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A recollection with you

one-mile

2024.02.19 15:00

ずっと何かに傷ついてきた

何もかも、誰も信じられなくなって、

僕は1人を選んだ


道端の花に目もくれずに

ただひたすら自分だけを愛してきたのに

君はすべてを、一瞬で間違いだと証明してみせた


「どれだけ一途か、分からせてあげる」


愛されることを忘れていた僕に、その言葉は心臓の奥まで突き刺さって

強引に押さえつけてきた感情が、真っ赤な火花のように撒き散っていく


自分が泣いていると自覚したのは、そのときだった


引き寄せられて、抱き締められる

嫌、じゃない


君の肩に、果たして安心した自分がいた

そうして、君に真っ直ぐ見つめられる


目を、ちゃんと合わせられない


恥ずかしい、けど嫌じゃない

嫌じゃないなら、これは、何?


ーー


だから言ったんだ

「分かりやすい」って


気づかないふりが下手な君のことだから

本当のことなんて分からなくても、その目が泳いでしまうせいで

全部水の泡になっていく


勝手に苦しそうな顔をして、自分のことでさえ曖昧にして

君は一体何がしたいんだろう

そんな風に生きる必要なんて、ひとつもないのに。


ーー


気づいちゃったの


頭から離れなくて、こころがすうっと熱を持って

意識するほど恥ずかしくてたまらない


どうしようもなく想ってる

私のことなんて、まるで何でも分かってる風で

何も知らないはずなのに


ねえ、あなたの気持ちも聴かせて


ーー


それは、俺には忘れられないことだった


考えるのが苦手なんだ

勉強が全然できねえからって

散々、馬鹿にされてきた俺にも好きな女くらいいた

一緒にいてくれた時間だってあった


それなのに、たった1人の女でさえ守ってやれなかったんだよ

家を出ていくあいつが残したのは、たった、一言


「この香りに出会うたび、私のことを思い出すでしょう」


すげえ辛くて、いままでこんなことなかったのに、初めて泣いたんだよ

想われる日が来るなんて、考えてもみなかったから。


ーー


思わせぶりな人だった


ことある毎に、そばに居てくれるし、

掛けてくれる言葉は、イチイチそのとき欲しいもので、

好きにならないほうが無理だった


「もうこれ以上好きにさせないで!」


叫ぶように言ったあとで

彼は何も言わずに、廊下を歩いて去っていった


優しさって、残酷だ

泣き崩れた私を置いて行くんだ


そう思っていたのは、私だけだった。


ーー


一人でいることは、自分で選んだのに、どうしてそう思うのか

私にも分からない


求められても、何も答えられなくて

もどかしい気持ちだけが溜まっていく


私はあなたをどう思ってるんだろう?


延々と出ない答えに終わりをつけたくて

でも、それが本当に私の気持ちなのかも分からなくて


苦しい、苦しいよ

助けてって、言えないよ


弱い私には、あの日にさよならしたんだから

頼ったり甘えたりなんてできないよ


それなのに、今、どうしてもあなたに触れたい

優しくして欲しい


こんなの、恋心だって、私、絶対に言いたくないよ。


ーー


よそ見してたらいなくなっちゃうよ?

もう1人の私が、そう囁(ささや)く


これが最後かもしれない


この時間がもう2度と来ないのを知ってたら、

もっと大事にしたのにって

そんな気持ちさえ鈍って、もういいやって思った


誰も私のものになんてならない

描いたとおりになんて進まない


あなたもどうせ私の前からいなくなるんだから、明日なんかもういらない


望まない

聴かない。聴きたくない…!


でもそれなら、いま私はどうしてこんなに傷ついてるの?

あなたのこと、たくさん傷つけてるはずなのに、平気だって笑えるのは…


そんな自分に、余計に嫌気が差して、

意味が分からなくて、考えることすらやめてしまいたくて

そうして夜風に当たりたくなって、公園まで歩いた


まだ、ちゃんと寒い


あなたの言葉は、私だけを向いてる

どこにも行かない。それだけは、確かだと思ってる


もういい


答えなんて知りたくない

失う日さえ来なければ、それでいい


そう思っていた次の朝、あなたはもういなかった


私は…本当は…


言えなかった

どうせ困らせてしまうのは分かってたから

自分勝手に独り善がりで、認めたいところも良いところもひとつもない


それなのに、あなたばっかり

全部私のせい


それで終われるなら、あなたが終わらせてくれるなら

そのあとどんな傷がついたって、大したことない


全部仕舞って、もう二度と見透かされないように、強い自分に戻るだけ

それで、良い。


one-mile —inspired by osekihan