未経験からChatGPTを使った業務自動化とSNS診断フォームの制作記
今回は、普段インタビュアーである私、石津 悠人がサクラスで働く中で得た経験を振り返る、自己紹介を兼ねた企画だ。
プログラミングの実務経験は皆無の状態からスタートし、社内の業務を自動化したり、とあるキャンペーンでSNS診断フォームを作成して、案件終了後に「来年もお願いします」とお客様から嬉しいお声を頂いたり…。そんな話に今回はお付き合いください。
ひたすらコードに向き合った春休み。
私がサクラスに入社したのは2022年の2月頃。当時は東大の理学部生物学科3年生で、興味の対象は五感体験の中でも特に香りだった。
その興味を大学院の進学先に反映させるべく研究室訪問をしていた時だ。本当に自分のやりたいことに取り組めるのは院に進学してからということがわかり、学部卒業までの仕事のテーマにぽっかり空白期間ができてしまった。それまでは好きと得意を掛け合わせて価値を発揮することに躍起になっていたけれど、大学に入って初めて「何でもやってみよう」とオープンマインドになれたのだ。
そんな折に代表の池上さんから連絡が来て、これも何かの縁かと思って二つ返事で入社した。
最初の仕事は、会社のTwitterの自動化だった。具体的には「会社で広告案件を受注した際に、メールから該当ツイートのURLを読み込んでRTする」という要件。言葉にするとシンプルなものだが、実装するとなるとうまくいかなすぎて失笑するレベル。最初はおすすめされたノーコードツールのmakeを使ってみたのだが、自分のやり方が悪くてできないのか、サービスの仕様上不可能なのか判断もできない。
そんな中、当時何かと話題になり始めていたChatGPTでコードを書けてしまうことを知り、トライ&エラーを繰り返して段階的に“使えるコード”を積み上げていった。 最終的にはmakeとGASをハイブリッドさせて、最適解ではないかもしれないが一応成立する仕組みを完成させた。それまでの無数の失敗から、JavaScriptでのコードの組み方のパターンは学べたと思う。
「未経験からこれを完成させるのはすごい」という声もあったけれど、この時は正直まだ実感はなかった。
大学に入って一番忙しく、充実していた夏。
二つ目の仕事は、あるキャンペーンのSNS診断フォーム作成。
私にとって初めての対外的な案件であり、多くの人の目に触れる仕事であり、会社としてお客様からお金を頂いている仕事の一部である。そんな意味で、やりがいの反面プレッシャーはかなりあった。
特に難しかったのは、TwitterでフォームのURLを共有する際に表示されるサムネ(OGP画像)を診断結果に応じて出し分けるという機能が、利用していたSaaSに標準装備されていなかった点である。
この時期は大学でハードな研究室に所属していたのと、院試に必要なTOEIC対策や研究計画書など、大きめのタスクの柱が4本同時に立っていたこともあり、てんやわんや状態。
社内のエンジニアにアドバイスをもらいながらレビューを受けてなんとかフォームは完成。
デバッグのためにテストシナリオを立てて、8人くらいで手分けして全パターン確認を済ませ、無事納期にも間に合わせることができた。
院試対策に集中するようになった8月は、空いた時間にエゴサをしては診断結果の共有ツイートを眺めていた。 記念すべき1人目を観測した時は思わず社内で報告し、診断結果で出た本を実際に購入した人や、キャンペーン対象本の作者の先生が診断をしてご本人の本をオススメされたというツイートも見つけた。 トラブルチェックのパトロール目的もあったのだが、特段問題はなかった。
ただ、同時期に同じフォームサービスを利用していた別案件で困ったことが起きた。その案件は漫画の新刊発売キャンペーンで、クイズに全問正解した時にのみ限定画像が見られるというものだった。 その時利用していたフォームでは、回答件数が一定数を超えるとサーバー料金が激増することがわかった。
そのクイズでは画像を手に入れるために1人が何度も挑戦する形となっていて、1ヶ月ほど続くキャンペーンの1日目にしてキャパの半分ほどを埋め尽くすという事態が起きていた。そのため、急遽仕様変更を提案し、サーバーへの負荷をクイズの回答数ではなく結果共有ツイートの数に応じて増加するように調整したことで、なんとか事無きを得たのだった。
キャンペーン期間が終了し、お客さんには嬉しいことにご好評頂けて、「来年もぜひ」という旨の言葉を頂いた。この案件においても初めてのことだらけだった私にとって、積み重ねた試行錯誤が報われたと感じる瞬間だった。