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【レビュー①】第54回直方谷尾美術館室内楽定期演奏会

2024.02.20 15:00

2月18日(日) 開催の第54回室内楽定期演奏会、お陰様で大成功でした。

何をもって大成功だったかを申し上げます。



メインに上演された北欧の寡黙な作曲家、シベリウスの《内なる声》に吐露された自身の生と死の境との対峙、それからの脱却。

誰の人生にも大きな難儀はあり、オーディエンスの人生が楽曲に共鳴したのでしょう。

そして、音楽には心身を浄化してくれる力があり、《内なる声》に救われた方もいらっしゃたでしょう(欧米では政治家や経済人が日常的に演奏会に足を運ぶのはこうしたことなのです)。


会場には研ぎ澄まされた真摯な空気が満ち、穏やかで優しい風も吹き抜けました。

このような演奏会となった時、私は手放しで喜んでしまいまうのです。


もちろん、事業として継続していくために採算性=動員数は重要ですが、それは2の次です。

それもこれも、福岡発弦楽四重奏団が弦楽四重奏と作品にガッツリ向かい合った作品と演奏に反応を還せる純粋なオーディエンスが参加してくださるこそです。


この演奏会のオーディエンスは、純粋で深みがあるけれど、厳格である数々の楽曲をこれまで聴き重ねていただき、この演奏会の趣旨と価値を理解してくださる精神的に選ばれた方々です。

ありがとうございます。


こうした方々のための演奏会。

この演奏会はそれを目指し、掘り下げてくべきとあらためて確信しました。

これからもよろしくお願いいたします。