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コラボ新作「ちんちろ」について

2024.02.07 17:51

音楽投稿サイトで知り合いになったHiro Kotakeさんとは、もう20年以上のお付き合い。

ウンダラげげーなドランクべいびーずというユニット名でのコラボをやってきたけれど、最近はウンダラ名義以外のコラボもやらせていただいていて、一作目は「土鳩の声」だった。

「土鳩の声」もそうだったけど、今回の新作「ちんちろ」もHiroさんの曲先で、それに私が自由に歌詞をつけさせていただいて唄っている。

最初に曲を聴かせていただいて思ったのは、「間奏もなくメロディがずっと続いていて、しかも音程の動きが結構激しくて、こりゃ私が唄うの難しいわ〜〜〜!!ってことだった。^^;

次に思ったのは、悲しげだけど美しくて夕陽が落ちて藍色になってきた山際を眺めているような楽曲だなということ。

すぐには歌詞をつけられず数日置いて、さてそろそろ取り掛かるかと思った瞬間、田舎の大家の娘という設定が浮かんだ。

”田舎”という表現には、長閑とか自然が豊かとか交通の便が悪いとか買い物が不便とか若者が少ないとかそもそも人口が少ないとか高層の建物がないとか新しいものが入って来にくいとか、、、色んなイメージが込められていると思うが、私が今回イメージしたのはそんなことよりも”家”の重さ。

その地の名家とか大家といわれる家となるとお家存続が物凄く大事なことで、平成や令和の生まれがどうだか知らないけれど、少なくとも昭和生まれまでは後継の確保に必死だ。

お嫁さんが女児しか産まなければ罵倒され、女児しかいなければ自由に恋愛結婚も出来ず養子に来てくれる相手でなければダメだなどと言われたりする。就職先もどこでも良いわけではなく、地元で働けるように場合によっては祖父母なり親が雑貨屋なりブティックなり店を作って与えたりもする。

どのみちこの国もこの星もいずれは滅びるだろうにと思うと実に馬鹿馬鹿しいことだが、実際そのような考えを持っている”家”は少なからずあるし、身近な例も知っている。

「ちんちろ」の歌詞は、そんな家に生まれた娘さんを主人公にして、最初に浮かんだ藍色に染まっていく風景に彼女を置いて書いたもの。

メロディ的にリフレインする文言が欲しい中で”ちんちろと”が浮かんできて、これはお守りについている鈴の音かなと思った。親が子の幸せを願って買ってきたお守りの鈴の音。

親が良かれと思ってしていることが子にとって有難いことではない場合はしばしばあるし、守っていることが束縛していることになる場合もしばしばあると思う。

お家の存続の為ともならば、お守りの鈴の音の響きはさぞ重かろう。


てなわけで、歌詞は2、30分で出来上がったのだが、ピッチ悪過ぎな自分には唄うのは難しかったな〜〜。^^; 予めHiroさんが私が上はどの音まで出せるか確認してメロディを作って下さっていたので、コラボでありがちな”上が出ない!!”という苦悩はなかったから、ひたすら何度も唄い直すのみであった。ピッチ補正かけたら簡単なんだけど、この曲はそういうことする曲じゃないよなと。田舎のお嬢さんの苦悩をピッチ補正かけて聞かせるのは変だと思うし、仮に他の歌い手さんが美声でもって朗々と完璧な歌唱で唄われたら、それはそれで素晴らしいだろうとは思うものの平凡な娘さんが苦悩を吐き出す感じとはまた違ってしまう気もする。あんまり綺麗になっちゃいけないのだ、こういう歌は。根底はロックなんだから!(私としては)

下手くその言い訳にしかならないが、そこら辺にいる女子の愚痴であるなら、切々と訴える感じが伝われば良いんじゃないかと思った次第。

HiroさんはいまだにRoland SC-88(お使いのはキーボード付きのSKだったか?)音源をお使いなので、打ち込みやアレンジの技術とセンスは素晴らしいもののマスタリング段階まで行くとどうしても音源の非力さは否めない。

この曲に関しては重苦しい感じのサウンドに仕上げたかったので、あれこれ試行錯誤した末に、マスタリングで65hz以下の低音をグッと持ち上げてみたらピアノやドラムやSEにある程度重みが付き、ボーカルも前に出ていい感じなった。(一般的にはローカットでスッキリさせて全体の音量を上げる処理の方が多いと思う)さらに2Khzあたりを少し持ち上げてやると各楽器の音もボーカルも粒立ちが良くなるのだけど、今回は敢えてそれはしないでおいた。

この作品に今風な華やかさやヌケの良さは必要ない。どんより不安定でなんだか重苦しくてスッキリしない感じこそが、主人公の心情なのだから。