再び子宮蓄膿症
本日、子宮蓄膿症のわんちゃんが再び来院しました。
子宮蓄膿症の厄介なところは、突然子宮が破裂して腹膜炎を起こし、死亡することだけではありません。
高齢で弱っていたために、手術自体が成功しても、その後死亡したり、特に腎機能が弱っていて、麻酔による低血圧で腎不全になったりすることです。
以前に一番気の毒だったのが、手術前の検査において、腎臓の数値がやや高く、麻酔で低血圧にならないよう、点滴および、ドパミン、ドブタミンという、血圧を維持する薬を使ったにもかかわらず、結局急性腎不全になり、治療を試みましたが、治ることは無く、安楽死をすることになったことです。
腎不全も点滴を行うことで一時的に治ることもありますが、中にはどんどん尿毒素が高くなり、毒素が頭に回っててんかん様発作を起こしたりします。
つまるところ、いつもブログ内で避妊手術をオススメしているのは、将来的な病気の予防だけではなく、高齢になってからの手術を避けるためになります。
まずありませんが、若齢で子宮蓄膿症にかかったとして、そんなに怖いことはありません。
破裂さえしなければ内臓機能も落ち着いているために、容易に手術を行なうことが出来るわけです。
今回の飼い主さんには、本当は突然死の可能性もあるため、本日の夜に手術を行いたかったこと(スタッフの人数が足りなくて不可能)、手術をしても、本人が弱っているのが明らかなため、術中死も考えられること。
その旨を伝えて手術を実施することになりました。
これを聞くと、内科的(薬で)治療法は無いのか?と思うでしょうが、アリジンという、日本では発売していない、特殊なホルモンで子宮口を開き、排膿させること。
一時的に子宮の発達を抑えることができます。
このアリジンという注射薬は一部の動物病院にしか置いていないでしょう。
また、効果が出ないこともありますし、あくまで一時的に子宮の状態を抑えるだけなので、今まで散々発情により傷ついてきた子宮は、結局再発して根本的な解決にならないことも多いです。
一番は子宮と藍藻を外科的に切除してしまうことなのですが、上記のような危険性を伴うことは避けられないのは変わりません。
皆さん、本当に避妊手術は若い内に実子しておきましょう!
何故か雌猫ちゃんを飼育している方は避妊手術を行なうことが多いのですが、メス犬ちゃんの場合、避妊手術が可哀想言って、ためらってしまう人が多いようです。