歯が痛い。歯がしみる
「歯が痛い、歯がしみる」という症状があると、みなさん「虫歯かな?」と考えることが多いと思います。
もちろん、このような症状は虫歯の主な症状です。
しかし、虫歯がなくても、このような症状が出現する時は多くあります。
このページでは、歯が痛みを感じる様々な状態をご説明します。
①虫歯
②知覚過敏
③噛みしめ、食いしばりによる痛み
④詰め物、銀歯の脱離
⑤酸蝕症
⑥その他
以上のような状態が考えられます。
一つ一つ説明する前に、まずは歯の構造について説明します。
歯は3層構造をしています。
・エナメル質:一番表層にある硬い組織で、神経は入っていません。
・象牙質:エナメル質ほど硬くありません。神経がある組織なので、痛みを感じます。
・歯髄:歯の中心にある組織で神経や血管が豊富な軟組織です。
象牙質の神経は歯髄とつながっているのですが、この歯髄の神経というのが痛みに敏感な神経で、いろんな刺激を「痛み」として感じてしまいます。
健康な歯はエナメル質に守られているのですが、何らかの原因でエナメル質がなくなり、象牙質が露出してしまうと、そこが刺激され「歯がしみる。痛い」となるのです。
①虫歯の痛み
むし歯が初期でエナメル質の範囲で収まっていれば痛みはあまり感じません。
しかし象牙質まで進行してしまうと刺激が伝わりやすくなるので「しみる、痛い」と感じます。
また、「甘いものを食べた時だけしみる」というような症状も虫歯による痛みの可能性が高いです。
また、さらに進行して歯髄まで達すると、とても強い痛みが出現し「何もしなくてもズキズキ痛い。夜も眠れないぐらい痛い」というような症状が出てきます。
②知覚過敏
歯周病になると歯ぐきが痩せてしまうのですが、そうなると歯の根元が露出してしまいます。
また、咬む力が強かったり、ブラッシングの力が強すぎると歯の根元がくさび状に削れてしまうことがあります(くさび状欠損)。
このような状態になると、歯の根元がしみやすくなり、いわゆる「知覚過敏」と言われる状態になります。
③嚙みしめ、食いしばりによる痛み
歯は歯ぐきの中で、骨の中に埋まっています。
歯と骨は直接接しているわけではなく、歯根膜と言われる靱帯のような組織を介してつながっています。
ここにも神経があるのですが、ここの神経は歯を噛んだ時の感覚を感じ取ります。
「噛んだ時に歯が痛い」という症状がある時は、ここの組織が何らかのダメージを受けている時です。
歯ぎしりや食いしばりがあると、歯に余計な力がかかってしまい、歯根膜がダメージを受けて噛むと痛くなることがあります。
また、歯並びが悪かったり、噛み合わせのあってない銀歯等が入っていると、ある1か所の歯にだけ噛み合わせの力がかかってしまい、過重負担で痛くなることもあります。
また、噛み合わせが強いと表面のエナメル質もすり減りやすくなり、前述のくさび状欠損も伴って「しみる」こともあります。
④詰め物、銀歯の脱離
治療した詰め物や銀歯が脱離していると、虫歯がなくても象牙質が露出している状態なのでしみることがあります。
また、一見脱離していないような銀歯も、接着材が劣化し内部で外れかかっている場合があり、しみたり痛んだりすることがあります。
これは外から見ただけではわからないのでレントゲン写真を撮影したり、場合によっては一度外して確認する場合もあります。
⑤酸蝕症
むし歯が原因ではなく、酸によって歯の表面のエナメル質が溶かされてしまうことがあり、これを酸蝕症といいます。
炭酸飲料や柑橘系の果物、お酢等を好んで摂取する人に現れることがあります。
また、逆流性食道炎や、摂食障害で嘔吐を繰り返すような人だと、胃酸によって歯を溶かされることがあります。
酸によってエナメル質が溶かされてしまうと象牙質が露出するので「しみる」症状が出てくることがあります。
⑥その他
その他にも歯が痛くなる原因はあります。
例えば、上顎洞炎(副鼻腔炎、蓄膿症)になると、上の奥歯辺りは上顎洞に近いので、歯の方に痛みを感じることがあります。
他にも顎関節症であごの筋肉がダメージを受けている時に、その近くの虫歯でもなんでもない歯が痛くなる場合もあります。
これまで歯の痛みの原因について説明してきましたが、いずれの場合も適切な診断と、それに合わせたそれぞれの治療が必要です。
歯は虫歯になったり欠けたりしても自然に治ることはありません。
一度痛んで、それが治まったからといっても、虫歯や欠けが治ったわけではありません。
何か症状があった場合には自分で判断するのではなく、一度歯科医院に来院して、きちんと調べてもらうことが大切です。
当院ではしっかりと原因を探り出し、適切な治療を行い、その後の患者様の健康な生活を支えていきたいと思っております。