公安審査委員会委員の人事について
もうお手上げ、こうあんするしかない・・・。
公安審査委員会委員の国会同意人事案についてである。公安と名の付く公的機関は多数存在する。公安警察は警察の警備部門のこと。国家公安委員会は内閣府の外局で警察の職務や運営を管理している。公安検察は検察の思想犯係であるが極左暴力集団による事件が減少したために最近では薬物事犯や暴力団事犯も取り扱うという。そして、ややこしいのが公安調査庁と公安審査委員会である。双方ともに法務省の管轄である。公安調査庁は破壊活動防止法や団体規制法の規制対象に該当する団体であるかどうかの調査および情報収集と処分請求を行う機関であり、調査活動の過程で入手した情報を分析・評価し、政府上層部に提供している。公安審議員会は公安調査庁長官からの処分請求を受けて暴力主義的破壊活動を行った団体および無差別大量殺人行為を行った団体に対する各種処分を審査し決定する。
その一例にオウム真理教事件がある。麻原彰晃らが率いるオウム真理教は、教団と対立する弁護士とその家族を殺害した1989年11月の坂本堤弁護士一家殺害事件、教団松本支部立ち退きを求める訴訟を担当する判事の殺害を目的としてサリンを散布し計7人の死者と数百人の負傷者を出した1994年6月27日の松本サリン事件、教団への捜査の攪乱と首都圏の混乱を目的に5輌の地下鉄車輌にサリンを散布して計12人の死者と数千人の負傷者を出した1995年3月20日の地下鉄サリン事件など多数の凶悪犯罪を起こしている。それを受けて公安調査庁はオウム真理教に対して解散を視野に入れた団体活動規制の処罰を申請したが公安審査委員会は「将来の危険」という基準を満たさないと判断し、破防法の要件を満たさないとして適用は見送られた。
事件を調査した公安調査庁と調査を受けて処分を決定する公安審査委員会とは足並みがそろわない。オウム真理教事件に対してあまりにちぐはぐな対応と感じる。特に公安審議委員会の決定には驚かされる。12名の死者を出し、数千名もの負傷者を出した事件を起こした教団に対して破防法の適用を見送る決定を下したことは実質的に破防法が機能していないということを裏付けたようにも思える。未だに破防法が適用された団体は存在しない。オウム真理教に対する公安審査委員会の甘すぎる判断がその後の判断における足かせになる可能性は否めない。現在、公安調査庁の監視対象となっている団体は17団体であり、日本共産党、朝鮮総連、護国団、全学連、共産主義青年同盟、共産主義者同盟、大日本愛国党、大日本愛国青年連盟、国民同志会、日本同盟、関西護国団、日本塾、革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)、日本革命的共産主義者同盟(第四インター)、革命的労働者協会(革労協)、日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(革マル派)、オウム真理教である。複数の死傷者が出た関係事犯がある団体はすべて破防法適用団体にすれば良いと思料する。未然に防ぐのが公安の目区的であるはずだ。本来ならば破壊活動が起きてからでは遅い。破壊活動は内部に向けようが外部に向こうが関係ない。どちらも犯罪の悪質性は同じである。この際、公安審査委員会は不必要なのかもしれない。公安調査庁による申請は裁判所が判断するようにすればよいのかもしれない。
さて、今回の同意人事案では非常勤の委員として小松夏樹氏の新任案が提示されている。読売新聞社の出身で適正報道委員や編集局次長を歴任し豊富なジャーナリスト経験を持っている。退任する元日経新聞社顧問の和田洋氏の後任としても適任と言えることから同意人事案に賛成する。
参考
公安審査委員会とは
https://www.moj.go.jp/kouanshin/kouanshinsa_index.html
公安審査委員会 Wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%AE%89%E5%AF%A9%E6%9F%BB%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A
公安調査庁 Wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%AE%89%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%BA%81