ひでんマシン 「スノボとか」
ひでんマシンを手に入れました。
あ、そもそもひでんマシンって知ってますか?
ポケモンにわざを覚えさせるアイテムにわざマシンがあるが、ひでんマシンは特に、ゲームを進める上で必要なわざをポケモンに覚えさせることができる。(以下略)
(Wikipediaより引用)
これがひでんマシンです。
ひでんマシンが通常のわざマシンと大きく違うのは、戦い中にポケモンの攻撃として使えるだけでない点です。たとえば、「ひでんマシン:いあいぎり」で言うと、物語中に実際にでてくる邪魔な木を切って進めたりするんですね。
今回はひでんマシン01「スノボとか」を覚えた話をします。
新年の抱負にざっくりと「モテるためにスノボ始める」的なこと書きましたが、もう有言実行です。
先日長野に初スノボに行ってきました。
初めてのスノボはやはり難しく、何度も転んでは、雪を食い、転んでは、雪を食い、雪を食っては雪を食い、をしていました。
面白いもので全く新しいことに挑戦すると上達をすぐに感じられるもので、2日目にはターンもちょっとずつうまくできるようになり、いろんなゲレンデを滑れるようにはなりました。
はぁーーー楽しかったあ。
・・・・
って訳にはいかないんです!!!
こんな滑り方してても、モテない。
他のゲレンデのイケてるボーダー達を盛り上げるための引き立て役、文字通り「木の葉」、ってか景色の一部。
にしかなれない訳です・・・。
俺が目指すモテる為のスノボはこの程度のレベルで収まっちゃダメなんです。
そもそも女の子と一緒にスノボ滑るともなれば、確実にその子よりは上手くないと話になりませんし。
「スノボできたらモテる」
ここでいう”できたら”には
こんなのとか。
こんなのとか
が必然的に含まれているのであって、
「モテる」の域に達するには、少なくとも女の子が転んだ時に如何なる急斜面であっても、
一旦派手めな技を2、3個決めてから着地して助ける
くらいのテクニックが必要な訳です。
とはいえ、付け焼き刃でスノボを覚えたってそんな簡単にモテることはない。
そう思っていました。
———翌日———
前から気になっていたバイト先の可愛い先輩と喋っている時です。
僕はバイトを始めたばかりで、緊張もあり相手に自分のことをアピールできていない状態でした。
「バイトどう?慣れた?」「ぼちぼちですね。」
そんなたわいもない会話の中に突然、知らぬ間に身につけた「ひでんマシン」の使い時がやってきたんです。
それはまるで草むらを分け入っていると、”なんだか切れそう”な木に出会った時のように。
彼女は僕に尋ねました。
「勝俣くんって休日何してんのー?」
はッ!!!!
これだ。
ここがひでんマシンの使いどころだ。
かっこつけれる。
ひでんマシン初披露に高まる興奮を無理矢理おさえて、さりげなく僕は言いました。
「んー、スノボとか。」
!!!!!!!
どうですか!!!!!
完全に決まりましたよ。
2日前に始めて滑ったとは思えないくらいのナチュラルな返し。
「月に3〜4回、まぁ休みの日はだいたいスノボ行ってますかねぇ。」
くらいのトーンがばっちり決まりました。
「昨日は、ゲレンデの雪のコンディションが悪くて、アイスバーンが多かったね」
的なちょっと玄人っぽいことも言えちゃうレベルでボーダー感出してやりました。
そうです。ひでんマシンの大事なところは実際の戦い(この場合は実際のゲレンデ)で使うことではなく、ストーリーをスムーズに進める(自分をアピールできていないという恋の障害を切り抜ける)ためのわざなのです。
実際にスノボが上手く滑れなくてもいい。
ストーリーをスムーズに進めるためのひでんマシンだ。
スノボできるやつ風のコメントをすれば彼女の中にイケてる俺像ができるはずだ。
彼女の頭には、
ぶかぶかのスノボウェアを腰で履いて、
新雪を巻き上げながらクールにジャンプ台に向かい、高く舞い上がったと思ったら、逆光でポーズが決まり、くるくると複雑に回転しながら、着地する俺の図が見えてたと思います。
「いつもスーツで静かに仕事してるのに、そのギャップがカッコイイ。」
そうなってたに違いありません。
・・・こんな妄想を「スノボとか。」発言の直後に0.25秒くらいの間に考えていたんですが、
彼女はあっさり応えました。
「へー、うちインドア派なんだよねー」
!!!!????
は、はい?あまり、興味持たれてない・・・だとッ?
ってか、スノボに対する返し「へー」のみ??
これには絶句でした。
彼女は続けます。
「休みの間、ずっと電気カーペットに寝転がってたー。」
・・・。
ここで「冬は冬のアクティビティがあるんだから、外に出てスノボでもしようよ!」
って言い返すことも出来たんですが、僕自身無理してスノボできるやつ感を醸しだしていただけで、
根はインドア大好きでノンアクティブな「僕」なんで、
「わかるー!!俺もぶっちゃけ休日はだいたいそう!」
「引っ越しはばっかでコタツないからさー、買おうかと思ってんだー」
と臨機応変に対応し、
怒濤の俺の中のインドアな一面を大量にアピールしました。
昨晩、部屋からでないで済むようにコンビニで部屋履きのモフモフスリッパを購入し、カップ麺とじっくりコトコトのコーンポタージュを買いだめした話。
僕がいかに温かい毛布にくるまることを愛しているかという話。
あえてコタツで食べるアイスは至高だという話をするとガンガン盛り上がりました。
背伸びして頑張ったひでんマシン「スノボとか」は全く機能せずでしたが、
学んだことがひとつ。
BE YOURSELF!!
ありのままの自分で!!