第29回直方谷尾美術館 室内楽定期演奏会
九州の音楽家シリーズ7:Ensemble+PLUS&占部由美子
<Program> 紹介
2017年7月22日(土)17時開演
ベートーヴェン 弦楽三重奏のためのセレナード 二長調 作品8 紹介
ハルヴォルセン ヘンデルの主題によるパッサカリア 紹介
シューマン ピアノ四重奏 変ホ長調 作品47 紹介
九州交響楽団の中核を担う弦楽奏者、佐藤仁美さん、猿渡友美恵さん、重松恵子さんによるEnsemble+PLUSのご出演です。(注)
九響入団以前より親交のあった3人が、自分たちの音楽に向き合い、演奏者と聴衆とが一体となる演奏会を目指そうと2014年に発足。弦楽三重奏を基本に客演を招き、年2回の自主公演を持つ貴重な団体で、今後の成長・飛躍を見守っていきたいと思っています。オリジナル企画ですのでお聴き逃しなく。ご来場を心よりお待ち申し上げます。
(公益財団法人朝日新聞文化財団、公益財団法人福岡文化財団 助成事業)
(注)今回の出演者Ensemble+PLUSについて、かんまーむじーく のおがた代表の渡辺伸治氏が想いを語られておられましたので、併せてご紹介しておきます。
2012年10月7日(日)、私は九州交響楽団の拠点である末永文化センター(福岡市城南区)に大きな期待を抱いて向かいました。ここで定期開催されている九響楽員による末永の森コンサートがお目当てでした。九響の中核を担う弦楽器奏者とピアニストの中川淳一さんがブラームスのピアノ五重奏曲を演奏するというから血沸き肉踊るは必至。
http://www.suenaga-bunka.or.jp/concert/034.shtml
聴きごたえ十分!現在の九響の充実ぶりを存分に感じさせられました。特に第一ヴァイオリンの佐藤仁美さんが素晴らしいリーダーシップを発揮され、ほれぼれしたものです。単発で終わらないことを願いました。
そして一年と半年ほど経た2014年2月、この時のチェロ奏者だった重松恵子さんから、佐藤さん、猿渡友美恵さんの3人で定期的な活動を続けることになったと聞いたのです。
それがEnsemble+PLUSです。その年の春に福岡市でゲストに中川さんを招きデビュー演奏会を開いたのでした。
この団体が弦楽四重奏団へと発展し、福岡発の四重奏団が誕生することを切に祈ったのです。
Ensemble+PLUSが発足した翌年の2015年7月にヴァイオリンの佐藤仁美さんが室内楽定期演奏会にご出演くださいました。日高剛さんのホルン・リサイタルの客演です。
ブラームスが亡き母を追悼したホルン三重奏曲を佐藤さんはしっとりと奏でてくださいました。素晴らしい。彼女ら3人に良き第2ヴァイオリンが加われば、福岡発の秀悦な弦楽四重奏団が誕生すると確信しました。
その思いを打ち上げで佐藤さんにぶつけることに。佐藤さんも同じ思いでした。しかし第2ヴァイオリンが見つからない。
日本人の室内楽演奏会のほとんどが自主公演で、手弁当または手出しで実施されています。もちろん「お座敷(お仕事演奏会)」は別です。だから同じ価値観を持っていないと活動を共にはできないでしょう。3人が集まっただけでも奇跡かもしれません。
熱く語り合う中、佐藤さんが「そんなに私たちを焚きつけたって、この演奏会にはクァルテット・エクセルシオがレギュラー出演しているから、私たちの出番が無いぢゃない!」と可愛くスネる。
「では、あなたたちが弦楽四重奏団となった暁にはこの演奏会のレジデンス(専属)にしましよう。福岡発の四重奏団を擁することはこの演奏会の宿望だから。」と答えました。
「ホント~?」佐藤さんは喜び一杯に言い放たれたのです。まるで夏休みに旅行の約束をもらった子供のように。横でピアニストの中川淳一さんが優しい笑顔で見守っていました。
こうして福岡発の弦楽四重奏団への発展を目指して、私たちの「熱苦しい約束(笑)」が交わされたのでした。とは言え、2ndヴァイオリンの人選には慎重でしょう。長期的に待つことにしました。
しかしその間に指をくわえて待つより、Ensemble+PLUSを室内楽定期演奏会で度々紹介し聴き手と顔馴染みにしておくことにしました。そうすれば四重奏団へとなり、レジデンス(専属)とした時に聴き手とで喜びを分かち合えましょう。
この室内楽定期ならではの企画を考えました。我が街出身、ミュンヘン音楽大学出身の占部由美子さんに協演をお願いしたのです。
占部さんとはEnsemble+PLUSとしての協演歴はありませんが、各々すでに親交がありました。占部さんから得るものは大きいでしょう。私たち演奏会がEnsemble+PLUSのスキル向上の機会を作る、とても有意義なことで両者の絆も固くなります。
また直方市では九州交響楽団の演奏会がご無沙汰で、4月の管楽セクションと併せた2企画で現在の九響の実力をこの演奏会の聴衆に知っていただく絶好の機会と考えたのです。
このような思惑でこの22日の演奏会を企画いたしました。