「宇田川源流」 厳戒態勢の中で行われたナワリヌイ氏の葬儀の示すモノ
「宇田川源流」 厳戒態勢の中で行われたナワリヌイ氏の葬儀の示すモノ
反プーチンの盟主とか象徴と思われたアレクセイ・ナワリヌイ氏の獄中死は、そのことによってプーチン政権の基盤が盤石になったといえるのであろうか。
まず先に、そのプーチン政権のことは、基本的には、オンラインサロン「陰謀渦巻く世界情勢の中であなたが生き残る方法」(https://lounge.dmm.com/detail/2838/)の今月のテーマが「ロシアの行方とウクライナ戦線」となっており、3月17日(現地時間)のロシアの大統領選挙を受けて今後どのようにロシアが動くのかということを見てゆこうと思っているので、その詳細な内容はそちらに譲ることにする。間違いなく、他では読むことのできない内容になっていると思うので、その内容をしっかりと見ていただければよいのではないだろうか。もちろんサロンなので質問などもそちらで受け付けているので、何かあれば参加していただきたい。
さて、このブログでは、ロシアの今後やウクライナのことではなく、ナワリヌイ氏の死と葬儀のことに関連したことをまとめてみたい。もちろん、オンラインサロンでは、これよりも詳しい情報を出すので、それはそれで楽しみにしていただきたい。
さて、あくまでも一般論として、反対組織とかテロ組織(テロ組織というのもある意味で現在の大勢に反対している集団であることは間違いがないので)という集団において、そのトップを殺害することによって、その集団が解消したり、活動が沈静化するというような事があるのかということになる。
過去の事例から言えば、ISやアルカイダに関してはバグダディやウサマ・ビン・ラディンの死によって、沈静化したように見える。しかし、ISの場合は、バグダディが死んだ後もしっかりと活動しており、一昨年アフガニスタンを撤退するアメリカとタリバン政権に対してテロを行ったのはISである。また、イラクに関してもサダム・フセインが死んだ後も混乱が続いている。このように考えると、反対派というのは、その象徴的な存在が死んだあとと言えども、その活動が沈静化することはなく、そのまま活動が行われることになる。
ろしあにおける反プーチン派はどうなのであろうか。
逮捕されたナワリヌイ氏支持者ら、弾圧でも消えないロシア反体制運動の芽
北極圏の刑務所で2月16日に死亡したロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の追悼集会がロシア各地で開催され、400人以上が拘束された。ファシズムの犠牲者の追悼碑前で、ナワリヌイ氏の名を書いた札を掲げて投獄された活動家アンドレイ・ビャゾフ氏もその1人だ。ロシア政府は常時、反対運動に目を光らせているが、抵抗の兆しは消えていない。3月1日の葬儀当日には警察が押し寄せることが予想され、当局が政治デモと見なせば、法律に基づき解散させる可能性が大きい。
これは、ロシアの活動家アンドレイ・ビャゾフ氏(41)。反体制派指導者ナワリヌイ氏の獄中死が発表された2月16日、ファシズムの犠牲者の追悼碑前で、ナワリヌイ氏が大統領選に出馬できなかったことを示す「ナワリヌイ 20!8」と書かれた札を掲げている。
南部クラスノダールでのこのささやかな抵抗によってビャゾフ氏は、「過激派の象徴をアピールした」との理由で特別拘置所に14日間収監されることになった。これは、法律が定めた最長期間だ。
ウクライナ侵攻とナワリヌイ氏の死に対して、ロシア政府は24時間体制で反対運動に目を光らせているが、運動の芽は摘まれていないことを物語っている。
ビャゾフ氏の弁護士はロイターに裁判資料を公開。同氏は地下の独房に収容され、拘留以来、日の光を見ていないという。
人権団体「OVDインフォ」によると、ビャゾフ氏は2月16―19日、ロシア全土で行われたナ ワリヌイ氏の追悼集会で拘束された404人の抗議者の1人だ。ロシア内務省は、この件に関し問い合わせに応じていない。
当局は、ナワリヌイ氏とその支持者をロシアの不安定化を企む、米CIAとつながりのある過激派とみなしている。当局はナワリヌイ氏の運動を非合法とし、多くの支持者が海外に逃亡した。
3月1日の葬儀当日にはさらなる逮捕者が出る恐れがある。
ロイターが入手した、埋葬予定のモスクワの墓地の映像では、作業員が監視カメラを設置している姿が映っていた。警官3人がパトロールしていたという。
葬儀当日には警察が押し寄せることが予想され、当局が政治デモと見なせば、法律に基づき解散させる可能性が大きい。
ナワリヌイ氏の支持者は、殺害を命じたのはプーチン氏だと非難するがその証拠は示していない。
ロシア政府は、ナワリヌイ氏の死への関与を否定している。死亡証明書では、死因は「突然死症候群」と書かれているという。
3/1(金) 10:39配信ロイター
https://news.yahoo.co.jp/articles/9955de4ba344887f80fbba4217f15b407191a1c8
反対派というのは、二つの要素で活動が広まっている。まずは「同好の士」であるという事であろう。つまり、いわゆる「ナワリヌイ派」という存在は、プーチンの政治のやり方に反対し、また、その内容に関して不満があるということになる。もう一つは「仲間意識」である。基本的には「政治的に反対する」というのは、政治的に迫害を受けたなどのことが中心になるものであり、日本のように、なんとなく反対するなどというようなことは基本的にはテロまでにはいかない。その様な意味で、昭和の日本の「日本赤軍」などのテロは異常であったということになり、背課的にも注目されたのであろう。日本のテロ組織はそれでも学生がある程度理想的になって入ってくるが、しかし、その理想と現実がずれてくるので「内ゲバ」が発生することになる。しかし、今回のナワリヌイ派のような問題は、基本的には「何らかの被害」があったということになる収入が少ないとか、差別的な扱いだけではなく、例えば病気なのに見てもらえなくて死んだなどの、人間の生死がかかわる迫害があった場合が少なくない。もちろん政治犯などで逮捕されたなどのことも十分にありうるであろう。
その様な「被害者連合」は、被害者がいるという共通点から、結束は固い。しかし、それらをコントロールするためには、その象徴的な存在が必要であり、その存在が、上記にあるようなISのバグダディやビンラディン、そしてナワリヌイ氏というような存在になってくるのではないか。
このように考えると、ナワリヌイ氏を殺したところで、反プーチン運動はなくなることはないという結論になる。それどころか、多分ナワリヌイ氏を殺したことによって、統制の取れなくなった反対派の人が出てくることになるということになるのではないか。
今回、そのことで、この争議は厳戒態勢になった。実は「葬儀自体が何らかのデモ行進などにつながる」ということは少なく、本来は「一周忌」や「しのぶ会」等であろう。六四天安門事件も、趙紫陽の死そのものではなく、それを悼むとして集会をしたこと、つまり名誉回復の集会が発展したものである。
死は突然訪れるので準備は難しいが、しかし、その様な集会は「準備を行う」ということになる。また統制が取れなくなるということは、プーチンと政治的に争うというものではなく、今後は「暗殺などの手段」を使う可能性が出てくる。つまり政治的な対抗や言論による対抗が終焉を迎えたということになるのではないか。
その様に考えるのが、今回の葬儀を見て考えられることではないか。