「捻挫」って何?
みなさん「捻挫」という言葉を聞いたことはありますか?
おそらく多くの方が一度は聞いたことのある言葉ではないかと思いますが、「捻挫とは何か」を答えられる方はあまり多くはないのではないでしょうか?
というのも、一般的な「捻挫の認識」と医学としての「捻挫の定義」は若干相違があるからです。
今回は、「捻挫とは何か」ということを簡単にお話ししていきます。
まず「捻挫」とは「靱帯損傷」の一部を指します。
「靱帯」とは、主に骨同士を繋ぐ線維状の組織で、「関節」を構成する組織の一つです。
その靱帯が損傷する=傷つくことを「靭帯損傷」と言いますが、「靭帯損傷」は損傷の程度により3つに分類されます。
損傷の軽い順に「第1度」「第2度」「第3度」とあり、それぞれの内容は以下の通りです。
【O'Donoghueによる分類】
〜第1度〜
・靱帯の一部の線維の断裂で、関節包は温存されている。
*関節包は関節を包む線維状の袋のような組織
〜第2度〜
・靱帯の部分断裂で、関節包も損傷されることが多い。
・靱帯繊維が引き伸ばされた状態になることもある。
〜第3度〜
・靱帯の完全断裂で、関節包の断裂も伴う。
上記の分類の中で、「捻挫」と呼称されるのは基本的に第1度です。
一般的には「関節を捻って痛めたもの」を「捻挫」とする傾向があると思いますが、実際はその靱帯の損傷の程度によって「捻挫」か「捻挫以上の靭帯損傷」かが変わるといった感じです。
ちなみに、接骨院では各種保険を請求する際に「負傷名」として「捻挫」を使いますが、接骨院で施術を行う柔道整復師は医師と違い「診断権」がないため、「負傷の状況」から「負傷名」を判断しています。
接骨院で柔道整復師が「捻挫」だと判断する状況は、「関節の生理的範囲を超えて外力がかかり負傷したもの」なので、関節を捻ることで起こる負傷は「捻挫」だと判断しますし、関節が過剰に伸ばされた・過剰に曲げられたなども「関節の生理的範囲を超えた」といえる材料があれば「捻挫」だと判断します。
いずれにせよ、「捻挫」とは「靱帯の損傷」であるため損傷が軽度であっても「軽いケガ」ではありません。
「捻挫」を「軽いケガ」だと侮って治療をせずに放置をすると、将来的に「関節の変形」や「関節の不安定感」につながる可能性がありますので、早急に治療をするようにしましょう。