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『最高速度』

2018.11.13 14:12


黄昏を背に臨む台場の海は

ここが都会だということを

忘れさせてくれるような、そんな景色だった。

東京を象徴するロボットみたいなビルの数々は大海原を自由に進む船。社会という過酷なしがらみを必死にかき分ける僕らを揶揄するようにその船は夜の帳を自由に泳ぐ。その美しく眩い水飛沫に僕は心から酔いしれた。

『東京にもこんなところがあったんだ』

そんな陳腐でありふれたセリフが口をついてでる。

大自然にしても、大都会でも、映画だったとしても、絵画にしたって。

人間が感動というものに衝突した際に、まずはじめに語るに落ちるのは『陳腐でありふれた感情』だと僕は思っている。

その時の僕も同じだった

手の届きそうなところで光り続ける遠すぎるネオンを

なすすべなくただただ眺めていた。


そんなこんなで僕のお話を少しさせていただく。

先日台場に行った時の話である。

東京の夜景を舐め回すように爪の先から頭の先まで

見尽くした僕は、台場にある有名なハンバーガーショップに立ち寄った。ラージサイズのジンジャーエール(後で少し後悔する)とチェダーチーズの入ったハンバーガーを頼んで窓側の席に腰をかけていた。

少しして、商品が届くと僕はそのトロけるチェダーチーズと香ばしいハンバーグの香りにすでに満足感を得る。

が、しかしここで問題が起こる

【このハンバーガーは一体どうやって食べればいいんだ??】

目の前には僕がいつも食べている

某有名チェーン店のような薄っぺらいハンバーガーではなく、値段相応の、もしかしたら言い方が少し悪いかもしれないが、そんじょそこらのハンバーガーとは値段も箔も違うハンバーガーがそのボリュームをこれでもかというほどに主張して横たわっている。

目の前にはマスタードとケチャップ

それと付け合わせでついてきた

オニオンリングとポテト。

頭を抱えながら正しい食べ方を模索して周りをキョロキョロしていると、隣に座っていた外国人のカップルの食べ方に驚愕した。

ボーイフレンドが笑顔でバンズにマスタードを塗りたくりハンバーグと野菜の間にオニオンリングをぶち込み、嬉々としてそいつにかぶりつく

(ガールフレンドはインスタのために一枚パシャり)

初めからルールなんてなかったんだ。

我々日本人は(自分を軸として日本人を語らせていただく。異論は認めるがここから先の文章を楽しく読み解くためにはここは一度僕の軸という船に乗っかっていただきたい)ルールに則って行動しがちである。

自分の中の教科書に載っている情報で判断し、自分という秤で物事を測る。そしてそのルールブックに載っていない事柄に出会った時、周りを異様に気にして、周りと同じような当たり障りのない答えを導き出す術を知らず識らずのうちに学び、生み出している。

なんてオリジナリティのない生き方だろうか!!

一方、隣のカップルは各々干渉することなく

それぞれの食べ方を楽しんでいる。いとも当たり前のように。その姿を見て僕は心底感動したのだ。

その日から僕は『ハンバーガーの食べ方』という

どこかの安売りでみんなが買っていたから、習って購入したバイブルを捨てて、自分で描くことにした。

自分の教科書はどこにも売ってないのだ。

自分自身で歩いて走ってサボって

また歩きながら描き続けて作っていくものなのだ。

PS.ユーモアを忘れないように。