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何かの生物と科学

キリンに雷が落ちてどうする 途中下山

2024.02.18 09:07

説明不要。

以前から買おうかな~どうしようかな~と思っていたものですが、最近幾つか気になっていた本を買った波に乗って購入。
帯も含めてデザインされた装丁がかわいらしい。帯、よくグシャグシャにするから不安でしかない。


非常に重要なことであるため事前に言っておきますが、この文章はレビューではありません。というより、レビューなんて大それたものではありません。

そう言い切れる理由の一つが、まだこの本読み切っていない、ということ。読み切っていないのに感想を書くなというのは全く以てその通りなのですが、私はこの本を読んでいる途中で心におかしなダメージを負ってしまい、現在150ページあたりから脱兎の如く逃げ出して来たところです。


――そんなに話題には出さないが、何かを切欠に(詳しい記憶がない)「匿名ラジオ」を真面目に(※作業の片手間に)聞き始め、その中でこの本の存在を知り、興味を持っていた。いざ買って開いてみると、SS集と銘打たれている、私の持っている幾つかの本なんて目じゃないくらい、見出しと見出しの間が短い。概ね日記がまとめられている書籍なのだから当然である。が、私個人としてはこれが非常に嬉しい。近頃、長い文章を追い続ける心のスタミナが完全に枯渇しているからに他ならないが、こんな話は今回いらないので割愛。

読み始めのうちはよかった。私は元来、一つのものや事象に対して、考えてももはやどうしようもないという域まで何かを「考える」ということが好きだった。よってこの本は、私が「そう、こういう話をしてみたい」と思うような、愉快で興味深い内容が沢山並んでいた。前半は概ね笑っていた。なんなら、前述のラジオで聞き覚えのあるエピソードの詳細を知れて盛り上がったり、『箸』のような項目で、勝手に「こういう感覚かなり分かるな」と、著者も自分も嫌がりそう(偏見)な共感を抱いたりもした。あと『ピラフ』。なにを読まされている?

……という風に順調に読み進めて行っていたのだが、次第に雲行きが怪しくなる。そろそろ半分に近づいてきたかな、という頃に、読めば読むほど胸がざわつくようになってきた。内容にもよるが。

その胸のざわつきの厄介なところは、その文章一つ一つに対する反感や嫌悪のようなものではなく、どちらかというと共感や親しみに近い、それでいて気味の悪い感覚。
その正体はなんとなく予想がついた。これは私の内側にある、私が認識することを拒んでいるものが、それらの言葉の一つ一つに刺激されて形になって、私自身が私を攻撃するようになってしまったもの。
内容の心地の良し悪しには関係なく、普段丁重に抑えている心の抑揚が暴れだして、それが恐ろしくなってしまった、というのが正しい。今まで自分自身が言語化すること(輪郭を認識できる形にすること)を拒んでいた、割と痛手だと思っている感覚と、そっくりそのままなことが書かれていたりしたのが、自分の思想を改めてクラフトパーツで練り直し、強大なダメージを生み出す手助けになってしまった。そもそも、私は私のことが心底嫌い(諸説ある)なので、自分からの攻撃が一番的確でつらいのである。自分の内側にしまっていたものだから、外側からではなく内側から攻撃を受けてしまい、満身創痍。内臓破壊。

どのような感覚・思想であれ、言葉として形にしてしまうと、自分に認識しうる「なにか」になってしまうから、敢えてそのもやもやだったり、そういう蟠りを不誠実にも液体のまま放置していた。まあ、私はそれも気持ちの形だろう……と、敢えてそうしていた部分もある。言語化自体を「他者に共有するために / 己を知るために…『認識』するために試みる強力な粘土細工」のようなものだと思い込んでいるから、自分だけの秘密にしておきたいものや、現実味を帯びたくないものは、敢えてふわっふわの状態で放置しておいたのだ。特に、自分が他人に触れられたくないほど大切にしているものや、自分を嫌なやつなのではないかと思ってしまう感覚ほど。
それの幾らかを、この書籍に印刷されている文章の端々によって研がれてしまった。認識できる武器にされて、動揺させられてしまった。今までこれらの文章と間近で対話して、キャッキャウフフと笑っていた自分が急激に青ざめて、目の前の奴らが敵に見えてくる。ゾンビ映画かな。怖い。怖いな……しまいには「やりやがったな……」とすら思う。なにもやりやがっていない。完全な自傷行為。
少し別の角度から話すのであれば、これらをここまで明確に、的確に文章にしてしまう(出来てしまう)そのバイタリティに感服した。尊敬と畏敬の眼差しを並列して向けてしまった。まだ全部読んでないけど。
更に言うのであれば、カロリーの軽い話から徐々にカロリーの重い話を増やして並べてくる、編集者(?)に一杯食わされた気持ちがある。前半が楽しかったから、つい勢いよく読んでしまった。やられた。
とにかく私は急に恐ろしくなってその本から逃げた。栞を挟んでそっと閉じた。


怖い。次いつ開けよう。