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四国防災八十八話倶楽部

①三王神社(私財と命を投げ出した先人の苦労を忘れぬこと)

2024.01.30 05:56


徳島県美馬市貞光には,吉野川上流域で最も古い三王堤防があります.

この堤防は,代官・原喜右衛門が命がけで築いた堤防です.

堤防は底幅八間(14.4m),天幅三間(5.4m),高さ二間半(4.5m),長さ二百八十八間(518m)の計画で,現在から見れば小堤防にすぎないものでした.

しかし,当時はすべて人力で工事を行わなければならず,難工事のために仕事を捨てて逃げる人夫が多くなり,予定以上に工費もかさみ,金策もつかなくなりました.

そのために代官であった原喜右衛門は私財のすべてを投げ出し工事にあたりましたがその金銭もつき,連日農民を無償で工事にあたらせたものの,苦しさに耐えかねた農民はその困苦を藩主に訴え,原喜右衛門は役所を追われることとなりました.

役所を追われた原喜右衛門は,無量の感慨をこめて静かに用意した短刀を右手に左の脇腹につき立て一文字に引きました.二人の家来も追腹(家臣が主君の死のあとを追って切腹すること)を切りました.

今では,三人は堤防建設により貞光の発展を築いた3人として吉野川を見下ろす三王神社に祀られています.

↑原喜右衛門らが祀られている三王神社


↑吉野川の堤防沿いにある三王の碑


※本記事にある内容は松尾裕治先生の防災風土資源マップを参考に作成しています

マップ:https://www.google.com/maps/d/u/1/edit?mid=17vnkZQLN24VyaS4j2YlM_F24NvxH7XA&usp=sharing