カミーユ・C、留保なき絶望とその絶望的なまでの強度 ...for Jean-Baptiste Camille Corot /a;...for oedipus rex #116
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
(承前)
真魚のふたご、真那と真樹とを庇護したのも、あるいは彼等が深雪の目に、充分かなう男たちだったからかと波紋は疑いをはらせないでい
そうでしょう?
まさ
る。せつないほどに真魚によく似たふたごは網膜が、赤裸々なあやうさを糾弾しそうにな
そうでしょう?
まさかっ
る、ほど
すべての男たちは
ぶって
と、そう
美しかった。
そうでしょう?つねに
ののしっ
自虐の感覚をいっさい欠いた
いちども、その
うつくしさ以外に
って。叫んで
自虐
母親をは、真魚に
価値を持っていては
耳もとで
と、そう
明かされなかっ
ならないのだ
で、咬ん
みじさなどいっさい入り込めない密度の
ふたり、だから、自然発生児とでも?殺し合いという最後は、だれにも不可解だった。たがいに殴打した。そう波紋は
いのちって、ね?
聞かされた。
あたえら
真魚に。真魚は
あたえられたものなん
あえて泣き言を言わなかった。かなしみが、無造作に彼の皮下をさいなんでいることはあきらかなままに。松陰神社裏の真砂邸。そのリビングで。室内は、凄惨とは言えないまでも、ひとめになにか暴力的事象が起こったことをあばいて疑う余地ものこさない。そんな程度には
強靭な
衝突。…を、
荒れていた。
突風が。しかも
お!
初見、
数時間程度
まっ正面から
現場検証に、
吹きつづけたかの
激突。…を、
複数犯の侵入による集団的な暴行と検視された。時をおかずに実施された検死、いかなる体液の付着もなければ毛髪の残存もなく、やがて明確化した現場の詳細ふくめ、ふたり以外の痕跡はなにもなかっ
悲惨な?
死。これは
血の飛散
た。だから、日常を
残酷な?
圧倒的な純度での
と、なすりつけたかの
共有する家族のあってしかるべきそれら以外には。つまり、ふたりで息絶えるまで
ひそめて!
殴りあったのだ、
声を。きみは
と。その
気づかれて仕舞うよ!
夜、深雪はジムに行き不在だった。沙羅ゝは、兄ふたりの死を知らされて猶、なんら涙を見せなかったと聞いた。深雪は後悔していた。真那と真樹。ふたりが不穏な、咬みつく牙のある種のうつくしさを誇る
棘?
少年に、赦される以上の
よりも、もっと
手出しをしていたのにはそれとなく
鮮烈な
感づいていたから。うばいあった?そうかも知れない。嫉妬。感情の
お前って、
無力だ。…あっ
もつれ。
さ。なんか
絶対的に…あっ
そうなのだろう。ふたりが
かなしくなるほど
確定的に…あっ
憎しみあう理由など、
上手に、さ
留保なく…あっ
沙羅ゝ以外には
わらうから。だか
無力だ。…あっ
思いつかない。あくまで、
ら。おれ
わたしはあなたを
沙羅ゝは
泣いていい?
眼の前にして
微笑。いかにも無垢でたよりなげなほほ笑みの無言をのみ、「…おれ、」どこか「ごめんなさい」稀薄な自然さで
悲惨な?
美。これは
いじめてもいいよ
つらぬきつづけ
残酷な?
圧倒的な純度での
いたぶってもいいよ
つつ…なっ、も。「知らない。なにも、ぜんぜん。なんっ」…やっぱり、「なんにも、」と。
ほほ笑んでいいいよ
深雪。
いま。おまえには
真魚が、
それしかでき
はじめて知った「あの子は」
「沙羅ゝ?」音声の色彩。気弱げなじぶんをすなおに音色にさらして、
だめだよ。おれたち
抱きしめて!
聴覚。…の、懊悩
深雪。たとえLineの
絶対、いつでも
いまねいまねいまね
あえぐかの
デジタル合成音とは「やっぱ、
捨て鉢になったら
泣きそうなん、実は
息づかいに
両親の」謂えども。「ちかくに、さ。…いいと思う。いたほうが、じゃない?実際、…事実として、さ。そう
どう?
見なさいな。ぼくらの
じゃない?」おれは、
どう?
惨状を。この
と。深雪。さらに
もう、
深雪。その「もう、」
おっ…
不用意にふかすぎた「自信がなn…」歎き。「なにも、ね?自信がないん」歎きの、理不尽な巨大さに真魚は、
だっ
だっ
だっ
ただ絶句するしかなかった。
だっ!
シーレーノス。老いた巨体。その、くちびるあたりに波紋はあえてゆびさきを伸ばした。ふれて仕舞う
微光。ほら
匂うんっ
わたしたちは思った以上に
寸前にまで。大切にする
ひかりの成分が、なにも
肌が。わたしの
物理的に、わたしたちが構築した
真魚が見たら、あるいは
感じられない
匂うんっ
壁面に、必要以上に
思わず怒鳴って仕舞うかも
ここにも
嗅覚に
囲い込まれている、と
知れない。ひと肌の脂は、油彩の油の被膜の健康にあまりよろしくはないのだ、
海よ
真珠。わたしは
と。
ひかりよ
ささやかな
ダナン。この
綺羅めきを散らして
真珠。あなたは
家屋に春雨の
海よ
ささやかな
絵画は一枚も
目を、この
真珠。われわれは
ない。もう、
昏ませるがいい
ささやかな
思いだしたくなく、またまともには思い出せもしないから。かなしいと謂う以上の、極端に
かなしみであっ
海よ
もう、ね
複雑な
いわば、激怒した
ひかりよ
きみは。…え?ひとりで
感情の暴発に
懊悩であっ
綺羅めきを散らして
ながすべき、そう。涙も
うちのめされ、
いわば、ゆれまどう
海よ
さえ、も。忘れられたん
ひれふしているしか
絶望感であっ
目を、この
だよね?
ないから。深雪に、放棄されたかたちの沙羅ゝは基本、実母と実父をまえにしても無口だった。けっして不機嫌さをはさらさない。知った。波紋は、
絶望!
…いいえ、
ある人物のまえで不機嫌であるには、その人物に対する狎れと親しみと甘えとが充分なければならない、
絶対に、…あ。…だいじょうぶ
あ
愛を
と。繊細なまでの
傷つけないから。ぼくは
あ
精密な、その
気遣いのある
あ。あなたをも
あ
定義または
無口に、波紋は
あなたがた、…あ。をも
あ
実働様式を
ひとり傷みつづけるしかない。半年ちかく、だから苦痛と、そうとは言い切れないほどに微弱で、しかし明確な苦痛と、おなじような苦悩とに執拗にさいなまれつづけたあげくの
ふれて
7月28日。その日からの
いいよ
都市封鎖。
いいの?
隔離。もはや、せまい家屋に
ふれて
家屋にいっしょにいるしかない。と、唐突な
壁だらけだ!
ふれれば?
外気を、さ。たまに
瞬間。赦しあう、そんな
壁だら
ふれあえば?
いれてあげないと、さ
瞬間。それが、すでに三人に経験されていたという事実に気づいたのは、
溶解。そして
ながれだすのだ。ふと
八月の
はじけとぶ
凍りついていた
半ばをすぎたあたりだったろうか。いつ、
ひかりの、粒たちの
え?
いつというわけでも、なにか、
触感。ん?
なにが?
なにが、どうしたというわけでもなくて
ひかりの、連鎖的
はしりだすのだ。ふと
沙羅ゝ。
なっ
ええ、情動の…この。停滞
なっ
真魚。だから当然
なっ
ええ、沈黙の…この。崩壊
なっ
波紋も。これら三人が、三人でいることの圧倒的な自然さ。