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石川県人 心の旅 by 石田寛人

能登半島地震と復興

2024.01.26 06:03

 新年おめでとうございます。本年もどうかよろしくお願い申し上げます。

 今年は大変な新年になった。元日の午後4時10分、突如我が故郷を襲った能登半島地震は、県民と国民全体の正月の穏やかさを一変させた。最大震度7は、平時には考えられない揺れである。震度6強でも、立っていることができず、這わないと動くことができず、壁のタイルや窓ガラスの破損、耐震性の低い木造建築は傾き倒れ、大きな地割れが生じ、山体の崩壊が発生することがあるほどの状況であり、震度7では、これらの被害がさらに大きくなって、鉄筋コンクリート造りの建物でも耐震性が低ければ倒れるものが多くなるというような被害と解説されている。能登の最大被害はまさにこのような状況であり、地震の被害は、輪島市、珠洲市、能登町、穴水町、七尾市、志賀町のいわゆる奥能登、中能登だけではなく、羽咋市などの口能登や内灘町や金沢市をはじめとする加賀の市町にも及び、富山県や新潟県の市町村にも達していて、極めて広範囲に及んでいる。金沢市では金沢城の石垣が何か所か崩れ落ちた。加賀の市町では、家屋の倒壊はほとんどないが、それぞれの家の中は、壁の剥落や本棚の倒壊、食器の破損などの被害が大きかったと思われる。小松市の我が家でも、石灯籠の倒壊や砂壁の損傷などの被害を受けたが、これに比べるべくもない能登の状況は筆舌に尽くしがたい。17日のテレビは、亡くなった方は232人、重軽傷者は1045人、安否不明者は21人と報じていた。避難所や避難されている方は多数ある。孤立集落は18日にようやく実質的に解消した。

 私どもは、この地震で命を失われた方々に心からお悔やみ申し上げるとともに、負傷された方々の早期快復と孤立状態に耐えられてきた皆様や長く避難生活を送られている方々に穏やかな日が訪れることを祈念し、そのために微力を尽くしたいと思っている。

 この甚大な被害に対して、国や石川県庁はむろんのこと、全国各地の公的機関や企業や一般の方々、さらには外国の方々からも温かい御厚志と力強く手厚い御支援を頂いている。本当に有り難い。ただただ御礼申し上げる。

この地震を受けて、石川県人会は役員会で、恒例の新年総会と祝賀会を取りやめるとともに、石川県に義捐金をお渡しし、さらなる義捐金の拠出を決定した。これは、現下の県人会としての思いに基づく決定であるが、決して、多くの日常の営みを控えることを是とする意味ではない。通常生活にともなう消費活動とそれに対応する生産活動、そして文化芸術や科学技術の分野の動きも、力強く粛々と続けられるべきである。それによって我が国全体の力が維持強化され、その結果がやがて能登の早期復興につながるものと確信する。

それにしても、能登半島先端部における土地の隆起の映像を見るにつけ、地球の動きの規模の大きさを改めて感じる。地球40億年の歴史において、大陸すら大きく移動しているのだから、地面が動くのは、知識としては当然なのだろうが、目の当たりにする自然の力は強大である。そんな中で、100年ほどの寿命をつなぐ人間一人ひとりの存在は小さいが、人々が共同して活動し、現在に至る高度な文明社会を構築しえたのは、生き物としての極めて高い到達点を示すものであろう。そのことを胸に刻んで、能登半島地震で多くの方々から寄せて頂いた厚いお気持ちに感謝しつつ、力強く復興を進め、さらなる高みを目指すことがなにより重要と思っている。(20024年1月18日)