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(白ワイン)保管条件の違いがワインにもたらす影響についての研究

2018.11.11 15:12

ワインラヴァーなら誰もが気になるワインの保管方法。セラーがいいのか?セラーでなくてはだめなのか?2017年に発表された山梨大学、寺田倉庫の共同研究についてご紹介します。まずは白ワインについてです。

白ワインの多くは熱や光によってフレッシュ、フルーティな特徴を失い、熟したフルーツやスパイシーな香りが増加することが報告されています。ワインに影響を与える要因のひとつとして保管中の温度が挙げられます。本研究では①4℃の冷蔵庫、②14℃湿度70%のワインセラー、③35℃のインキュベーター、④空調管理のない倉庫の4条件で比較を行いました。④は最高温度31.2℃、最低温度6.7℃、最高湿度93%、最低湿度29%でした。比較に使用したワインはA:2012年勝沼の甲州、B:2012年イタリア プーリア州のシャルドネ、C:2013年のフランス ボルドーのソーヴィニヨン・ブランでした。保管期間は1,3,6,12か月保管し、いずれの環境でも光は遮断し横倒しで保管しました。

結果の傾向を大まかに要約すると以下の通りでした。

(香り)

バナナ、メロンの香りがあり、ワインにおける第2アロマに位置づけられる揮発性芳香成分である酢酸イソアミルの減少率は、③35℃、④室温、②14℃、①4℃の順であり、4℃の減少は少なく、35℃の減少は顕著でした。

アーモンドの香りのするフルフラールは、B:シャルドネ、C:ソーヴィニヨン・ブランの③35℃で顕著に増加しました。

(味わい)

ソムリエによる官能評価の評点は、②14℃、①4℃、④室温、③35℃であり、3種のワインは類似した結果を示しました。保管前16.1点であったものが、④室温では10.4点、③35℃で9.6点まで減少しました。②14℃と①4℃は近い評点でしたが、①は複雑性や広がりに欠ける、フルーツの香りが高く保たれる結果となりました。④の保管期間を夏、冬に分けてみてみると夏の変化が高く、冬の変化が少ない結果となりました。

(総評)

① 4℃、②14℃での成分変化が少なく保管状態を保つことが可能であることが示されました。①に比べて②は官能評価の結果より、12ヶ月の熟成で、優れた官能的な変化につながることが示唆されました。③35℃では明らかな品質の劣化が確認されました。

(私見)

倉庫と自宅、マンションなどでは環境が異なるため今回の結果が身近な環境に置き換えて考えることは出来ませんが、高温はワインの品質に悪い影響を与えることは間違えなさそうです。夏の期間は冷蔵庫に保管という選択肢はありそうです。

次回は赤ワインで行われた同研究についてご紹介します。

引用

窪田さおり 著 - ‎2017

保管条件の違いが白ワインの成分及び品質変化に及ぼす影響 Effects of storage conditions on components and quality of white wine. 窪田 さおり ... 日本ブドウ・ワイン学会誌 = Journal of ASEV Japan 28(3), 135-143, 2017. 日本ブドウ・ワイン学会.

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寺田倉庫のワインストレージサービス

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