母親は魔法使い

「医師には、聞かれても絶対に教えないの！」

2人の子どもと旦那様と暮らすその人は

少し笑ってそう言うのよ

短いアルバイトで知り合い

とても親切にしてくれたその人

お子さんたちは

どうやら血液の病気らしく

治療のために敢えて

総合病院の近くに家を建てたそうで

夜中に子どもを抱えて何度も

病院に走ったそうです

「絶対に治してみせる」と覚悟を決めて

沢山の本を読み、著者に手紙を送ったり

思い切って東京まで、相談しに行ったり

今と違って、新幹線が無い時代

どんなにか大変だったことでしょう

おまけに、その人のご主人様は

子どもの難病には、ちょっぴり無関心

「仕方のないこと」と言うのだそうです

でもでも、母であるその人は諦めない

毎日毎日

玄米を炊いて食べさせたり

色々と努力をして

薄皮を剝ぐように良くなっていったそうです

前の日の夜から、玄米を水に浸し

次の日の朝早くから炊く

便利な道具など、何も無い

もう忙しくて忙しくて

でも、諦めない

その結果が

冒頭の言葉なんです

医師に

「どんなことをして、こんなにいい状態にしたのか」

という趣旨のことを、聞かれたときに

その人は、絶対に教えなかったそうです

母の強さとプライドを感じました

きっと今は

幸せに暮らしているに違いない

それにしても

玄米って……

では、また会いましょう

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