【承継知識】事業承継と組織基盤再構築
「自分たちは何のために活動するのか」という組織基盤を再構築することは、福祉経営においても他の事業と同様に重要なことである。
今回は組織基盤となるビジョン・ミッション・バリューについて改めて説明すると共に、それと事業承継についての繋がりについて記載したい。
ビジョン・ミッション・バリューと言葉を並べると難しくなるので、ここではよく用いられる「桃太郎とその仲間」を事例に説明していきたい。
桃太郎たちの「ビジョン」は「村を守る勇敢な集団であること」である。つまり、目指すべき理想の姿とも言い換えられる。
桃太郎たちの「ミッション」は「鬼に脅かされることの無い、安心して暮らせる村をつくること」である。つまり桃太郎たちの使命である。
桃太郎たちの「バリュー」は「困難から逃げずに戦う」「一人ではなく仲間と共に」「各々が強みを発揮する」等であろう。つまり行動する上での指針である。
物語の流れからいって、これらの方向性を決めたのは紛れもない桃太郎だろう(独断で決めたか、話し合ったかはさておき)。つまり、ビジョン・ミッション・バリュー(最近ではそれらを定めるための存在意義として「パーパス」という言葉も用いられる)の設定はチームのトップを中心として定められ、最終的には構成するメンバーの行動にまで落とし込まれる。
これを企業に当てはめた場合、事業承継というのはこれらの再構築としては絶好の機会となる。なぜなら、リーダーが桃太郎ではなくなるからだ。リーダーが代われば目指す方向性が全く同じという事ならない可能性も大いにある。それを確かめる上でも、事業承継のタイミングというのは組織基盤を再構築するには最もよく行われるタイミングの一つであると言える。
「温故知新」という言葉があるように、経営においても「何を引き継ぎ、何をアップデートするのか」という事を考える機会として、事業承継は有効に使われるべきであると言えるだろう。
2024年1月25日
合同会社フクノネ 代表
和久津 亮