Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

じゅんじゅんホームページ

諦念のその先へ。

2024.01.29 09:45

『赤ずきんチャチャ』の作者、彩花みん氏の読み切り漫画に、とても好きなお話がある。

なんというタイトルだったのかも覚えてはいないのだが、内容とシーンごとの絵は、今でも覚えている。


冒頭、

「人間はうまれたばかりの時、つるつるのまんまるい心をしている」

といった文章と、水晶玉のようなまあるい玉が描かれているところから話がはじまる。

主人公である赤子の男の子は、いろんな体験をする。

不快な出来事に出会すたびに、つるつるまんまるの心に、かたくて細い棘が生えていく。

ある時父親に、

「あそこにある、まあるいのは、なに?」

と問うと、父親が、

「あれは恐竜のたまごなんだよ。」

と、少年の年頃になった主人公に返答する。

恐竜のたまごという事実に衝撃を受けるとともに、恐竜のうまれてくる様を想像し、興奮する少年。

友達に、

「あれは恐竜のたまごなんだよ!」

と自慢げに話すも、じつは工場の貯蔵タンクであったと知り、大恥をかく。

嘘つきの父親への怒りと、友達から馬鹿にされたショックで、少年の心にはそれまでにない猛スピードで棘が生えてゆく。

そうして青年になった彼の心は、うまれたての頃とは似ても似つかない、毬栗のようなトゲトゲに。

それからもたくさんの理不尽や人とのぶつかり合いを経て、棘を増やし続ける。

紆余曲折ありつつも、最終的には、みっちりと生え揃った棘が、まあるい玉のフォルムを描き、当初とおんなじつるつるではないが、ほわほわのまんまるに相成るのです、というお話。


このお話を読んで、心底感動した。

私が漠然と思っていたことが、始まりからその先まで、とてもわかりやすく、且つ簡潔に、軽快に描かれていた。

怒りや悲しみにより、心がトゲトゲした経験は誰にでもあるとおもう。

好ましくない心ざわりだとしても、それ自体を否定するのはどこか違う気がした。

喜怒哀楽は、人間に備わった仕様であり、宿命である。

それらは、生きているという証でもある。

引きこもりで鬱々とした気持ちにまみれて過ごしていた小中学時代、ひたすらに考えることをし、見飽きるを通り越した天井に、もう何の感情も浮かばなくなった。

そうか、死とは、なにもないことなのだと気付いた。

かなしいやくるしいは、心の震えの種類であり、忌み嫌ったり、恥じることではない。

それら一切がぴたりと止み、凪が訪れ、水面は鏡面の如く一直線に表情を欠く。

或いは、カチ、カチ、カチ、と一定のリズムを刻むメトロノームがゆっくりと息を引き取る、あの感じ。

死とは、なんにもなくなることだ。

悲劇なんてものが可愛らしくみえるほど、死とは圧倒的で絶対的だ。

死にたい、生きたい、死ぬとは、生きるとは、と、自問を繰り返し辿り着いたひとつの原理。

死がもっとも畏怖すべき存在であり状態であるのだとおもった。

いまは、そうは思わない。

死も、宇宙でいうところの過程に過ぎないのだと心の底から感じることができてから、おしまいへの恐怖は、いなくなった。

でもまたきっと、どこからともなく、湧き出てくるのだろう。

負とは、そういうものなのだ。

闇がなければ光を感知できないように、この世はそれぞれが各々の役割りをもち、絶妙なバランスで流動している。

一旦区切られる生と死の境界線まで、一体、どんなことが起こるのだろう。

レールのないジェットコースターを、今日も明日も、噛み締め乍ら、かろやかにステップを。



乙一氏の著書『ZOO』の中の短編「カザリとヨーコ」の中に、大好きなシーンがある。

カザリとヨーコは、一卵性の双子の女の子。

母親は妹のカザリを可愛がり、姉であるヨーコを徹底的に忌み嫌う。

地べたで残飯を食べさせ、衣服は洗わず風呂にも入らせず、暴力も振るう。

ある時、ヒステリックを起こした母親がヨーコの髪を掴み、

「あんたはあたしが産んだんだ!どうしようがあたしの自由なんだ!」

などと叱責する。

自らへの理不尽な扱いをどこか他人事のように俯瞰しているヨーコの、

「いらない子といわれるよりははるかにマシだな。」

といった心のつぶやきに、激しく同意した。

無関心が、透明人間が、いちばんおそろしい。



私は普段、半身浴をしながら本を読む。

濡れた手で紙面をさわる所為で、表紙やめくったページの端は、ぐにゃりと歪んでいたりする。

心に引っかかったページは下の端のところを三角に折り目をつける。

そんな私の文庫本を見た父が、

「本はもっと大切にしなくちゃ駄目だ!」

と、少々憤り乍ら吐いた。

私は、本をぞんざいに扱った覚えも、八つ当たりをした覚えもないので、はて、と疑問に思った。

それと同時に、ああ、父の言う大切にするというのは、"傷を付けずになるべく綺麗な状態を保つこと"なのだと気付いた。

私の中での大切にする、は、"一生、私が抱いてやる"という想いであって、綺麗に扱い読み終えたら古本屋に売却するという感性とは、真反対に位置する。

わざとではないが、ページが破れたり、書き込みをしたり、最終的にボロボロになったそれらは、私が死ぬまでずうっと、この手中に置き面倒をみる覚悟で相対している。

それが、私のなかでの、大切にする、である。


「きみは綺麗なひとだから、もっと、心も身体も大切にしてほしい。」

というお言葉を戴いた。

とてもとても、うれしかった。

前述の話とまったく同じわけではないが、なんとなくの感覚はとてもちかい。

私は、私自身の心や身体をぞんざいに扱った覚えも、八つ当たりをした覚えも、なかった。

所謂思春期には、物理的に自らを傷つけたり、フラストレーションの暴走するままに、自他ともにひどいことをしたこともあった。

いま目の前に広がる人生に於いては、そういった自暴自棄さは見当たらない。

しかしながら、自分以外のだれかが、私のために時間を裂き、思考し、言葉を紡ぎ、きちんと手渡してくれたということは、きっとなにかのご縁なのだろうとおもう。

自分のスタイルではないからと否定や拒否をしてしまうなんて、とんでもない。

心底、うれしい、よろこばしいことである。

私なりに、心も身体もたいせつに、しあわせを感じてゆこうよな、とおもった。

ありがとう。




*2月のライブスケジュール*

2月1日高円寺無力無善寺「アイドルも出ているライブ」

ダムダム団*2日三軒茶屋ヘブンスドア

6日大久保くじら号「フレイヤさん企画」

ダムダム団*12日渋谷Ruby room「もらすとしずむ企画」

13日三軒茶屋ヘブンスドア

∞処女サポート*14日東新宿LOVE TKO「大泉咲さん企画」

15日代々木Barbara「酒クズ女店長写真集発売記念イベント」 

16日高円寺無力無善寺★ビールの日特別編★

ダムダム団*17日吉野町こびとさん「遠藤さん企画」

19日吉祥寺BLACK&BLUE「びりすけさん主催生音酒場」

24日高円寺無力無善寺「無善寺企画神の計画」

ぱぴちぇすたんデビューライブ*29日代々木Barbara??



気付けばライブがたくさん。

ぜんぶ楽しみですが、16日のビール好きな女特別編は、久しぶりのじゅんじゅんフルブッキングなので、ぜひぜひ観にいらしていただけたら。

すばらしい夜を、保証します。

そして、美里ウィンチェスターちゃん率いるぱぴちぇすたん連合第3惑星に加入させていただくことになりました。

相当にお久しぶりなアイドル活動。

29日も、ぜひ。





めまぐるしくも、のぞましい日々。

どこへいっても、ぼくがだいてやる。

ひとりのこらず、箱舟にのせてやる。

そういう面持ちで、心持ちで、今夜も。