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中村鏡とクック25cm望遠鏡

ローソップ島皆既日食(34)

2024.03.09 09:08

ローソップ島状記(1)

 大野勝治氏は、文部省(現文部科学省)から、ローソップ島皆既日食観測隊に派遣された官吏でした。主な役割は、日食観測隊遠征に伴う事務全般でした。水路部 秋吉利雄海軍中佐(当時)と共に、観測隊のまとめ役を担いました。

 故秋吉利雄氏保存資料に、この「ローソップ島状記」がありました。直接日食観測には関係のない文書ですが、現存するのは他に無いかと思い、掲載することにしました。当時の南洋群島の実情を知ることができる、貴重な資料だと思います。

昭和9年2月 ローソップ島状記 大野 勝治調査

(1) 島民の種族

ローソップ島民はカナカ族にして 昭和8年10月現在の人口374人内男188名にして 男の数は女の数よりも2人多し 人口の増減は著しからず 一家族9人位にして一戸内に数家族雑するものあり 戸数39

 島民の階級

島民の階級は 酋長(現在の村長)格の家柄と平民階級に分数することを得(ヤップ島に於いては五階級に分類し得るという) 目下の処所有欲少なく 

与えられたる衣服等 翌日は他人が着し居れることあり 男女共老齢者には耳たぶに穴をあけ長く引き伸ばし 更に其れを耳に掛け居る者非常に多きも 20歳以下の者には斯くの如き弊風無し 又 身の弊風は今尚20歳位の青年にも之を見る 村長は前記酋長格の家柄中より順番に就任し 世襲に非ず

 言語及び文字

現在使用せる言語は トラックよりモートロックに至る迄(ローソップを含む)同一系統の島民語にして 物品の名称等には 多くの英語を混じたり 文字はローマ字を使用せるも 外人来島以前には 文字を有せざるものなり

 家族制度

離島を除き 現在に於いては 一夫一婦制にして 夫婦中心女尊男卑なり 内地同様の戸籍法を施行し 出生死亡結婚離婚の届け出をなさしむ 死亡診断書を要するは トラック夏島のみなり

(引用)

故秋吉利雄氏保存資料