重力
現在、国際宇宙ステーションには、宇宙飛行士の古川聡さんが滞在中です。
宇宙とのインタビューの中で、古川さんにとって宇宙とは?という質問に、
「私にとって宇宙とは、出張して仕事をする場所です。」
と答えていらっしゃいました。
何ともカッコいい。
本当に、宇宙で過ごすことが特別ではない時代が来るのかもなぁと感じました。
宇宙では筋肉の萎縮や骨量の減少が起こります。
宇宙実験で、動物細胞が単独で重力を感知することは明らかになってきていますが、そのメカニズムは、まだ殆ど分かっていないのだそうです。
古川さんは医師でもあるので、重力感知メカニズムを解明して、微小重力や寝たきりによる筋委縮の予防に貢献しようというミッションに取り組んでいらっしゃいます。
※宇宙ステーションの高度でもわずかな大気や地球の影響を受けるため、無重力ではなくて微小重力なのだそうです。
宇宙飛行士に出やすい異常として、帰還後の視覚障害も言われています。
遠視化して近くが見えにくくなったり、白いもや状のもので視野が欠けてしまう人もあるようです。
2011年、300人の宇宙飛行士を対象とした調査(アメリカの研究者やNASA元宇宙飛行士らによる)で、近くの見えにくさを訴えたのは、
短期ミッション経験者の23%
長期ミッション経験者の48%
だったそうです。
地上では体液は下半身に引っ張られますが、無重力(微小重力)になると上半身にシフトします。
脳脊髄液に浮かんでいる脳も上方へ変位したりして、頭蓋骨内の環境や循環も変わります。
そんな影響で、視神経の周りが浮腫んだり眼球が後ろから圧迫されたりして障害が出るのでは・・・ザックリそんなことが考えられているようです。
宇宙のことに詳しくない私が色々なネット記事を読みかじった程度なので、正確さを求める方はご自身でお調べいただければと思います。
その後宇宙ステーションでは、人工重力装置を使ったマウス実験が進んでいます。
円筒形の装置にマウスのケージを入れて1分間に77回転すると、遠心力で1Gが得られるのだそうです。
目が回りそう・・・。
その人工重力マウスと微小重力マウスを比較すると、人工重力マウスの方が網膜組織障害が軽減されるという結果が出たそうです。
微小重力での暮らしが視覚系によろしくないことは間違いないようです。
地球にいる私たちは、動くことで、筋肉が鍛えられ骨も強くなることを知っています。
もう少し考えると、重力という負荷の中で生きること自体が健康法のような気がしてきます。
重力が無ければ、細胞は分裂の方向も定まらず、形を作り保つことも難しそうです。
普段は意識することのない重力ですが、そのエネルギーに私たちは育まれているのですね。
重りなどを糸で吊り下げたとき、糸が示す方向を鉛直といいます。
つまりそれが重力の方向です。
自分を整える方法の1つとして、「鉛直を感じる」というのがあります。
まっすぐな紐に吊るされた飾りなどを目印に自分をシンクロさせて、地球がいのちを育てる力を感じてみてはいかがでしょうか。