【コラム】第7節三重ホンダヒート戦マッチレポート
秋山「兄弟」対決、実現。
三重Hに8トライで勝利
2月17日、トヨタヴェルブリッツはパロマ瑞穂ラグビー場で今季ディビジョン1に昇格した三重ホンダヒート(三重H)と対戦、8トライを挙げて54-7で勝利し、通算成績を4勝3敗とした。
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リーグワン初の「東海自動車ダービー」。第3節の相模原DB戦に続き8トライを挙げたが、前半は相手の粘り強いディフェンスに苦しんだ。今季、三重Hのヘッドコーチに就任したキアラン・クローリー氏は元オールブラックス。イタリア代表前監督で、チーム合流はW杯終了後と時間は浅いが、ディフェンスからチームを作るコンセプトは明確だった。
試合開始からトヨタは体重あるFWがスピードとパワーを絡め、激しいコンタクトを繰り返しても、接点で退くことはなかった。ボール保持率、テリトリーとも大きく上回りながら、インゴールをこじ開けられない、もどかしい展開。救ったのは背番号14だった。
前半21分、相手ゴール前ラインアウト。今季初先発のLO秋山大地がキャッチ、列の前方から回り込んだFLウィリアム・トゥポウが真っすぐ走り込んできたWTB髙橋汰地にオフロードパス。髙橋はそのままインゴールへ。「面」で破り切れなかった相手防御を一直線に切り裂いた。
トゥポウ、髙橋とも2月初旬に行われた15人制トレーニングスコッド合宿に参加。髙橋は日本代表エディー・ジョーンズHCに言われた「毎試合トライを取るように」というミッションを遂行した。
その後も三重Hの闘志に苦しんだが、着実にトライを追加、54-7で勝利、髙橋は3トライを奪う活躍でPOMに選ばれた。
プレシーズンで負傷していたPR木津悠輔、LO秋山大地も、今季初先発。木津は50分間、秋山はフル出場で完調をアピールした。
木津の見せ場は後半5分、自陣ゴを背にしたスクラム。その前のスクラムでペナルティを取られたが、組み直しでコラプシングを勝ち取った。失点すれば流れを失いかねない場面での殊勲甲のプレーだった。
「8人全員が、ここでペナルティをとるんだというメンタリティで押してくれた。ああいうところで、チームの勢いになるスクラムが組めたのは嬉しい」(木津)
秋山も髙橋のトライの起点をはじめ、後半41分、LOアイザイア・マプスアのトライの際にも鮮やかなオフロードを決めるなど、アタックでも貢献した。
試合後の会見でベン・へリングHCは「秋山さんは、今日は特別に気持ちが入っていました」と笑った。
ラグビーを始めるきっかけとなった5歳上の兄・陽路さんは三重Hのリザーブ。後半2分に交代出場でピッチへ入り、リーグワンで初の兄弟対決が実現した。
ポジションも同じ二人の対決シーンは10分、三重Hがスクラムから展開した場面。弟がタックルに行くも、兄はパス。
「(対決は)めちゃくちゃ狙ってました。とりあえずどこにいるか探し出して、ずれててもタックルに行けるポジショニングをとってたんですけど、パスされました」
兄も「機会があればボールを持って当たりたかったですけど、まずチームの戦術があるので」
弟は「今回はコンタクトで決着がつかなかったので、それは次回の楽しみに。いつまでも兄ちゃんと対決したい」。5歳上の兄は社会人10年目。「これまで試合に出られない時期もあったんですが、弟に刺激されて、弟と戦いたいと頑張れた」
ともに来季のディビジョン1での対決を待ち望む。
これでチームは2月のリーグ戦を終了、3月3日のコベルコ神戸スティーラーズ戦から4連戦、バイウイークを挟んで5連戦というハードな戦いが始まる。
へリングHCは「今シーズンはバイウイークも長かったので、そこで力を蓄えてきた。備えはできている」と自信を見せる。
NO8姫野和樹キャプテンは「オンとオフの切り替えをしっかりして、エナジーとモチベーションを保つのが大事」。
ここに来て経験ある選手がポジション争いに復帰し、若手も加入2年目のWTB和田悠一郎がデビューを飾るなど、選手層も厚みを増してきた。
クロスボーダーマッチの関係で、今期は開幕3か月で7試合、この後2か月で9試合という変則的なスケジュール。終盤の長丁場をスタンダード高く戦いきることが上位進出の条件だ。
(写真説明)
1 3トライを挙げたWTB髙橋汰地。「いつもトライ王は狙っています」
2 元BKだけにパスはお任せ。FLウィリアム・トゥポウ
3 兄弟対決に、より燃えたLO秋山大地
4 WTB和田悠一郎もデビューを飾った
5 後半31分、トライを挙げたSH福田健太。明大で同期だった相手WTB渡邉弐貴と