Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

なるの台本置き場

【男1:女2】TWINS

2024.01.31 13:00

男1:女2/時間目安30分



【題名】

TWINS

(ツインズ)



【登場人物】

メル:いつも笑顔のしっかり者。

モネ:いつもモネの後ろに隠れる泣き虫。

ジャック:何でも屋。取り扱うものは人から物まで様々。



(以下をコピーしてお使い下さい)


『TWINS』作者:なる

https://nalnovelscript.amebaownd.com/posts/51508850

メル(女):

モネ(女):

ジャック(男):




-------- ✽ --------






(古い家の扉を開ける)

(ブツブツ言いながら家の中を探し回るイメージ)



001ジャック:うわ、汚ねぇ……こんな所に本当にいるのか?


002ジャック:ひっ、ネズミ!……はぁ……帰りたい……。


003ジャック:ったくあのババア、これで居なかったらただじゃおかないからな……。


004ジャック:(舌打ち)こんな埃っぽい汚ねぇところに人間が住めるわけねぇだろうが。


005ジャック:1番奥の部屋は……ここか。



(1番奥の部屋の扉を開ける)



006ジャック:うわっ!何だこの匂い!



007ジャックM:新しくつけ直されたであろう重たく、普段は閉ざされているはずの扉をそっと押し開ける。目に映る暗闇。床の血溜まり。視界の端には床に転がったなにか。そして、



008メル:だれ?


009モネ:……怖いよ。


010メル:大丈夫、私がいるもの。


011ジャック:子供……?


012メル:お兄さんは誰?


013モネ:……(メルの後ろに隠れる)


014ジャック:俺はジャック。君たちは?


015メル:お兄さんはここにどうしているの?


016ジャック:捜し物をしに……君たちはどうしてここに、


017メル:私がその捜し物手伝ってあげるよ。ここの事は私達がいちばん詳しいから!


018ジャック:ありがたいけどそれより、


019メル:それで。何を、探しに来たの?


020ジャック:魔女の形見を。


021モネ:……ふふふ。形見だって。


022メル:形見だって、それじゃあ早いね。



023ジャックN:2人の少女が顔を見合せて笑っている。その笑顔がこちらに向いた時、……瞳は赤色に光っていた。



024モネ:『契約』


025メル:『契約。あなたの名前を教えて、ご主人』


026ジャック:えっと、『我が名はジャック』


027モネ:『ご主人様、ご命令は?』


028ジャック:『愍笑(びんしょう)の魔女、神の肉に牙を立てよ』


027モネ:『ふふ……かしこまりました。ご主人様』


028メル:『ご主人、ご命令は?』


029ジャック:『哀哭(あいこく)の魔女、世界に死の歌声を』


030メル:あはは!『ご主人の仰せのままに』


031ジャック:これで……いいのか?


032モネ:……大丈夫。契約は成立。


033ジャック:成立、って事は2人が魔女の形見って事でいいのか?


034メル:今更何言ってるの?ご主人、面白い人ね。


035ジャック:俺は依頼主に言われて魔女の形見を探して来いって言われただけだから何も聞かされてないんだよ。


036モネ:でもちゃんと契約できてた。


037ジャック:契約って言われたらこう言いなさいって言われてたからな。まさか本当に形見に会えるとは思ってなかったけど。


038メル:さっきから形見形見って!名前で呼んでよ!


039ジャック:やだね


040メル:どうして?


041ジャック:依頼に深入りはしないって決めてんだ。形見はこのまま依頼主に渡して、俺は報酬を貰い、仕事は終わり。次の日には綺麗さっぱり忘れる。これでトラブルもなし、俺は平和に暮らせるってわけ。


042メル:ご主人は私達のこと本当に何も知らないのね。


043ジャック:どういう意味だ?


044メル:その依頼主様はなんで私達を探しに行けって言ったの?


045ジャック:さぁ?魔女の力が欲しいとかじゃないのか?


046メル:大抵私たちを欲しがる人なんてそんな人ばかりだけど、もしそうなら、その依頼主様は私たちの力を使えないよ。


047ジャック:どういう事だ?


048モネ:魔女の力を自由に使えるのは魔女が力を貸したいと思った人間か契約者だけ。だから私達の力を使えるのはご主人様だけ。


049ジャック:それならなんの問題もないじゃないか。


050メル:ふふ。私達はご主人以外に力は貸さないよ?


051ジャック:は?何でだよ。


052メル:どうしてご主人以外に力を貸さなきゃいけないの?


053ジャック:それが命令ならどうだ?


054メル:命令なら……そうだなぁ、力を貸すのは一回だけかな。


055モネ:代償を支払わない人間に魔女の力は絶えられないから。


056ジャック:代償、って。俺は何も支払ってなんかないぞ。


057メル:ふふ、ここまで何にも知らないのは驚いたな。


058モネ:初めから教えなきゃいけないね。


059ジャック:依頼主のババアが何も教えてくれなかったんだよ!クソ……とりあえずここから出るぞ。こんな気味の悪い部屋に長居するのはゴメンだ。


060モネ:その方がいい。もうすぐ夜が来る。


061メル:そうだね、魔物が出る時間だ。


062ジャック:そういう事は早く言え!


063メル:ご主人、このままじゃ私たち外に出れないから、扉に触れて『契約成立』って言ってくれる?


064ジャック:契約成立。……これでいいのか?


065メル:うん!ありがとう、ご主人。……いこう、モネ。


066モネ:……うん!


067メル:ご主人、これからどこに行くの?


068ジャック:とりあえず麓の村に向かう。そこで一泊して明日出る。


069モネ:長旅?


070ジャック:そうだな、それなりに距離はあるな。


071メル:じゃあご主人に魔女について教える時間はたっぷりあるって事だね!


072ジャック:そうだな。


073メル:最初の最初から、全部教えてあげる!


074ジャック:なんでそんなに元気なんだ?


075メル:魔女の事を知りたいなんて人に出会ったのは初めてだから!自分のことを知ろうとしてくれるのって嬉しくない?


076ジャック:まぁ……そうかもな。


077モネ:メルとモネの事、沢山教えてあげるね。







078ジャックM:この2人の不思議な少女を連れ古びた館を後にした。帰り道、彼女たちは色々な話を聞かせてくれた。彼女達の母親は魔女であったこと。既に母親は亡くなっていて、父親はおらず、魔女の力の使い方は独学であること。



079モネM:ご主人様は今までの人間とは違った。私にもメルにも優しかった。イライシャ、という人がいるところまで行く最中、沢山ご飯をくれたし洋服も買ってくれた。沢山話を聞いてくれた。私たちに興味を持ってくれる人はいなかったから、本当に嬉しかったな。この人なら、私達の、



080メルM:ご主人はおもしろい人!今まで私たちを探しに来た大人とは違ってちゃんと人間として扱ってくれる人。寝る時に布団を使わせてくれるし、お風呂も使わせてくれた。無理強いはしてこないし、魔女としての力を求められたことも無い。何よりご主人と話しているモネがとても楽しそうだった。それだけで私には十分。ご主人なら、いいかもしれない。







(ジャックが部屋に戻ってくる)



081メル:ご主人!おかえり!


082モネ:おかえりなさい。……どうだった?


083ジャック:はぁ〜契約破棄になったよ。


084モネ:契約破棄?


085ジャック:力を貸さない魔女はいらないってさ。


086メル:そう。


087モネ:……その人、どこにいるの?


088メル:メルとモネで話をしてきてあげるよ。


089ジャック:話して何になるって言うんだ?そこまで確認しなかったのは俺のミスだからいいんだよ、別に。よくある話しだ。


090メル:そんな事ないよ。お兄さんが契約成立って唱えてくれないと私達はあの家から出られなかったんだから。


091モネ:依頼主ならそこまで調べておかなきゃいけない。……そんな人、魔女の主(あるじ)には相応しくない、


092ジャック:お、おぉ。ありがとうな。


093メル:で、その依頼主はどこ?


094ジャック:赤い樽の描かれた看板の酒場の、向かいの建物。三角屋根の宿屋の2階の1番奥の部屋だ。ノックは3回。


095モネ:ふふ……そう。


096メル:教えてくれてありがと!ご主人!


097ジャック:あぁ。



098ジャックM:この時はまだ、翌日に飛び込んでくるニュースなんて知りもしなかったから、余裕でいられたんだ。



(少し間)



099ジャック:おい!お前たち何したんだ!


100メル:急にどうしたの、ご主人。


101ジャック:あのババアが殺された!とりあえず荷物まとめろ!ここを出るぞ!


102メル:え、今?!


103ジャック:今すぐ、だ!


104ジャックN:急いで支度をさせ宿屋を出る。追っ手を気にしながら街の外に出て近くの森に身を隠す。しばらく歩けば野宿が出来そうな洞窟を見付け、そこで1晩を明かすことにした。


105モネ:(走ってきたため息切れを起こしている)


106メル:モネ大丈夫?


107モネ:大、丈夫。


108ジャック:それで?何したか聞かせてもらおうか。


109メル:その依頼主ってどんな人なの?


110ジャック:その質問に答えるのは何をしたのか話してからだ。


111メル:何したらって……


112モネ:……喰べただけだよ?


113ジャック:は……?


114モネ:ご主人様の事をバカにしていたから。喰べたの。


115ジャック:喰べた、って……人をか?


116モネ:うん。


117メル:で?その依頼主はどんな人なの?


118ジャック:裏社会では有名な女だ。犯人探しに暗殺者が雇われるくらいにはな。


119メル:じゃあご主人が疑われて追われてるんだ。なんかごめんね。


120モネ:ご主人様、なんで殺したのが私達だと分かったの?


121ジャック:夜小さな女の子ふたりが来たって宿屋の店主が話していたらしくてな。俺がふたりと一緒にいるところも見られていたらしい。


122モネ:そう……。


123ジャック:ちょっと話を戻すがお前達は人を喰べるのか?


124メル:私は喰べないよ。喰べるのはモネだけ。


125ジャック:その……なんで人を喰べる?


126モネ:なんで?……なんで、……うーん。……力を貰うため?


127ジャック:人を喰べると力が貰えるのか?


128メル:ご主人はそもそも魔力って知ってる?


129ジャック:ま、りょく?なんだそれ。


130メル:魔力って言うのはね、世界のどこにでもあるものなの。葉っぱや地面、水、空気、人間、とか何でも魔力を持ってるの。多い少ないの差はあるけどね。私達魔女の中にも様々いてね。魔力を使う力を持つ人と、操る力を持つ人に分けられるの。ここまでいい?


131ジャック:ああ。


132メル:じゃあ続けるね。魔力をどうやって摂取するか、なんだけどそれも人それぞれなの。モネは魔力を使う力なんだけど、魔力を取り込むには食べなきゃいけないの。


133ジャック:人を、か。


134メル:うん。


135ジャック:でもここまで人なんて喰べてなかったよな?


136モネ:必ず人じゃなきゃいけないわけじゃないの。ただ人が一番魔力を持ってるから。


137ジャック:それは生きている人だけなのか?


138モネ:ううん。死んですぐの人なら大丈夫。あの人もちゃんと気を失ってから喰べたよ。


139ジャック:そ、うか。……この機会だ、2人の能力についてちゃんと教えてくれ。


140メル:ふふ、いいよ。じゃあそのままモネの説明からどうぞ!


141モネ:私は貯めた魔力の分だけ力が強くなる。腕の力をあげたり、足を早くしたり、なんでも。


142メル:モネは剣がとても上手なんだよ!


143モネ:そこまでじゃないよ。


144ジャック:戦場で使える力だな。それで?


145メル:じゃあ次私ね!私は魔力を操って私の言葉を直接意識に届けるの。


146ジャック:洗脳系、ということか?


147メル:そうだね。私の言うことは絶対。皆なーんでも言うこと聞くよ。


148ジャック:なんでも?


149メル:なんでも。……言葉だけで倒す事もできるよ。


150ジャック:はぁ……俺を殺してくれるなよ。


151メル:殺さないよ!私たちのご主人でしょ?


152ジャック:まぁ……そうだな。


153モネ:……これからどうするの?


154ジャック:とりあえずどこかの街に行くとして……お前達はどこか行きたい場所は無いのか?


155メル:行きたい場所かぁ。


156モネ:私はメルの行きたいところにいければそれで。


157ジャック:どこかあるか?


158メル:……あ。モネ、私あそこに行きたい。


159モネ:あそこ、って……集会?


160メル:うん。私たち長年出てないじゃない。せっかく出れたしどうかなって。


161モネ:そうだね。もう10回は出てないから……だいたい100年くらいかな。


162メル:メアお姉様にも会いたいしどうかな!


163モネ:いいんじゃないかな。次の集会は来年だし。ご主人様もいるからきっと行けるよ。


164メル:ご主人!私達集会に行きたい!


165ジャック:一から説明しろ。


166モネ:えっと、魔女が集まる集会が10年に一度あって、その集会が来年開かれるんだけど、それに行きたいなって。


167ジャック:集会が開かれる場所は?


168メル:あ、えっ、と。ご主人、クラジカ村って知ってる?


169ジャック:クラジカって言ったらあれだろ、地図に載っていない隠された場所。


170メル:場所は知ってる?


171ジャック:あー、大体の場所なら。


172モネ:モネ達をそこに連れて行って!


173ジャック:連れていくのは構わないがここからかなりの距離があるぞ?それに詳しい場所を知ってる訳じゃない。


174モネ:どこまで知ってる?


175ジャック:アイビスの森のどこかにあるくらいしか。


176メル:そこまで知ってたら大丈夫。そこから先は私達が連れていくよ。


177ジャック:はー、わかった。ここから長旅だからな。覚悟しろよ。


178メル:ありがとう!よろしくね、ご主人!







(電話をかける)



179ジャック:コード572。こちらジャック。応答求む。


180ジャック:隠されし村についての新たな情報です。やはりクラジカ村はアイビスの森にあるので間違いないかと。……はい、魔女2名からの情報なので間違いないです。細かい場所については現地に着いたら案内をしてくれるそうなのでそこで明らかになるかと。……はい、魔女が行きたいと。なんでも近いうちに集会があるそうで。……はい、了解です。では現地で。



(電話を切る)



181メル:……ご主人。誰に電話してたの?


182ジャック:おま、っ


183モネ:ご主人様も他の人とおんなじ?


184ジャック:いや、その、俺は!


185メル:何も聞きたくないよ、ご主人。ご主人なら信じられると思ったのに。


186モネ:メル、この人喰べてもいい?


187メル:まだダメ。……ご主人、何をしてたの?


188ジャック:俺は、その、


189メル:ちゃんと正直に答えた方がいいよ。


190ジャック:お前、その目、


191メル:ふふ……もう遅いよ。何をしていたの?


192ジャック:仲間に、魔女の、情報、渡す


193メル:貴方は何者?


194ジャック:アルバ聖王国 情報局員


195メル:私達に近づいた目的は?


196ジャック:依頼。後に魔女の情報を掴むよう命じられた。


197メル:モネ、あと聞きたいことは?


198モネ:今後私たちをどうするつもりなのか、とか?


199メル:いいね。……今後私達をどうするつもり?


200ジャック:指示があるまでは共に行動する。


201メル:なるほどね……元に戻っていいよ。


202ジャック:……お前、何した


203メル:ご主人にお話してもらっただけだよ。


204ジャック:俺に力は使わないって言っていたのはどうした?


205モネ:……あの時とは話が違うでしょ?


206メル:ご主人。ひとつ大切な事を教えてあげる。……契約者の代償について。


207ジャック:……は?なんだそれ。


208メル:最初に言わなかったっけ?代償を支払わない人間に魔女の力は貸さないって。


209ジャック:ああ、そんなこと言ってたな。


210モネ:私たちは代償を決められる。命でも時間でも物でも、なんでも。そして、何に代償を伴うのかも。


211メル:だからね、決めたの。ご主人の代償。


212ジャック:何だよ……命だけは、辞めてくれ。


213メル:私たちは貴方を魔女の村まで連れて行ってあげる。そして私達に貴方の時間を頂戴。


214ジャック:時間?寿命ってことか?


215モネ:ふふ。面白い。魔女相手に寿命だって。


216ジャック:違うのかよ。


217メル:大丈夫、ちゃんと時間だから。では契約しましょう。『哀哭(あいこく)の魔女の名のもとに、貴方が欲しいものをあげましょう。代償として貴方の時間を我が物に。』


218モネ:ふふ、契約成立。


219ジャック:うわ、なんだこれ。


220メル:それは契約のチョーカー。魔女と契約済みであるという証。


221ジャック:急に首が締まったりしないよな?


222モネ:それは貴方次第。でも私たちの機嫌は損ねない方がいい。


223メル:そうね。でもあんまり虐めても可哀想だから教えてあげる。代償に差し出した『時間』はあなたの時計。私が巻き戻すことも、進めることも、止めることも出来る。


224ジャック:はは……生かすも殺すもお前次第ってことか。


225メル:そういうこと。でもちゃんと貴方が欲しがっている情報はあげるから。契約違反はしない主義だから。


226モネ:モネ、お姉様達にお披露目するの楽しみだなぁ。


227ジャック:……お姉様?


228モネ:知っているでしょう?他にも魔女がいること。集会に行けば会えるよ。


229メル:そこで契約者をお披露目するのが集会の楽しみでもあるの。


230モネ:モネ、メアお姉様に会えるのが本当に楽しみ!メアお姉様の契約者様も来るかな?


231メル:来るんじゃない?本当にモネはあの人が好きね。


232モネ:とても!素敵な人だもん。


233メル:ご主人はー、そうだな、クラお姉様が気に入りそう。


234モネ:確かにね。ふふ、楽しみ!



235ジャックM:楽しそうに話す2人の少女。この2人が魔女である事は自分の身をもって理解した。簡単に洗脳してしまう少女と人間を喰べる少女。その狂気とも言える力の前に、ただ呆然とすることしか出来なかった。







236メル(手紙):偉大なるオリジン様。10年毎の集会の開催、ありがとうございます。長くお返事が出来ず申し訳ありません。私達姉妹も無事封印から解かれ、こうしてお返事が出来ること嬉しく思います。


237モネ(手紙):今回の集会は姉妹揃って参加させて頂きます。 100年振りにお会い出来ること、とても楽しみにしております。私たちにも契約者が出来ましたので当日連れて参ります。魔女に興味のある不思議な人ですので、気に入って頂けたら嬉しいです。集会でお会い出来る日を夢にみて。


238メル(手紙):哀哭(あいこく)の魔女メル。


239モネ(手紙):愍笑(びんしょう)の魔女モネ。



(終)