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暗礁

2018.11.14 00:55

[本の紹介](「BOOK」データベースより)

建設コンサルタントの二宮啓之を、三たび誑しこんだ疫病神・ヤクザの桑原保彦。

次なる獲物は数十億円に及ぶ大手運送会社の闇のマル暴対策費。

そのシノギは追いつ追われつの壮絶な裏金争奪戦となった…。

リアルでコミカルなセリフ回し、白熱のバイオレンスと

サスペンスが読者の興奮神経を直撃する、

超弩級のエンターテインメント大作。 



疫病神シリーズ第3作目。

「疫病神」「国境」に引き続き,

ヘタレ建築コンサルタントの「二宮」と

粗暴でおしゃれなヤクザ「桑原」のコンビが,

あっちこっちへ飛びまくる。

大手運送業者による警察幹部への接待麻雀に,

桑原が「代打ち」として二宮を差し向けるところから話が始まる。

桑原の指示通りのイカサマで,数十万をせしめた二宮だが,

どうも警察と東西急便という会社の裏の癒着を思わせる線が見えてくる。

内容は某実在の運輸会社の裏金と政界との癒着問題を元ネタにしているみたいである。

二宮はかかわりたくないのに、その線から

金の匂いを嗅ぎつけた桑原が「シノギや!」と張り切って参戦。

大阪を舞台に金稼ぎのドロ試合のゴングが鳴った。

二宮は放火犯の汚名を着せられ、

ホームレス寸前まで追い詰められて、

何故か桑原と沖縄にバカンス旅行にまで行く羽目になる。

萎えまくりの二宮を尻目に桑原様はケンカに脅しに毎日元気いっぱい。

シノギの行方よりもその前に、二宮の明日の行方はどっちだ?

な相変わらずの三作目。

とにかく,このシリーズの見所は,二宮・桑原の絶妙の会話である。

これはサイコーにおもしろい。

一気に読ませるスピード感と,相変わらぬ2人のキャラと会話で

十分楽しめる作品だが,いくつか難点がある。

・二宮が巻き込まれなくてはならない動機付けが弱い

・登場人物が多く,金の流れなどが複雑で,把握しずらい

・北朝鮮に飛んだ前作「国境」に比べるとスケールが小さい

(沖縄には飛ぶよ!) 

このあたりが,今回の作品の気になるところ。

前作「国境」が最高だっただけに,ちょっと肩透かしを食らった感じ。

とにかく2人のキャラクターが最高なだけに,是非次回作に期待したい。