が狂牛病問題で50億円もの補助金を不正に取得して逮捕された。浅田氏は食肉の街といわれる向野の部落解放同盟大阪府連向野支部に属し、大阪同和食肉事業協同組合の専務理事であった。2006年には飛鳥会事件で部落解放同盟飛鳥支部長で金田組組員の小西邦彦氏が横領と詐欺罪で逮捕されている。その他にも夥しい数の暴力事件や利権に部落解放同盟が関わってきた歴史がある。多くの国民が否応なく怖く危ないイメージを部落解放同に持つことになった。自由同和会も同様である。部落解放同盟と一緒になって北九州土地転がし事件を起こしたり、和歌山県で支部長がコロナの持続化給付金詐欺で逮捕されたり問題が多い団体と言える。こうしたことから部落解放同盟と自由同和会、エセ同和団体が広く一般的に反社的イメージを抱かれていることは否めない。
1969年、同和対策事業特別措置法が10年の時限立法として成立したことから同和利権が生み出され暴力闘争が激化する。補助金給付などの同和対策事業が開始されるが戦前から続く貧困や住居の環境衛生、就職差別などが10年で解決されるはずもなく、結局は2002年までの33年間にもわたり巨額な公金が同対事業に垂れ流される結果となった。その額は16兆円にも上った。水平社発足以来、人権を旗頭に差別との闘争を行ってきたはずの解放運動は巨額利権の奪取闘争と化し、反社会的組織が利権に群がり、人権問題は利権闘争のツールとして利用されてしまった。解放運動は暴力と隣り合わせとなり同和行政は腐敗し不祥事が日常茶飯事となった。
同対関連法成立以降、部落解放同盟や自由同和会が政治に関わるのは当然の成り行きである。解同からは元解同委員長の上田卓三氏(社会党衆院6期)、元解同副委員長の松本龍氏(民主党衆院7期)、上田卓三氏の秘書であった谷畑孝氏(日本維新の会衆参9期)らの組織内議員を生み出している。解同が選挙で支援している国会議員も福島瑞穂氏や吉田忠智氏や大島九州男氏、又市征治氏、山城博治氏、那谷屋正義氏、石橋通宏氏、難波奨二氏、森屋隆氏ら多数いる。
政治によって生み出された巨額利権と暴力闘争。部落の解放と差別の解消が進むと同和利権も消滅する。部落解放同盟や自由同和会は「部落」や「同和」という言葉を使った表札を今日も全国の関連施設で掲げ続ける。それが同和地区の目印になっているようにも思える。同和行政の腐敗によって多くの自治体で部落出身者の採用枠が存在すると言われている。同和地区を歩くと道路が綺麗になっているところと痛んだままになっているところの境が容易に見て取れる。綺麗に整備されているのが同和地区に指定されている域内である。傷んだままなのが一般地区であることが多い。改良住宅として整備が進められたニコイチ住宅も格安で払い下げられるか、あってないような格安の家賃で賃貸され続けている。改良住宅の賃借権を販売する者や転貸して利ザヤを稼ぐものもいる。
総じて印象が悪くなった同和団体に見られる傾向としてNPO法人への組織替えが見られる。非営利活動法人の冠に付け替えることで反社的イメージを覆そうと目論んでいるのだろう。和歌山県で支援金詐欺で摘発された自由同和会支部もNPO法人を名乗っていた。部落解放運動の起源とも言える水平社関連を名乗る団体もNPO法人を名乗ることが多くなってきたように感じる。水平社の有名な標語である「人の世に熱あれ、人間に光あれ」は「HEAT&LIGHIT」と置き換えられたりする。
一体、融和運動や融和政策とは何だったのだろう。部落や同和の被差別アピールはいわゆる同和団体によって行われていることが多い。「寝てる子を起こす」ということではなく、同和団体による同和地区や同和差別の周知によって寝ている暇がないという状況にも思えてならない。
今から40年以上前の私が小学生の頃に学校の社会見学としてバスで地元の同和地区を巡らされたことがあった。皮を革に変えるなめし工場や皮革加工場、産業廃棄物の処理場や分別場などである。バスを下車する前に先生がマイクで生徒たちに「くさいとか絶対に言ってはダメですよ」「鼻をつまんだり、しかめっ面をすることもだめだからね」としきりに念を押していたことを覚えている。同和地区に行く道中の車中では江戸時代にあった穢多や非人などの被差別部落民があったが明治時代に解放令が出されたことにより差別は許されなくなったことなどが説明された。このようにして地元の同和地区や階級差別をわざわざ学校で教育された。果たしてそこまでする必要があったのか。「差別をするな」とわざわざ差別する根拠まで教えられることで深層心理に部落差別というものが刷り込まれてしまったような気がしてならない。学校教育によって潜在意識に差別を植え付けられた世代がある以上、部落差別は未だ解消されていないと主張する同和団体の活動を容認することに繋がっている。そこには人権問題とは関係のない利権が存在する。得た利権は既得権益でありそう容易く手放すことは無い。既得権益を守るためには人々の差別意識を絶やしてはならないという負のトライアングルに入る。素人ながら現状をそのようなマッチポンプ状態と認識するが違うだろうか。江戸時代の誤った差別的政策は昭和時代の誤った解消法によって悪事の温床ともなり得る利権を生んだ。利権の温存は差別の温存という二律背反する状況を生んだ政治的責任は大きい。
(後編に続く)
参考
【奈良の闇 氷山の一角】入れ墨市会議員が暴れる 触れてはいけない斉場横 改良団地群 タブー視される地区を歩いてみた 歩行型ドローン
https://www.youtube.com/watch?v=oB0Uvl1fIAU
安堵町“同和産廃” 補助金支出が 違法との判決 神奈川県人権啓発センター
https://www.youtube.com/watch?v=La-PvwL5vaw
https://jigensha.info/2024/01/09/dowasanpai/
安堵町の同和のドン、平山亘の曰く付きの土地は 物流センターになっていた 示現社
https://jigensha.info/2023/12/22/lfnara/
高市早苗を 支援した “安堵町第2の町長” 示現社
https://jigensha.info/2021/09/06/hirayama/#google_vignette
社会問題の解決に向けて 平山観光HP
【部落差別】なぜネットで暴走する?地名やルーツを晒される被害が?就職や結婚に今も壁?「知らない世代」どう学ぶべき?|アベプラ
https://www.youtube.com/watch?v=o0opx_QdRe4
「許すな!えせ同和行為」 愛知県
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/jinken/0000005251.html
部落差別(同和問題)と人権 愛知県