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白状

わいうえを

2024.02.25 07:15

わななきがまだ頭の中を駆け回っている。おれが辿ったのは光の道のはずであった。ほとんど盲になりながら、遥か遠くの煌めきを頼りに這い進んできた。ここがどこかも知れない。ただ求める匂いを、やわらかさを、最もふかくにある器官が見つけて探し当てた。ようやくだ。

行ってはいけないわ。あなたはここから進んではだめ。見るのがつらいならここへ顔を埋めてらして。まだ望みが叶ってよ。本当にあの子ったら。ねえ。私の望みも叶えて頂戴。あなたでいいわ。あなたがいいわ。ああ、お花はまだかしら。あなたにあげようかしら。そら、ここを、ねえ、そうよ、そう、ああ。

空ろな夢を掻き消して、ユキ子はおれの知らぬ座敷で花開いていた。おれの知らぬおとこへ。駆け足の音が近づいてくる。それが着いたとき、あの男の命の進退が決まるだろう。おれがそうであるように。網膜に焼いたユキ子の白肌は、遠くにあっても涙が出るほど美しかった。

えもいわれぬ温かさが、おれを小さくさせていった。鼻を肉と肉の間に埋めて、その下のたわみにすがりつく。おれの望みもユキ子の望みも知らぬ誰かの望みもこのひとの望みも一つにより合わせて、家屋の陰でおれは乳を吸った。どこかで泣き声がする。どこかの男が泣いている。

女。おれの求める象徴。ユキ子が体に取り組んでくれた時におれは生き始め、放たれた時に死んだ。女。女神によく似た知らないひと。この温さもすぐに消えるだろう。足音が近い。必死に取り縋る。甘い匂いが、今度こそ体から消えませんように。果てたときに命も尽きますように。神様。ユキ子。どうか。