Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

Baby教室シオ

『アートでわからないを楽しむ」

2024.09.23 00:00

日本が好景気に沸いていた時代、海外の不動産や有名画家の作品を高額な値で買い占めていく様子を揶揄して、日本はエコノミックアニマルだと言われた時代がありました。エコノミックアニマルとは経済上の利潤追求を第一に活動することを侮辱的に呼んだ言葉です。確かに日本人が経済にものを言わせていたのも事実であり、それが勢いのある経済大国日本の象徴だったかもしれませんが、今や先進国の中でも経済的に課題を抱えている国になりかつての栄光輝かしい勢いは無いような気もします。しかし外国に無い日本独自の鉄道などをはじめとする公共交通の快適性や日本独自のもの作り、そして一見世界水準から後退したかに見える科学技術の最高水準の教育を受けてきた人材の労働力、他者を思いやる教育を幼い頃から受けてきた国民性など数多くの強みを考えると、これから日本を担う子供たちには日本人らしい生きる力強さ、柔軟な発想、日本人ならではの想像力で世の中を渡り歩けると考えています。

これからの親は子供達がどのように人生を謳歌し世界相手に活躍できるか、同時にAI 時代をどう生きていくかということを考えて子育てしなくてはなりません。特に AI が発達しこれまで人間が行っていたことを AI がとって変わると知識を元にした処理能力で我々はAI に勝てません。がしかし知性や教養で きめ細やかな想像性を糧にすればAI が成し得ることのできないことができるのです。前述した通り正に日本人のきめ細やかな物事に対する配慮は日本独特の想像性から発信されているものであり、その想像性を高め全てのことを楽しんで受け入れることが日本最大の武器となりAI 時代を生き通せる人物になるのだと考えます。

ではどのような教育を子供に施せばその最大の武器を手に入れることができるのでしょうか。私はこう考えています。その極意は『わからないことに真摯に向き合いわかろうと努力すること』なのだと考えています。何の先入観もなく目の前に開かれた扉をすんなり受け入れること、そして理解し難い難解だと感じるものにこそ真摯に向き合い、理解しようと楽しむことこそが柔軟に思考し判断し、インスピレーションを受けながら自由に想像や発想しながら思い描いていくと自ずと道は開かれると思うのです。

子供にとってその想像性を身につけやすいのが実は絵本の世界やアートの世界、音楽の世界と言われる芸術に近い位置にあるものです。今回は乳幼児期から取り組めるアートについて記事を書いてまいります。


1、わからないを楽しむ

アートを楽しむことが人生を豊かにすることは間違いありませんが、実は思考を力をさらに一段豊かにする一つの方法としてアートを通して『わからないこと』をわかるように楽しむことこそが、これからの時代には必要不可欠で重要な生き方ができる武器になるのです。この『わからない』はアートのみならず学習においても言えることで、わからない問題をわかろうと努力することに繋げることができます。この仕事をしていると難しい問題に腰を据えて理解しようとする子供もいれば、簡単に解けないと心折れてしまい一気にやる気をなくしてしまう場合の両者が見受けられます。後者にはおそらく容易に何でもこなせる経験が多かったのかもしれませんし、昨今の成功体験だけを子供達の成長の機会であるとする風潮かもしれません。しかし成長とともに難しいこと厳しいことに出会う可能性が少なからずあるのですから、理解ができないことをわかろうとする気持ちや思考力、想像力を持って向き合う力を養い、純粋に楽しむことに結びつけることを子供に獲得させたいと考えています。

そのためには生まれながらにしてありのままを上手に受け入れることができる子供の特性を活かして、一見難しいものや理解できそうにないものを見て何だろうかと興味や関心で受け入れ、思考し想像を膨らませる経験を多くさせ感性を研ぎ澄ましていく方が望ましいと考えます。

この『わからないもの』を受け入れることこそが、AI などに取って代わることのできない人間のみが実行できる豊かさだと確信しています。



2、身近なアートは絵本の世界

子供がアートに触れる最初のアイテムは絵本です。多くの作家さんによる様々な絵がある中で特定の作風だけに目を向けるのは大変勿体無いことであり、特定の好きなものを設けると子供の中に好き嫌いを作る要因になりかねません。出来る限り多くの作品を受け入れることができるようにしておきましょう。絵本の世界は先ず0歳児の絵を楽しむことがスタートですから内容を楽しむというよりも絵を楽しむことを存分にし、やがてその描かれている絵を元に話の内容的文章を理解しその作品を楽しむようにします。子供の中には見る絵本の絵で読む読まないを決める子供がいます。それはどこから発生しているのかを調べていくとやはり親御さんの与える絵本の偏りや多種多様の絵本を与えていないことに影響されている場合が多く、このことが子供の物事を理解しよう、ひいてはわからないことをわかるように努めようということに深く関係していると感じてならないのです。これは私の実感でしかないものですがやはり好きなものを持つことは悪くありませんが、バランスよく何でも受け入れるということこそが後々子供に必要な大きな視野を持ち許容範囲を広げることに繋がっていると感じてなりません。まずは絵本の世界で色々なアート作品に出会うという種まきも必要かと考えます。



3、ほんもののアートを鑑賞する

私たち大人には好みのアート作品がありますが、子供は本来好き嫌いでアートは見ておらず自らの感性に従って心動かされたものに関心を示すものです。その感情を磨くためにはやはり多くのものを見る経験が何よりも必要で、これっていいな、何か面白そう、なんだろう、不思議だな、変だな、初めて見た印象や衝撃を子供が素直にアートから感じ受け止めるようになります。その感性を引き出すために多くのほんものに触れる経験が必要です。ほんものの中には読み解く情報が多々あります。例えばその作品が描かれたあるいは作られた時代背景を読み解くことやどの場所でその作品が生まれたのか、制作した芸術家がどのような人物でどのような思想や感性を持ち合わせていたか、またその作品にはどのようなメッセージが込められているかなど深い理解をしようとするためには『わかろう』とする力が必要なのです。その一つでも紐解いてわかることができれば、子供は自ら率先してわかろう知ろうと努めていきます。その力を引き出すことができればアートを通して『わからない』を好奇心に変えることができるのです。ほんもののアートには子供を豊かにする魅力で溢れているのです。



4、暮らしの中にアートを取り入れる

暮らしの中にアートを取り入れることは日常生活の中で瞬時にその世界にフォーカスさせる力があります。ポストカードの印刷物をさりげなく生活の中に取り入れて飾ってみたり、アート作品を真似て表現してみたりと模倣することや鑑賞することで想像力を膨らませて豊かな感性を継続的に磨き、親子や家族間で絵画について会話を楽しむ機会を増やし、感性の共有やアートを通して表現のスキル磨いたりコミュニケーションを図ったりすることができます。我が家では子供部屋や寝室リビングには大小に関わらず絵画を飾るようにして頻繁に目につくようにしていました。家に花があると心が落ち着くように絵画があればその空間は異空間となり心豊かになれたからです。時にフェルメールの作品から着想を得てパンを焼いてミルクを注いでみたり、モネのアスパラガスの作品を見てはざるの上に載せてカラーやモノクロの写真を撮ったり、ルノワールの初期の作品の花を飾った作品では白磁の陶器にグラジオラスを大量に購入して飾ったりと絵画の世界を家に表現する豊かさをあえて演出したりもしました。そうするだけで画家の作品を現実世界に投影することができ親子で楽しんだものです。とあるママ友にはそんな儚い贅沢をする勇気なんてないと言われた経験がありますが、現実世界だけで子供に豊かさを与えようとするには限界があります。しかし子育てをし終えた私から言えることは儚い金額的投資であってもそれ以上に美的感覚の研ぎ澄ましや空間の演出は必ず育って行きます。お金に変えられない心の豊かさや気分のリフレッシュ方法をアートの世界から見つけ流教育を施してみてはいかがでしょうか。



5、アート表現を楽しむ

『わからない』をわかろうとするためには乳幼児期からできるアートの取り組みが必要だと提案していますが、インプットと同時に進めてほしいのがアウトプットです。全てのことについて言えることですがインプットよりもアウトプットに時間や労力をかけることが、そういく雨風をもたらしその子供の持つ感覚センスに磨きをかけることができます。私が子育てで心掛けていたことは一つの作品を完成させるのに早道の道具を与えるのではなく、数種類の道具を準備し子供が自由に表現ができるようにあらゆる道具を揃えて、自らの表現方法を追求できる環境においていました。昨今では工作や絵画に取り組みやすいように工作ワゴンならぬ素敵なモンテッソーリ式ワゴンを準備する方もおられますが、我が家では描く道具、ペーパー類、文房具を分けて配置し、それ以外のリサイクル的空き箱や容器などを衣装ケースに入れるなどして自由にいつでもものづくりができるようにしていました。

思いついたら吉日チャンスが逃げないうちに(想像したものが頭の中に存在しているうちに)表現を楽しむよう伝えていたので、今でも柔軟な発想ができることに子供の頃のあの工作時間が今を作っていると話していました。自分にしかできないことに磨きをかけることができるようになるためには、幼い頃の想像性や発想力、そして実行力がものを言うのだと実感しています。

今回は大筋だけを解説したので来週月曜の提案記事は『アートのアイディア』として作品を生み出すための子供が行っていたアイディアを思い出しながら記事を書きたいと考えています。来週も一読していただけると何かしらヒントを得られるかもしれません。お楽しみに。