焼継師
2018.11.11 07:41
伊万里の本を読んでいて、面白いことが書かれていました。
伊万里や古い焼物が好きな方なら、ご存知の方も多いのかも知れません。
欠けや割れたうつわを継ぐ
焼継師といわれる商売が江戸時代後期にあり
とても流行っていたようです。
金継ぎはとても有名で、今もある技法です。
金継ぎをされた後うつわはとても美しく
なんの違和感もなく、金色の細い線がうつわに馴染んでいて
まるで作られた時からあったような錯覚すら抱きます。
その金継ぎをされた方の雰囲気や性格まで
映し出してくれるのが、金継ぎの良さでしょうか…
しかし、金継ぎには難点があります。
とても高価で、簡単にお願いできるようなものでは
なかったようです。
その点、焼継師は当時は白玉粉と呼ばれていた
鉛ガラスの粉末を使って、それを割れた接ぎ目につけて
低温度で焼いて接合していました。
天秤棒を担いだ焼継師が街中を回って
小さなコンロのようなものを持って
直して歩いていたようです。
焼継ぎが流行った大きな理由は
仕上がりが透明で綺麗だったことと
何より安価だったことが
大きな理由のように思います。
当時の記録には
磁器の売れ行きが悪くなり
瀬戸物屋が困ったと書かれているそうです。
当時はまだ焼物が高価で
割れたからといって簡単に買いかえられる
代物ではなかったようです。
そんな時代のうつわをご紹介できることに
少しうれしさを感じました。